長すぎたので分けました。
お知らせ逝ってしまってすみません<(_ _)>

続きです。

さて、アルフレッド側。

この人、ハッキリ言ってクズです。
目先の事、自分の事だけを考えてる、能天気でお気楽で打算的な人。
まぁ、本当にヤなヤツでした。そしてヘタレ。
これと言って嫌味な事はしないんですよ。とっても穏やかだし。
だけど、ものすごくヤなヤツwww
クレアとの別れの理由も、現在の妻との結婚のため。
マチルデに泣きついたときにも「あの時は君と結婚することしか考えてなかった」って言うんですね。

「あの時」
それは、クレアとの愛が終わった時の事です。
彼女はアルフレッドの子供を妊娠していました。
けれどアルフレッドはそれを認めず、認知裁判の場で彼女は誰とでも寝る女だと侮辱します。
そして、その証拠として証言したのは、現在の市長であるマティアスと警察署長のゲルハルトでした。
裁判後、納屋での言い争いで、2階から落ちたクレア。
アルフレッドは彼女が死んだものと思い、そのまま逃げだしてしまいます。
幸い命を取り留めたクレア。
でもその時におなかの子供を失い、そして二度と子供を産めない体になってしまいました。
彼女は町を去り、アルフレッドはマチルデと結婚。
一男一女を儲けてマチルデの実家の雑貨店を経営し、穏やかに暮らしていたんですね。

物語の中で、アルフレッドの過去はクレアへの加害者的な部分しか語られません。
この物語の出発点がクレアとの別れなので、観てる方はその中からアルフレッドを想像するしかないんです。
だから、マチルデとの結婚は店を手に入れる為だったんじゃないか、自分の欲望優先の人なんじゃないかって感じて、本気で最低って思っちゃいました。
でも、物語が進むにつれて、自己決定ができない人なのかなって思い始めました。

たぶん、マチルデとの結婚話が持ち上がった時、天秤にかけてマチルデを選ぶように仕向けたのは、マティアスやゲルハルトではなかったのかなって思ったんです。
こう思うのには、彼等とアルフレッドとのやり取りがこまごまあるんですけど、端折ります。

基本的には善良なんだと思うんですよ、アルフレッドって。
だって街の人々がクレジットカードで買い物をするようになった時
「それは借金なんだ。どうやって支払うつもりなんだ」って苦言を言うんです。
まあ自分の命がかかっているのもあったんでしょうけど(^▽^;)

さてさて、町の人々が明るくなっている最中、クレアが可愛がっていた黒豹が逃げ出します。
武装する街の人々。射殺される黒豹。
それをみたアルフレッドは、黒豹は自分である事を認識します。
クレアの本気と共に。
追い詰められるアルフレッドは、家族を捨て町を捨て逃げ出そうとするんです。
そんなアルフレッドを駅で街の人々が阻止します。
『元気で』『行っていいよ』そう言いながら、汽車に乗せない。
クレアとアルフレッドの事は街の大人たちはみんな知っている。
死の宣告は知らなくても、彼女が「正義」を欲している事はなんとなく認識している。
その正義の遂行はアルフレッドが何かをする事であると。

けれど、そんな街の人々もクレアのターゲットでした。
クレアが街を出るきっかけはアルフレッドだったかもしれない。
でも、彼女の心を殺したのは町の人々でした。
現在のクレアの絶唱と共にダンスで表現されていましたが
彼女が受けた屈辱は、女性として人として相当なものだった言う事が痛いくらいに伝わってきました。
2幕目の冒頭のシーンだった思うんですけど、私拳にぎり締めて悔しくて泣きそうになりましたもん(-""-;)

最後、町の人の投票で、アルフレッドの生死を決めることになります。
町からも逃げられない、そして町の人々からの無言の圧力。
アルフレッドは部屋に閉じこもり、初めて自分の心に向き合ったんではないかなと思います。

部屋から降り、妻マチルデとも向き合うアルフレッド。
自分の愛はクレアにあって、君との結婚はお金のため的な事を言っちゃいます。←たぶんそんな意味だった(;´∀`)
自分は愛されていると思い、彼を支えてきたマチルデにとって、アルフレッドの告白は最大の裏切りだったと思います。

ホテルに集まる人々。ついにアルフレッドの生死が決められる。
彼は静かにその様子を見ていました。
躊躇なく挙手する街の人々、それに習うように息子と娘も挙手。
最後まで友人で居てくれ、自分も信念を曲げて町の人々に同調していくだろうと懺悔してくれた校長クラウスも挙手。
最後に妻マチルデが挙手し、アルフレッドは死んでいきました。

そこに現れたクレア。
アルフレッドの亡骸にしがみつき、町の人々に「人殺し」と叫びます。
そしてその亡骸と共に町を後にします。
ヘリから現金をまきながら。

なんとも、後味の悪い終わり方でした。

そして、観終わった後の友達と私の感想。
あの終わり方で、海外では受けるんだよね。。でした。

でね、帰って色々考えてたんですけど、この物語を貫いているのって「シニカル」さってことなのかなぁって思いました。

クレアのアルフレッドに対する憎悪は愛情の裏返し。
けれど、町の人々に対する憎悪は、憎悪でしかありえなかった。
町が荒廃した原因を作ったのは実はクレアで、町の基幹産業である工場を買い取り潰し、寄付を許諾し、人ひとりの命を天秤にかける条件を出して、少しずつ種明かしをして追い詰めていく。
もし、街の人々が欲望に打ち勝ち、アルフレッドを救おうとするのならば、クレアの選択はまた違ったものであったと思います。

結局、彼らが選択したのは欲望で、憎悪と共に生きてきたクレアが手にしたのは愛した男の亡骸のみ。
大金を手にした街の人々が行きつくのは、やっぱり破滅しかなくて。。。
皮肉なお話だなぁって思います。

一瞬の欲望のために、全てを捨てられるのか。
キリスト教で言う七つの大罪と自分がどう向き合っていくのか。
色々考えさせられました。

あ、でもね、この物語にはちゃんと希望がいたんです。
小さな女の子が一人、大人に混ざってるんです。
彼女、オープニングでもセンターにいたんですね。
そして、校長クラウスにとても懐いていたんです。
きっと彼の心情や思想を素直に受け継いでいるんだろうなって思わせる演出でした。
だから、クレアとアルフレッドの悲劇と、町の人々の罪と、そしてこれから町に起るであろう悲劇を見ていく彼女は、町の希望になるんじゃないかなって。

最後に、この物語はミュージカルとして作られてますが、私的にはストレート・プレイでじっくり見たかったかなって思いました。
そうなると、ますます感想書きづらくなるんだろうけど(^▽^;)

うーん(-゛-;)
纏まらな過ぎて、また長くなっちゃった。。。

纏まらない文章にお付き合い頂いて、ありがとうございました。
次はキャストさんの感想だ!頑張ろう♪

それでは、おやすみなさい。