ふと思い出した。


と思ったら、走馬灯のようにいろいろな事が蘇ってきた。


高校のクラスメイトだった Iくん。


元気だろうか。


今どこで何をしているんだろう。


本当にイタリアにでも行ったんだろうか。


まさかまさかイタリア国籍なんて取得してたりしないだろうか。


毎年届いていた年賀状もいつからか届かなくなった。


最後に会ったのはいつだっけ。


7年くらい前か。


どうしてその時会ったんだっけ。


そうだ、Iくんのチェロの演奏会に行ったんだ。


で、私は演奏はろくに聴かず寝ていたんだ。


演奏会の後、お茶しながら感想を聞かれて焦った。


ちょっと変わった人だったけど、相変わらず変わってるんだろうか。


なぜか、彼はいつもイタリア国旗を持ち歩いていた。


自分で、俺はイタリア人顔だと言っていた。


「瞳の色とか、肌の色とか、彫りの深さとかね」と。


同意を求められて非常に困った。


「本当にイタリアの血が入っているんですか?」


そう言われたと嬉しそうに話していた。


私には日本人以外のナニモノにも見えなかった。


すごく頭良いはずなのになんか変だった。


頭良い人って、こういうもんなのか。


知り合った頃から、周りとは少し違うとは思っていたが。


彼は浪人している頃からおかしくなり始めた。


高校時代から付き合っていた彼女に振られて、それは決定的になった。


Iくんは三浪して、某国立大学に入った。


最初からそこにしておけばストレートで入れたはずなのに。


医者になる夢は諦めたのか。


それとも新たな夢が見つかったのか。


それは聞けなかった。


彼はその大学でチェロに出会った。


遺伝子やら何やらの話も楽しそうにしてくれた。


私にはさっぱり解らなかった。


でも、話を聞いていて少し安心したのを覚えている。


最後に会ったとき言われた。


「たぶん○○ちゃん(私)には、またいつか絶対会うと思うんだ」と。


「そういう巡りあわせみたいなものがあると思うんだ」と。


その根拠を知りたい。


こいつのこの自信はどこから湧いてくるのか知りたい。


いや、もういい。


私はIくんに会うと、いつもなんだかドキドキした。


いやいや、そういうのではなくてね。


会うと、いろんなことをズバッと言われた。


と言うか、何もかも見透かされている気がした。


だからあれ以上近付くのは、ちょっとこわかった。


もし彼の言うように、本当にこの先また会うことがあったとしたら。


今なら言える気がする。


「結構日本人顔だよ」と。


「服のセンスが独特だね」と。


でも、やっぱり言えないかもしれない。


誰か、Iくん知りませんか?









なんなんだこのブログ。