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4年前、キンモクセイが咲き誇る頃、お腹の中にいた長男の性別が分かりました。

エコーで大開脚の脚をおしり側から捉えられ、誰がどう見ても付いてた(笑)

毎年、この時期に思い出す我が家の風物詩です(美しく言ってみる)


●10w5d、羊水検査の相談

 

そんなこんなでキンモクセイが香ることも少なくなった2019年10月下旬。

10w5dで、いつも遺伝カウンセリングをしてもらっている先生のところへ、

羊水検査の相談をしに。

 

「おめでとう」

この先生に言ってもらうおめでとうが、毎回一番嬉しいです。

初めて、友人とこの先生のところに突撃したのが2018年夏。

それから1年半、人生を変えてくれた先生です。

 

私が今、遺伝情報として持っているのは、


①2015年2月、結婚前にした自分の遺伝子検査の結果

 ※染色体検査(異常なし)+RB1遺伝子の変異パターンの特定用紙

②2015年9月、長男の羊水検査結果

 ※染色体検査(異常なし)+私と同じRB1変異が見つかったという通知用紙

 ※臍帯血での確定診断は、すでに発症していたため、用紙としては現状持っていません。

③2019年6月、体外受精による受精卵のPGT-AおよびPGT-Mを行った結果

 ※2個のみ、PGT-A(染色体異常)およびPGT-M(RB1の遺伝)の双方で正常という結果

 

これを全て揃えて、先生と羊水検査を受けて確定診断をするかを相談しました。

 


これまで、筋ジスなど日産婦が承認したPGT-M含めて、羊水検査で確定させた、という話を複数聞いていたので、

PGT-Mを行う、イコール、羊水検査で確定診断

と思っていたのですが。

 

 

先生の説明によると、それぞれ、PGT-MとPGT-Aの確度はこのようなものでした。



 

①PTG-Mの場合

 

23対46本の染色体のうち、同じ番号の染色体は2本ずつ、片方が男性(父親)由来、片方が女性(母親)由来です。

つまり、13番染色体上に異常があるRBの場合、

受精卵の13番染色体2本のうち、患者(私)由来の13番染色体1本について、

RB1変異を持っている方が引き継がれたか、そうでない方かを調べる必要があります。

imageimage

 

先生が書いたものではなく、私が今スタバで5分で書いた図(笑)

イメージなので、雰囲気だけ捉えてください。

 

受精卵の患者由来の染色体を調べる際、該当の染色体からいくつかの遺伝子を抽出して、

塩基配列などを調べるのが一般的な様子。(頭からしっぽまで全部みる、というわけではない、ということ)

 

事前にRB1遺伝子の変異パターンが分かっているのがPGT-Mの前提なので、

その変異部分をダイレクトに調べているか、そうでないか、が大事だそうです。


詳細は省きます(うまく説明できない)が、①だと間違える、ということではなく。
②だと、①より確度が上がる、ということみたい。

 


そして、私がPGT-Mの検査をしてもらった海外の大手検査機関は、②のパターンでダイレクトに調べているのではないか、というのが先生の見立て。

それならば、PGT-Mの検査結果が間違っているということはほとんどないはず、と。

 


なぜ①と②では確度が変わるかという理由として、図③のような例を説明してくれました。
image

親が本来持つ染色体2本のうち、1本が生殖細胞として受精卵に引き継がれる、いわゆる減数分裂が起こるわけですが。

この時に両染色体が交差し、

「正常な(遺伝しない方の)染色体」にたまたま「RB1変異を持つ方の染色体」の一部分が、すり替わって乗っかるときがある、と。


その場合、遺伝子変異の部分をダイレクトに調べていない①のケースだと、

「調べたところはすべで正常な遺伝子配列の染色体」だったけれども、「たまたまRB1変異の場所だけすり替わっていた」ということが起こりうるそうです。

 

 


そして、この先生、なんと後日、検査した会社に検査方法を問い合わせてくださいました。

その結果、①なのか②なのかは非公表だそうですが、

 

「PGT-Mの検査が間違っている可能性が5%以上ある場合は、検査結果を通知しない」

 

という回答だったようです。


つまり、検査結果が返ってきたということは、検査結果が間違っている可能性は5%未満。

5%ということではなく5~1%だとか。疾患や変異のパターンや部位によって異なるらしい。

 

