芥川賞を受賞した西村 賢太氏の「苦役列車 」を読みました。
授賞式での作家本人の奇抜な受け答えや作品の内容の悲惨さなど
が話題となっている小説です。読む前は、「蟹工船」など暗いイメージを持っていましたが
西村氏の実体験をベースにした私小説ということもあり、純粋なリアリティを
感じ、一気に通読しました。
作品は、取り立てて、文章がうまいというわけでも、展開が
素晴らしいというわけでもありませんが、本人の実体験が、しっとりと浸透してきて
自分の若い時代のコンプレックスや苦い思い出などが重なり、共感をかんじました。
ある意味で、小説の持っている本質的な強さというか、純真さが表れている作品です。
全共闘世代の代表的な私小説作家、中上健治氏とも違い、物語の構造や、表現力に
依存しない、ストレートな表現が新鮮でした。
