正直びっくりしたけど

少し考えて冷静に答えた。

「うん・・・どうして?」

「いや・・・うん・・・」

彼は口ごもってしまった。

けど、私は彼の答えを待った。

「隣にいてほしいと思ったから・・・」

たぶん、これは本音だろう・・・

一緒に寝たら、ナニか起こる気がした。

だけど、拒まなかった。

それは、彼を可愛そうだと思ったからではない。

ただ、私自身が、彼の隣にいたいと思ったから。


こんな弱そうな彼を見たのは初めてで

抱きしめたいと思ったのも事実。



「わかった。」



とだけ言って、私が寝るために敷いた布団を片付けた。




それから


「シャワーは?明日の朝にする?」


と聞くと、彼は


「うん。今日はもう眠い。」


と、下を向いて床に話しかけるように答えた。



「わかった。んじゃ、私、シャワー浴びてきていい?」


という私の問いにも


「うん。いいよ。」


と、下を向いたまま答えた。



私は着替えを用意して、シャワーを浴びに行った。


シャワーを浴びながら、ずっと考えた。



祐人のぶっきらぼうな話し方


あの豪快な飲み方


まっすぐな目


存在感のある身長



見た目は付き合っていたときとほとんど変わらない。


少し、顔に元気がない・・・くらいかな・・・


けど、外見は見えても心の中は見えない。


もし、彼の心を見ることができたら・・・



いろいろと考えている間に

指の先の皮がふやけてきた。



祐人がどうしてるかも気になり、慌ててバスルームを出た。



体を拭いて、髪をタオルで拭きながら部屋に戻ると・・・



ベッドの真ん中で、祐人はすでに寝息を立てていた。



疲れていたのだろう。



精神的に。



そして、同じ空間に人がいるということに


安心したのかもしれない。



横になっている彼の顔は


さっきまでの寂しそうな顔ではなかった。



せっかく休んでいる彼を起こしたくなかった。


濡れた髪を乾かそうか迷いつつ


テレビから流れる音を消して


部屋には彼の寝息だけになった。



ドライヤーを使うのはやめて、音のないテレビと


彼の寝顔を見ながら、タオルで髪を乾かした。



それから、30分くらいたった。



私も少し、眠たくなった。


彼を起こさないように


さっきたたんだ布団を静かに、そして


ゆっくりとベッドの下に広げた。



そして、電気を消して、横になった。



そのとき・・・


彼が体を起こした。



だけど・・・それに気づかないふりをして


私は、目を瞑った。























気づくと、もう時計は12時を回っていた。



少し落ち着いたようで、

彼はコンビニで買った炭酸の飲み物を一気に飲んだ。



この豪快さは、前と変わってない。



その姿を見て、少し笑ってしまった。



さっきまで、涙を流して小さくなってた彼が

炭酸の飲み物を一気に飲んでる。



その変わりようにほっとした。




「なんだよw」



笑った私を見て


彼は、拗ねたように笑った。




「疲れてるんでしょ?もう寝る?」



そう聞く私に、また彼は黙ってしまった。




「ん?・・・あ・・・


寝れなかったら無理に寝なくていいけど・・・


あ。寝れないんだったら、


一緒に映画でも見る?見てないDVDがあるんだw」



何も言葉を発しない彼に対し、私は一人で話し続けた。



少しすると・・・




「ううん。ありがと。


今日は疲れたから横になりたい。」




と、やっと自分の意思表示をしてくれた。




「そか。んじゃ、寝よ。」




彼にはベッドに寝てもらって、私は床で寝ようと思い

掛け布団を敷いた。



その間、彼はケータイを取り出し、何かメールを打っているようだった。



メールが終わったのか、ふとこちらを向いて口を開いた。




「なぁ・・・一緒に寝ないか・・・?


だめかな・・」







その言葉を、冷静に考えた。











どれだけの時間がたったのかわからない。



いまだに祐人は、何かを話そうとはしない。



聞きたかった。



どうしてここに来たのか。



祐人が今、何を思っているのか。



祐人を助けたいと思う反面、

私の心の中には少しの期待があった。



まだ、私の事を思っていてくれたのかな。。。



もしかしたら・・・

このまま前みたいに二人で笑って手をつないで・・・



そんな甘い考えも頭に浮かんでいた。



ふられてからこんなに時間がたってるのに

まだ忘れられてない私を許してくれるのかな・・・



目の前にいる彼を見ると、

そんな甘い考えも簡単に吹き飛ばせそうだったけど・・・。



彼を見ていると、急に抱きしめたくなった。



もう、何も聞かないでいよう。



そう心に決めて、彼のほうを向いた。



そして、ぎゅっと抱きしめた。



男の人を抱きしめるというより、愛する子供を抱きしめるように・・・









震えてた。



彼の肩は小さく震えてた。



「祐人、大丈夫。今日は、私が一緒にいる。」



彼は小さく、うなずいた。



彼らしくない。



178センチもある彼の体が、すごく小さく見えた。






実際、このときの私には彼の心を包むような余裕はなかった。



自分の事すら、ちゃんとできない。



自分の心すらわからない。



もう、生きることすらめんどくさいと思っていたのだから・・・






どうしてあの言葉が出たのかわからない。



ただ、愛してた・・・のかもしれない。



もう、好きとは違う感情だった。