最近ご相談を受ける中でよく耳にするのが
「この物件は資産価値がありますか?」
という質問です。
誤解を恐れずに言うと、答えは、
「分かりません」
となります。
「資産価値の上がるマンション」「価値の変わらないマンション」など、
不動産会社発信の様々なうたい文句が横行している中、
専門家の私達が言うことにしては、
ずいぶんと無責任に聞こえてしまうでしょうか。
では、少し深掘りしてみましょう。
資産価値とは「出口(売る時)と入口(買う時)の差」になります。
この差でプラスが多いほど、資産価値があるマンションということになります。
ここで「新築や築浅の方が新しいから良いよね」となるのは
とても表面的であり、安易です。
新築(築浅含む)マンションは、その後の価値の下落が顕著です。
なぜかというと、建主(デベロッパー)の利益が多分に付加されているからです。
そうすると、出口-入口の価格差が大きくなり、
一見新しくて、あいまいもことした「資産価値」という面では
高そうに見えますが、実態はそうではありません。
逆に、価格が安定期に入っている中古マンションであれば、
ここの価格差が少ないケースも多いので、
その場合は出口-入口の差はあまりなくなり(場合によって逆転!という事もあります)、
資産価値がある。という事になります。
では、『分かりません』ではなく、古いマンションの方が良いですよ。
と言えば良いかというと、一概にそういう話ではありません。
それは何故かと言うと、そこには『管理状態』だったり、『修繕状況』だったり、
『マンション固有の意識』だったりというソフトウェアの部分から、『立地性』という
不可変な部分までもを包括する必要があるからです。
今後はここに『コミュニティ』という無形のものも入ってくるでしょう。
要は、古いものは総じてイイ、という懐古主義なのではなく、
個体差のある物件毎に調べて行く事が、とても重要なのです。
特に『立地性』は、資産価値を語る上では建物以上に大切とも言えます。
郊外の新築が、今後少子化が続くこのご時世で、
競争力を保てるかというと、難しいと言わざるをえません。
こういった様々な事象を複合的に考える事が、
本当の意味での『資産価値』に繋がります。
決して、47年という『減価償却』の観点から計算する残存価値が、
マーケット上での価値では無いんですよ。
加えて言うならば、
価値にがんじがらめになり、本来の目的である
『ハッピーに暮らす』『豊かに暮らす』という観点を忘れてはいけません。
そこを捨ててハッピーになった方を、私はほとんど知りません。
空間ディレクター
和泉