各駅停車は雨音に消えていく


雨はぱらぱらと


砂糖をまぶすように


さらさらと浮かんでは消える


電車はガタガタと


掛け声をかけながら


えっちらおっちら進んでいく


僕は長々と


もう飽いた新聞を読みながら


呼ばれるように2号車の窓から外をみる


薄い窓ガラスには雨粒が敷き詰められ


今降っている雨粒なのか


さっき降っていた雨粒なのか


ずっとそこにいる雨粒なのか


僕にはさっぱりわからない


ただ、雨粒は各駅停車を包み


そっと周りから隠し


静かな運転を願っている


それだけは、なんとなくわかった


僕はきゅっと締まったネクタイを緩め


手を繋いでいるボタンを外し


無愛想に伸びた袖を捲った


静かだ


そんな思いすら吸い込んで


溶けて消える


ただひたすらに静かだった


各駅停車は時間も知らせずに


えっちらおっちら進んでいく


雨音に守られながら


ふんわりと空気を含んで


深呼吸でもするように進んでいく


カタカタと
見つからないように茂みに隠れる


昨日の続きのかくれんぼ


結局、いつまでたっても彼を見つけられなかったから


また、今日もかくれんぼ


じっと待つ


周りには誰もいないはずなのに


びっしりと熱気が僕の周りを囲んでいる


暑いと声に出すわけにもいかず、


代わりに僕は汗を流す


そういえばと、


僕は先週の期末テストを思い出す


きっと、100点だろう


見なくても、聞かなくてもわかる


僕の取り柄は、100点をとる以外のなんでもないから


数字


点数はただの数字


そんなことは知ってる


誰だって知ってる


それでも


僕の取り柄は、100点をとること


僕は、ただの


馬鹿になれない馬鹿だ


それは


馬鹿なのか馬鹿じゃないのか


考えようとも思ったけど


暑さで誤魔化して、じっと待つ


外は暑い


もう我慢の限界だと、呟きながら


また今日も


見つかるように茂みに隠れる
虫取り網を右手に、星を追いかける


僕は、人に聞かれたらこう言うようにしている


僕は星採りだ、と


きらきらと光る星を、嘆くように採っていく


それが僕だと


仕事じゃないし、趣味だというわけでもない


ただ、それが僕なんだと


三月前にようやく気づいた


星はささやかに煌めく


僕の事を誘っているわけじゃない


こんな虫取り網しか持っていないような


形容しがたい僕の事なんて目にも入っていないだろう


それでも、僕はいてもたってもいられなくなる


一つの星が入った虫かごを首にかけ、


色の褪せた樫の虫取り網を右手に、


僕は光る星を追いかける


日を追うたびに、生まれる星を


僕はどうにかならないものかと、思いながらも


額に汗を浮かべ、追いかける


虫かごの中に閉じ込められた星が


短い息を吐くのを無視して、


虫取り網を右手に、星を追いかける