おみくんからの動きは全くない。
痺れを切らして、
あたしから聞いてみようときめた。






そのまま寝かしつけして
寝られそうだったので、
あらかじめ

あのさ…
今日あたし寝かしつけするね。

と伝えてみる。

『あーうん。
わかった。お願いするよ。』

明らかに嫌そうな顔

でも仕方ない。
でないとなんもできない。









ちびおみを寝かしつけた後、
おみくんの元に。








自分から振ったけど、
やっぱり逃げたくなる。
心臓がぞわぞわする。









おみくんはいつものように
キッチンのスツールに腰掛けて
ケータイを見つめていた。





無事に寝てくれたよ。
あのさおみくん、
ちょっとこっち来れる?
『あーうん。』

この返事はいつも
嫌な時にすることが多い。


急に家を飛び出してごめんね。
お互い考えようって話したの覚えてる?
『そーだったね。思い出したよ。』

ケータイをポケットに入れて
おみくんはソファに座る。


あれからあたしも考えたんだけど、
やっぱりおみくんと一緒に居たい。
だからあたし変わろうと思うの。
もう、
2人目もセックスレスのことも
あたしからは何も触れない。
諦めるには時間が掛かるけど、
諦めがつくように努力する。
おみくんとちびおみと
3人で一緒に居たいから、
だからあたしが変わる。







顔色を変えずに淡々と伝えた。







『…』







おみくんは黙って俯いたまま。






きっと何も考えてなかったんだと思う。









あたしは
家出の前も感じ悪くしてごめんね。
それから家出も含めてごめんなさい。
頭を下げて謝った。










その姿を見てか、
おみくんの重い口が開いて
『ああ…別に…
正直、家出の前の空気は地獄だったし、
毎日家に帰りたくなかった。
家出は思ったより短かったね。
ちびおみと土日が過ごせて良かったよ。』
って返事をしてきた。

















びっくりした。












え?
なにそれ?
もっと言うことないの?

















あなたからは?
あなたからのごめんねは?
あやまれよ今すぐ
なんで?
なんでそんな横柄なの?
あたしが家出をしたのって
10:0であたしが悪いの?
あたしが謝って、
おみくんも謝って、
それから話を進めるんじゃないの?
正直地獄だった?
あたしは今だって地獄だよ
確かにおみくんは被害者だけど、
同時に加害者でもあるからね?
それはあたしも一緒。
なのになんでそんなこと言うの?
なんでそうなったのか
考えてくれないの?







おみくんはそのままあたしを睨みつけて
寝室に向かっていった。










ねえ。
おみくん。
そんな目であたしを睨む様になったのね。












結婚しなきゃよかった














初めて本気でそう思った














ついにこの言葉が浮かぶなんて。








けど、
もう期待しない。
期待せず、好意も持たず、
ただ、
同居人としてやってくんだ。
あたしのためでも
おみくんのためでもない
ちびおみのため。





お互いの愛情が冷めても、
ちびおみへの愛情は溢れんばかりだもん
それはあたしもおみくんも。
だから、
このままやってくんだ。






イライラしすぎて
どうしようもできなくて



陣痛来た時の
いきみを逃すような声を出しながら
ひたすらリビングをぐるぐる歩いた
途中うずくまって
低い声で唸って
髪の毛を力一杯引っ張る







耐えなきゃ
耐えなきゃ
耐えなきゃ
耐えなきゃ
耐えなきゃ










ちびおみのため

ここは耐えろ