$On Any Sunday

木枯らしが吹いて、落ち葉が道路の上を舞っている。
オースチン・ヒーレーが落ち葉を掻き分けて走り抜けて行く。
その光景で20年近く前の自分が甦った。

約束をすっぽかされ、浮かない気分のままオープンカーのハンドルを握っていた。
ぽっかり空いてしまった今日一日をどうしたものか。
冷たい風が頬を打ち、手を凍えさせていた。
落ち葉を掻き分けて走り抜けたとき、なぜか急に気分が一転した。
「どうってことない。今、この瞬間だって最高だ」と思えた。
なんともいい加減な自分の気分。

今の季節にオープンカーが落ち葉を舞い上がらせるのを見ると、
あのときの感情の移ろい、自分の気分のいい加減さを思い出す。


洗車したばかりのオートバイに跨がりながら、
20近く年前のことをぼんやり思い出していた。
未来の20年は果てしなく長くも感じるし、
過去の20年はあっという間のようにも感じる。
ある人は20年も続けていると言い、
またある人は20年も経ってしまったと言う。
時間は無情だ。


目的地はいつもの夕陽スポット。
$On Any Sunday
空気が澄んでいる。景色が煌めいている。
オレンジの光が降り注いでいる。
風が強くなってきて、身体がぶるっと震えた。
陽が完全に沈む前に、家路につくことにしよう。
闇夜を走るよりは、夕陽を浴びながら走りたい。

夕陽が差し込む海岸線を走りながら、
木枯らしで落ち葉が舞えばいいのにと思いながら、アクセルを開けた。



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