↓これを書くたびに、
脳内でジャックバウアーが「前回までの24」ってささやく件。
海外ドラマ最近見てないなぁ。
 
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前回の記事はこちら

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このブログ、妊娠を全くめでたい雰囲気で書いておらず、

相変わらず暗いトーンでぐちぐち書いてますが、

ちゃんと、喜んでますよ!!

 

年末に発売されるキッズの福袋を吟味しながら、

長男の分だけでなく、まだ生まれてない子の福袋を買うか悩むくらいにはお花畑です笑

12月初旬現在、ようやく安定期に入りました。

 

 

●10w6d、クリニック卒業

 

遺伝カウンセリングで羊水検査の相談をした翌日の2019年11月頭。

移植をしたクリニックに最後の診察へ。

 

CRL37.3mm。

じっとしていると思ったら測っている最中に突然両手を振ってクネクネ動き出し、

先生に「おーアピールしてるねぇ」と笑われて、

初めて、エコーを緊張せずに楽しく受けられました。

 

この頃も週に1回程度、少量の出血があったりはしたのですが、子宮内出血も治まっており、問題ないとのことで、転院先への紹介状をもらうことに。

 

受診先を決めておいて、と事前に言われていました。

 

 

1人目と違い長男がいる、かつ、RBに関しては生まれてすぐの治療はない(つもり)ので、

里帰りせず自宅近辺での出産を考えていました。

引越したために1からの病院探し。

 

前回は、実家近くのマンモス産院でしたが、

確定の遺伝子検査のための臍帯血輸送はスムーズだったけど、

生まれてすぐの眼底検査は、「遺伝が分かっている」と何度も言ったにも関わらず、

出産後に全く予約の準備がされておらず、唖然、のちぶち切れた経験が。

 

 

 

そこで、悩む。

 

 

 

確度の高い羊水検査で遺伝してないと分かったなら、臍帯血による確定遺伝子検査はいらない?

生後すぐの眼底検査もいらない?

 

 

いざ、産んだ時そう思うだろうか。

 

 

はい、皆さんもうお分かりかと。

私、不安で多分全部やるんだろうなぁ。

30数年も自分と付き合ってると、この根暗な性格分かってますからね、こちとら。

 

 

 

そう考えると、近くにあるいくつかの産院の中で

タクシーで10分くらいで行け、産婦人科も小児科も眼科も遺伝相談外来もある大学病院が候補に。

ハイリスクではない普通分娩も受け入れているとのこと。

 

本当は個人産院でマッサージとか、豪華なお祝い膳とか、LDRとか、と

少し(かなり)悩んだけど、ま、背に腹は代えられない。

新生児が他の病院で眼科を受診する場合、移動とか、保険証がないとか、自分の体調とか、長男の時いろいろ面倒だったので。

 

 

というわけで、病院名を伝え、紹介状をもらいました。

 

 

 

 

●隠して産むか、隠さず産むか

 

 

 

そこで一つ、問題が浮上しました。

 

私が受けたPGTM、PGTAはもちろん、国内で正規に承認されていない、仲介機関を介したもの。

 

クリニックの紹介状には当然、そのことは書かれておらず、

体外受精(顕微受精)であること。採卵日や受精卵の状態などしか書かれていません。

 

 

私が黙って出産する大学病院に紹介状を持って行き、

「遺伝性RBなので、外部で羊水検査を受けます」と伝え、

PGTーM通りの結果が出たら、「遺伝していませんでした」と伝えれば、

表面上は、不妊治療で2人目を授り、「幸運にも遺伝を免れた」、ただの妊婦です。

 

 

でも、それがなんだか納得いきませんでした。

 

 

私は隠さねばならないことをしているのか?

授かった過程を隠して、お腹の子は産まれなければならないのか。

 

 

ややこしい妊婦だなと我ながら思いつつ。

 

 

 

こういうことで悩む患者がいて、

長男の妊娠・出産、発症と治療を経て、こういう活動をしていてこういう決断をした。

それを含めて、全部伝えた上で産みたいというのはおかしいのかなーと。

 

 

年齢や流産回数が少ない不妊患者さんのPGTーAや、卵子・精子提供等もそうですが

国内で学会の規制でできないなら、できるところでやる。

それを全て悪とは思いません。

自分が悩んでたどり着いたのと同じで、それぞれ悩んだり辛い経験をして選び取った道のはずだから。

その過程を知らない他人が安易に評価することではない。

一方で、社会的なルールは確かに存在します。

 

 

 

こっそり隠してやって、それで自分は良かったとしても、

皆が隠れてやるだけでは、社会は変わらないし、

同じことで悩んでいる患者が、その術に辿り着けるかどうかは、

患者の情報収集能力や資金力にかかってるなんて、おかしい。

 


