「あなたの余命は1年です」
そんなことを突然言われたら私はどうするだろう?
2月半ばに79歳になったばかりの父がこの宣告を受けた。
1月の誕生月健康診断で、ある数値に異常が発覚し、大きな病院で再検査を
したのが2月の初め。自覚症状全くなし。
胃カメラ、大腸検査、異常なし。
2月半ば、CTスキャン・・・
結果、膵臓癌。ステージ4。肝臓にも転移。
広がっている範囲が大きく、手術も放射線治療もできない。
唯一、抗がん剤治療。しかし、完治はせずに余命が少し伸びるかもしれない・・・程度
何も治療をしなければ1年。
闘病に時間をかけるならば抗がん剤はせずに、やりたいことをやるという選択もあると。
思いもよらなかった宣告に、両親とも突然の告知に現実を理解できなかったようだ。
当たり前だ。
体のどこにも不具合を感じていなかったし、病院にいくまで普通にご飯食べて、
普通にテレビ見て普通に過ごしていたのに突然命の期限を突きつけられても、
受け入れられないだろう。
翌週、家族全員で方針を決めて病院に来るようにと招集がかかった。
これまで、病気はしたことがない健康そのもの。
風邪くらいしかひかなかった父が突然の余命宣言。
改めて家族4人、この宣告を受ける。
セカンドオピニオンも可能とのことだったが、病院の利便性と、担当の先生を信頼しており、
先生の治療を受けたいという意思。そして抗がん剤治療を選択。
家族は本人が望む方を支援することにした。
しかし、最近の医者の告知というのは、「風邪です!」って言うように
「ガンです。1年です!」なんて本人にさらっと言ってしまうものなのか?
残酷だと思った。
思いもかけないことをいわれたら、頭が真っ白になって、立ち上がれず、
そのまま絶望して命を絶ってしまう人だっていてもおかしくない。
両親はよく無事に家に帰ってきたと思った。
「ショックを受けるということは現状をしっかり理解して頂けたと思います」との返答だった。
う・・・ん・・・
病院的には、本人が現実を把握して医師とともに目標に向かって治療をしていく方が望ましいという考え。それはそれでわからなくはない。
でもなんかしっくりこない。
ではいつ告知をするのがいいのだろう?
やはり、検査の結果を説明するときなのだろうか・・・
我が家の場合、残酷な宣言を聞いてしまったのでそこからどうするかを
手探りで考えていくしかないのだ。それが現実。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私だったらどちらを選択するだろうか?
命の時間を区切られたら、どうするだろう?
布団のなかで絶望しても時は過ぎる。ならば楽しく過ごしたい。
私は、旅行とかやりたいことをやって終末を迎えたいと思った。
しかし、母は逆だった。そんな旅行は楽しくないと。。。
私、冷たいのかな?
宣告を受けてから自問自答の毎日。答えなんかない。
終末の迎え方、死に様は、生き様なんだと改めて思う。
どんな人生を送ってきたか。どのようにしめくくりたいか。
2月半ばに宣告を受けてから、父は食事を口にすることができなくなった。
これではガンと闘う前に体力が落ちて負けてしまうではないか。
「病は気から」を絵に描いたようなパターン。
先生はえらい爆弾をなげてくれたものだ。
この日を境に我が家の生活が一変する。