 


もはや、頭が付いていかない、見えない遺伝子レベルたちの難しい話と数字たち。


ざっくり結論をいうと、少なくとも95%以上はRBの遺伝を心配しなくてもいい、ということ。

 

 

 

②PGT-Aの場合

 

そして、PGT-A(染色体検査)の場合。

こちらの方が、検査結果が違っている可能性を説明するのは簡単。

imageピザか。

 

 

PGT-Aは、受精卵から胚盤胞になった時点で、将来胎盤になる方の細胞を採取して検査を行います。

受精卵全ての細胞が全く同じなら問題ないのですが、分裂の過程で変異や起きることもあるため、

胎盤側ではない、将来胎児となる側の細胞がモザイク状に染色体異常を持っている場合があるかも、とのこと。

この可能性がまったく0ではないため、検査結果が違っている可能性が1~2%ある、とのことでした。

 

つまり、染色体異常がない可能性は98%程度。

 


 

そして、羊水検査による流産のリスク。

高いところでは1/200~300と説明を受けることもありますが、現実としては、1/300~1600程度、だそうです。

また、羊水検査では見つからない、心臓病など他の疾患の可能性等々も詳しく説明してくださいました。

 

 

●なんのための検査か

 

この説明とたくさんの机上の数字たちのデータを基に、考えました、私。

そして、印象に残ったのは、説明を受けた後に先生に言われた言葉。

 
「私があなたなら、羊水検査をするのは染色体異常の可能性の方を心配してだと思う。
でも、あなたの話を聞いていると、染色体異常の方は眼中にないみたいに見える」
 
 
図星かも。
 
長男の羊水検査の結果を聞くときもそうでした。
「染色体異常はありませんでした」との告知は、「ああそうですか」という感じで受け止めました。
まぁその後RBの遺伝が分かったからそれどこじゃなかったんだけど。
多くの人は染色体異常を心配して羊水検査を受けるのに、ある意味幸せなことなのかも。
 

PGTAもMも、両方とも検査したから十中八九、染色体異常もRBの遺伝もないはず。
羊水検査だってリスクはある。

でも、「万が一」を私が心配しているのは、やはりRBの遺伝なのだと思います。
 
長男の羊水検査の時のこと、遺伝の告知を受けて椅子に突っ伏して泣いたこと、
産まれて7日目に「両目に腫瘍があります」と言われた日のこと。
 

「今度は大丈夫」「そのためにこれだけやってきた」と、平時は思っていても、

私が自分で思っている以上に、「遺伝していた」「私のせいで発症した」と分かった時のことは

トラウマになっているんだなぁと。

 

 

結局、数日考えて、羊水検査を受けることに決めました。

確率の数字がどんなに低くても、拭えない私の不安を解消するため。

私のエゴで、流産のリスクが高まるかもしれない、ということよりも、

「万が一遺伝していたらどうしよう」「産んでから『発症してます』と言われたらどうしよう」

という不安に耐えることの方が、私には辛かったです。



それから、私や夫の親に対しても。


今回の妊娠と、それに至るまでの過程を、私はまだ両家の親に伝えていません。

妊娠は喜んでくれると思うけど、心配をかけるに決まっているので。

「また遺伝するかもしれないの?」と。


過保護気味なうちの親は、着床前のことを知れば、検査費用を出すというだろうし、

黙って好きなようにさせてくれている夫の両親は、遠慮してなかなか聞けないと思います。


羊水検査で結果がはっきりすれば、両家にも安心して妊娠を伝えられる。


私と両親との関係は、長男(孫)が生まれたことで少し変わりました。

悪い方向に進んだわけではなく、心配するなという方が無理な話ですが、

私のことだけではなく、孫のことでも心配をかけている、

ということが、私には負担に感じることが多く。


私の考えは少し病んで極端かなぁとも思います笑




そんな色々な葛藤を経て。


 

先生の説明を伝えた上で、夫はリスクを考えて、

「羊水検査を受ける必要はないのでは?」と言っていましたが、

「やはり受けることにした」というと、

何も言わず、「そう」と言ってくれました。

受け止めた、というより、

もはや一度決めたらいうことを聞かないことを知っているので諦めた、が近いw

 


 

先生に気持ちを伝え、12月上旬に羊水検査の予約を入れました。