あれから一週間…。ずっと彼のこと考えちゃう。
トイレに入る度に不安と祈り…どうか無事でありますようにと願うばかり。毎回毎回こんな不安にさいなまれるのはやっぱりあたしにはムリ。これが結構大きな理由かも。

それとは別に、ふと気付くとやっぱり彼のこと考えちゃう。
特に今までのこと。
初めて部活で会って入部を決めた日。同学に悩んでた時にばりきやに連れて行ってくれたこと。町中の飲み会のあと二人きりで大学まで帰ってきた帰り道。じゃんじゃんでラーメン食べたり、北海道の海で遊んだり。東医体の打ち上げ後波崎で手をつないできた日、もっとうまくなりたいって悔しそうに抱いてきたこと。マハトマに連れて行ってくれたこと、帰り道運転させてくれたこと。お台場に遊びにいったこと、ナムコで遊んだり海浜公園で座りながら話したこと。
初めて彼の家に行った5月3日、ひでを裏切った日のこと、そして二人の関係が変わった日。東医体、前橋の彼の家に行った日、一緒にDSしたり、県庁、前橋公園行ったり、赤城をオープンカーで走ったこと。千葉まで一緒に試合見に行って帰りに赤レンガのクアアイナで食べたこと。からだの不思議展一緒に見に行っていろいろ教えてくれたり、桜木町の駅前のベンチでマッサージしてくれたこと。仕事に行った彼にまた会いたくて終わることを願いつつ横浜で買い物しながら待ってたこと。追いコンの日、一緒に渋川の温泉行ったこと。横浜まで車で送ってくれたこと。
たくさんのたくさんの楽しかった思い出が走馬灯のように頭の中を駆け巡る。

それから、あゆみさんと別れたって知った日のこと、同時に新しい彼女がいることを知らされたこと。心のどこかであゆみさんの次に大切に思っててくれてるって思ってた。でもそれがまんまと打ち砕かれた日。裏切られたような捨てられたようなそんなみじめな気分になった反面、不信感とか怒りの気持ちが顔を出したこと。でもそれでも嫌いになれない自分がいて…。そんなことに悩んでた時、2年目の追いコンの帰り二人で温泉いって横浜まで送ってくれたことでそんな不信感を少し忘れさせてくれたような気がしてたけど、駅でばいばいした時は、あ~もう終わりかなって思ったり。いつもなら絶対そこでばいばいにならなかったから。
それからまた少しして彼が結婚してもうじきパパになるってことを知った。もうその時は切ないとか惨めとかそんな気持ちではなくただただ彼のことを軽蔑した。新しい彼女ができても、まだ心のどこかで自分を好きでいてくれてる彼がいるんだって信じてたから。まぁ全部自分の勝手な思い込みだったんだけど、そんな馬鹿みたいな期待を見事に踏みにじってくれて…、たぶんそのときは事実と現実が衝撃的すぎて彼を軽蔑して憎むことでしか自分を守れなかったんだと思う。それからは完全無視。関わらないようにするんじゃなくて、あからさまに無視した。あたしが怒ってることを気付いて欲しくて。

そんな日々が一転したえりの結婚式。無視してたのに…話したくなかったのに…でも一方でなんで話し掛けてくれないのかって思う気持ちもあって…。矛盾だらけ…。そして結局話しちゃって、そして流れで…。たぶんお酒のせいだと思う、たぶん久しぶりに会ったからだと思う、たぶんあたしが応えたからだと思う。結局またふりだし…いや今までよりもっとひどいよね、だって家庭があるんだから。浮気が不倫に変わった最悪な日。
それから酔っ払って大変な事態になったこと。その後彼に出会えてほんとにほんとにほっとして泣いたこと。みなとみらいでごはん食べて一緒に大さん橋行った日、終電乗り過ごしちゃったけど会えたうれしさのが強かった。そしてなによりそのまま別れたことがたぶんうれしかったと思う。彼と会って夜ちゃんとばいばいしたことあんまりなかったけど、そうならなきゃっていう気持ちだけはあったから。

なんかこうやって今までを振り返ってみたら、最初の頃はいけないことっていう思いはありながらも会えることがうれしいし、求められることがうれしかった。でも去年再会してからは、うれしいっていう思いはもちろんありながらも、大きな不安がこころを埋め始めてた。不倫っていう言葉に対するうしろめたさや妊娠の恐怖とか、会えば会うほど、というかやればやるほど苦しくなることが増えてきた。それでもうれしさが勝ってたし、求められるっていうことに甘えてた。結局自分の弱さなんだよね。でもこうやってそういうことを考えてることがだんだんつらくなってきた。自分の汚い面がだんだんゆるせなくなってきてたのかも。
ただね、奥さんに対する罪悪感だけは最後までうまれなかった…あたしは最低だね、自分勝手、思いやりがない。ただ彼は絶対ヘマはしないだろうなっていう変な自信と悲しさがあったから。彼はどうやったって奥さんやこどもを選ぶってわかってたから、だからなんとも思わなかったんだろうな。自分は最初から負けてるから気持ちだけでも少しでも優位にたってたかったのかも。
なんで別れるなんて言ったの?って香織に聞かれた。なんでだったんだろうってすごく考えてた。不安が好きより勝ったからかな。恐怖に耐えられなくなったからかな。弱く醜い自分をもう見たくなかったからかな。たぶんただの自分勝手。
でも自分勝手に関しては彼も一緒。あたしもひどいけど彼も十分ひどい。こんな人として最低な二人はやっぱり別れなきゃいけなかったんだね。
でも自分で言っておいてすでに後悔のうず。もう会えない、もう優しくしてもらえない、もう求めてくれないっていう喪失感とか孤独感、もっといろいろしたいことがあったのにっていう残念感とか、いろんな後悔が生まれた。というか、そんなの言う前からわかってたし、その状況にならないように、なりたくなかったからこそ彼との関係に甘えてたわけだし。結局堂々巡りというか、答えは見えない。いや、答えはある、ただ一つ、彼と別れることが正しい答えであることは明確。ただその答えに自分の気持ちがついていかない。いずれまた自分から甘えてた状況を求めてしまうかもしれない。気持ちの堂々巡り、もうだめだね、とりあえず今はつらくても気になっても彼を自分から遠ざけなきゃいけないんだ。
でも不思議なんだよね、前より今のほうが連絡してもいいかなっていう気持ちが強いの。前は絶対自分から連絡しないようにしてたのに。たぶんそこが唯一自分にできる防衛だったからだね。これだけは守らなきゃって思ってたから。それを全部さらけ出してしまったから、今は防衛の気持ちが弱くなっちゃったんだ。うちに秘めた思いは強いって言うもんね。それに前は自分が連絡しなくても彼から連絡してくれるっていう自負がたぶんあったんだと思う。だから自分からしたくても我慢できた。でも今はもう一生彼からの連絡はないかもしれないから、だから不安になって自分でしなきゃ、してもいいやって思ったのかも。