2024年から1万円札の紙幣のデザインに採用されることになった渋沢栄一。
お札のデザイン発表があるまで、渋沢栄一って誰?という方も多かったことでしょう。
歴史の教科書でも習ったことがないので、知らないというのも当然ですね。
渋沢栄一は明治時代に活躍した人物で「経済の父」とか「近代日本社会の建設者」などと呼ばれる偉人。生涯で約500社の会社や約600の社会事業に関わり、2度もノーベル賞候補にもなったこともあり、優れた実業家であっただけでなく、国際関係にまで大きな影響を及ぼした人物です。
まさに、一万円札になるにふさわしい方です
「論語と算盤」は、渋沢栄一の講演を10個のテーマでまとめたものです。
この本は100年以上に渡って、多くの実業家、経営者、教育者、スポーツ関係者等に愛読され続けています。経済がどのように営まれていくべきか、個人がどのように生きていくべきなのかなどについて、非常に参考になることが網羅されています。
「論語」とは儒教の基本経典で四書の一つ。6歳頃から漢籍に親しんだ渋沢栄一は、論語から多くのことを学び、彼の人生の行動指針としていました。彼の一生を貫いた思想です。
「算盤」は経済活動や利益追求を指し、人々が幸福になるためには「論語」と「算盤」の両方のバランスが大事であることを伝えています。論語をベースにして、モラルのある資本主義を育てるためのヒントがつまっています。
リーマンショックで崩壊した経済、コロナで連鎖的に大打撃を受ける社会、移民問題で争いが絶えない国際社会、あらゆる分野で格差が進む今の時代に、この論語と算盤の思考から学ぼうという機運が、日本だけでなくなく、世界中で高まってきています。
経済躍進の著しい中国でも「論語と算盤」は人気で何冊もの本が翻訳され、
経営や経済などといった大きな話だけでなく、一人一人の生き方にも多くの示唆を与えてくれます。
渋沢栄一のこと、また「論語と算盤」は、大人だけが知っておくべきことではありません。
子どもたちにもぜひ、彼の生き様や考え方を知る必要があると思います。
「子どもには難しすぎるんじゃな?」と思われるかもません。
でも、渋沢栄一が論語や算盤について学び始めたのは6歳前後。
6歳前後からでも、学べることは十分可能ですね。
2021年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」の放映があり、多くの書籍が刊行されるなど、渋沢栄一について知る機会が増えてきたことはとても喜ばしいことです。我が家でも、大河ドラマを家族で観たり、関連書籍を読んだりしてきました。これまで知っていた渋沢栄一の点と点の情報がつながり、私自身は震えるほどの感動を何度もしました。改めて、渋沢栄一の功績のすごさに圧倒されましたね
もちろん、まだ小さい子どもたちですので、すべてを理解することはできません。ですので、親の私たちの言葉で言い換えたり、かみ砕いたりする必要はあります。それをするためには、自分たちが理解していないといけませんね。
渋沢栄一について知れば知るほど、発見と気づきがあり、今後も、親子で学んでいきたいなと思っています
(録画したドラマは、子どもたちが少し大きくなったら観返したいと思っています。)
より多くの家庭でも、渋沢栄一のこと、「論語と算盤」のことを語り合う機会が増えればいいなと思います。
彼の思想や志を知ることで、子どもたちの中にも志を持つことの大切さや、私欲を勘定に入れず、人のため、公益のために自分の才能や命を使うことに、少しでも意識を向けられるようになれば、無駄な争いや苦しみのない、より良い社会につながっていくことでしょう。
自分自身を戒めて…の希望です
ここでは我が家で読んだ本の中で、特にお勧めの本をご紹介します。
① 「論語と算盤」渋沢栄一(著) 守屋淳(訳)
<お勧めポイント>
100年以上もの間読み継がれてきた国民的ベストセラー。渋沢栄一の本と言えば間違いなくこの1冊ですね。ここであげた「論語と算盤」の現代語訳版はとても読みやすいです。翻訳者の守屋淳さんは「中学生でも読める」ことを目指して、今回の翻訳を手掛けたそうです。すばらしい仕上がりです。私が好きな部分は、第1章の「大きな志と小さな志」と「蟹穴主義」の項目です。読むたびにパワーがみなぎります。
2021年12月に(社)音読協会が主催した「ビブリオバトル」で、私はこの本を紹介させていただきました。20代に出会い、約15年以上も愛読している本。我が家には、いろんな方の翻訳版が何冊もあります(笑)
② 「100分で名著 論語と算盤」渋沢栄一
<お勧めポイント>
2021年4月に放映されたNHKテキストです。渋沢栄一や「論語と算盤」のことを簡潔に、でも重要ポイントはしっかりおさえたい人にお勧めです。中国古典研究家の守屋淳さんの解説で展開していき、参考写真も盛り込まれていて、大変わかりやすいです。500円でこんな本が読めるなんてほんとうにありがたいことです。著者様、守屋さん、出版社様に感謝!
③ 「自分で考えて行動しよう! こども論語とそろばん」斎藤孝(著)
<お勧めのポント>
「声に出して読みたい日本語」でおなじみの斎藤孝先生による超訳で、これ以上わかりやすくできないほどに易しく「論語と算盤」について書かれています。「お金儲けっていけないことなの?」「常識って何?」「人生で成功するにはどうすればいいの?」などについて、渋沢栄一の考えに触れることができる良書です。子ども向けに編集されていますが、親子で語りあいながら、かみしめて、何度も読みたいです。
④漫画版 論語と算盤
近藤 たかし (著), 渋沢 栄一 (原著)
<お勧めのポント>
論語と算盤の漫画版ですね。漫画ではありますが。大河ドラマでは載っていない内容も入っていて結構深いなと思いました。
ただ、ルビがふられていないので、小学生が読むには厳しと思います。大人が読むにはとてもお勧めです。
⑤ 「渋沢栄一 (学研まんが NEW日本の伝記)」
大石学 (監修), 絢前ゆうた (著, イラスト)
<お勧めのポント>
本を読むのが苦手な親子には漫画版の伝記はいかがでしょうか?イラストの渋沢栄一があまりにイケメンでキラキラしすぎている感はありますが、彼の半生や公益を追求した彼の思想を知るには手っ取り早くお勧めです。
⑥ 「マンガ&物語で読む偉人伝 渋沢栄一 津田梅子 北里柴三郎」
<お勧めのポント>
こちらも漫画版の偉人伝。渋沢栄一を含む2024年の新札になる津田梅子、北里柴三郎についても載っています。日本にはこんなすばらしい人物たちがいて、今の私たちの社会の基礎を作ってくれだなということがわかり、感謝の念と勇気が湧いてきます。単に、「お札の人ね」だけではなく、「こんな人だよ」と子どもに伝えられるようになりたい親御さんんは読まれてみてはいかがでしょうか?
⑦渋沢栄一自伝―渋沢栄一の『雨夜譚』を「生の言葉」で読む。
渋沢栄一 (著)
<お勧めのポント>
漢文調で書かれているので、少し読むのが難しいですが、渋沢栄一の肉声が聞こえてくる感じがして、私は一番好きな本の一つです。
渋沢栄一のことをもっと深く知りたいという方にはとてもお勧めです。
この他にも渋沢栄一に関する本は山のようにあるので順次加えていく予定です。
(2021年12月28日 記事執筆)