NIPTの無認可施設がなし崩しに広まって、日産婦が適応拡大を迫られ、国が介入する事態になっていますが、

表立って波風が立たないと、水面下の現実と、社会的な建前はどんどん乖離して、

社会全体の議論や動きは鈍く後手後手になってしまう。

その間に、泣き寝入りしたり、諦めたりする人だって出てくる。

 

 

 

それが嫌でした。

隠さなきゃいけないことなんて何もしていない。

医療関係者にも、こういう患者がいるということを知ってほしい。

 

 

 

 

そういった話を、前日のカウンセリングで相談していました。

そうなると浮上する問題は、「クリニックの名前が入った」紹介状だということ。



それを大学病院に持っていき、PGTーMしましたー!と堂々と公開するわけにはいきません。

いつか隠さずにすむように日本の制度が整えばいいとは思うけど、今はまだそうなっていない。

私と同じく、そのクリニックを救いの場として頼っている遺伝性疾患の患者は他にもいるはずなので。
私のエゴで、クリニックの名前を他で晒すわけにはいかない。

 

じゃあやっぱり、黙っていればいいのかな。

と、カウンセリングで逡巡していた私に、助け舟を出してくれた先生。

 

 

「一度その紹介状をうちに持ってきてくれたら、病院名を伏せて、かつ何故伏せるのかも含めた添付書類も書いて、大学病院宛の紹介状を発行してあげるよ」と。

 

 

完全に「隠したくない」という私のわがままに付き合わせる形で、面倒をかけるわけですが、

「それがあなたの気持ちなら、そうしたら良い」と言っていただけて、

ありがたくお言葉に甘えることにしました。

 

 

Aクリニックから受け取った大学病院宛の紹介状を、遺伝カウンセリングを受けていた別のBクリニックに持ち込み、

採卵、移植したAクリニックの名前を消した上で、PGTMとPGTAを受けるに至った経緯や、これまでのカウンセリングで話していた私の気持ちまで盛り込んでもらい、Bクリニックの名前で紹介状を作り直していただきました。

(受け取る時に「大体こういうこと書きました」という内容を教えてくれた)

 


その週は週末に大きな学会があり、時間がない中「分娩施設の初診はあまり遅くなっても」と半日で手配していただき。

さらに、たまたまクリニックの院長が大学病院の教授と旧知とのことで、紹介状の宛名も教授宛にしてくれました。

 

本当に感謝しかありません。

何故ここまで献身的に患者の気持ちを汲み、寄り添ってくれるのかなぁと。

かなり仲良くなった先生ですが、いつか聞いてみたいと思っています。

 

 

 

 

●13w2d、大学病院初診

 

そんなわけで、分娩病院での初診にしては少し遅くなりましたが、

11月中旬、紹介状を持って、大学病院の初診へ。

 


血圧、体重を測り、採尿をし、若い先生に不妊治療のあれこれを簡単に問診され、

その後、待合室で待つことしばし。

整理番号が飛ばされているような被害妄想をしつつw、ようやく名前が呼ばれて診察室へ。

 

ドアを開けたとたん、待っていたのは、教授の先生と若い医師と看護師さんと助産師さん?

その数5人!!!!

 

…多くね?

 

が、最初の印象でした(笑)

 

動揺を隠して椅子に座ると、教授の先生。

「紹介状で事情はよく分かりました。こちらで分娩を引き受けますよ。主治医は私が」

と穏やかににっこり。

 

「もし、受け入れ断られたらどうしよう」と最悪の事態も妄想していただけに、

一気に緊張がほぐれました。

 

日産婦の議論の現状。

PGT-Mは珍しいけれど、NIPTだけでなく、PGT-Aも秘密裏に受けたいと望む妊婦が多い現実。

そういう話を世間話のようにしつつ、

「大学病院は、なかなかそういう動きについていけないけれど、、でも患者は選ぶ権利があるよね」

という趣旨の話をしてくださいました。

 

思わず、「ややこしい妊婦ですみません」と謝ってしまいましたが、

その後は至って普通の妊婦健診。

エコーもじっくり見てもらって、CRLは7.9cm。

 

その後、出産後に臍帯血を、私と長男の遺伝子検査をした国立がんセンターに送りたいという話、

来年1月にその相談のため、国がんの遺伝外来の予約を取っているという話を伝えると、

国がんから臍帯血提供依頼の紹介状を持ってきてくれれば、と了承いただけました。

 

無事、分娩予約をして、半日遅れて仕事に向かう電車の中で。

「あーやっと、なんとか出産までのあれこれが整いそうだ」と、一気に力が抜けました。