昨夜は中秋の名月。
残念ながら雲に隠れて眺めることは出来なかったけれど。
中秋の名月と言えば、このツーリングを思い出す。


- a revival -


まだ夜露の湿り気が少し残っている。

夜が明けたばかりの生まれたての空気を、
鼻から胸いっぱいに吸い込む。

遠くの空にぼんやり見える朝焼けを眺める。

まだ車が一台も走っていない道路を鼻唄まじりに走り出す。



昨夜はこんなシチュエーションを思い浮かべていたけれど、
現実は、11:30出発。

四季を問わず、変わり行く季節は名残惜しい。
夏の残像を追い求めて伊豆へ向かう。

横浜横須賀道路→保土ヶ谷バイパス→東名高速、
海老名サービスエリアで休憩中。


===タンデム -eye catch- ======================
BMWのK100RS
ブルーのボタンダウンの半袖シャツ、
白いフルフェイス。
後部シートの女性も白いフルフェイス。
BMWは少し上品な普通の恰好がサマになる。
世界で最もタンデムがスマートに見えるオートバイ、BMW
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小田原厚木道路→荻窪IC→箱根ターンパイクへ。
ターンパイクは事故で完全通行止だった。
135号線を南下することにした。

有料道路を使わずに、
海より一本山側に入った道をのんびり走る。

昔、夏のたびに、仲間とこの道を走った。
懐かしさが込み上げてくる。
オートバイだけではなく、車でも走った道。
もう10年以上前になる。
あの頃の僕らは有料道路を使うことに、
躊躇いがあった。
今はどうだろう?
躊躇なく有料道路を利用してしまう。
ずいぶん図々しくなったものだ。

海沿いの道路は概して休憩する場所が少ない。
だいぶ小腹も空いてきた。
そんなときに、「あじろ食堂」を発見。
イカ丼
網代名物。地元の漁師料理。「イカ丼」¥1260。
ワイルドな味。


135号線をひたすら南下していく。
伊東市が近付くにつれて交通量が増え、
渋滞に突入していく。
この渋滞すら、懐かしさが込み上げてくる。
渋滞ポイントも昔のままだ。

あの頃は更に南下を続けたが、
今日は城ヶ崎海岸の手前で111号線へ。

天城高原から伊豆スカイラインで帰路につくことにする。

標高のせいで、耳がツーンとする。
エンジンノイズ、エグゾーストノイズも静かに感じる。
ヘルメットと耳の間で風を巻き込む音だけが、
連続して聴こえる。

だいぶ冷えてきた。両腕には鳥肌が立っている。

前を走る車は一台もない。

バックミラーに映る車も一台もない。

夕暮れの伊豆スカイラインで、
どこかに引き込まれてしまったかのような錯覚に陥る。
前方からクロネコヤマトのトラックがやってきて、
現実に引き戻された。

バックミラーに夕陽が映る。
脇道にバイクを止める。
伊豆スカイライン2

二日連続の夕陽鑑賞。

富士山も二日連続。

寒さが身にしみてくる。
気温を示す電光掲示板は「20度」。
おそらく、夜の訪れとともに気温は急降下するだろう。
Tシャツの上に薄いシェル一枚だけでは辛い。
無意識のうちに奥歯を強く食いしばっている。
瞬間冷凍されたみたいに。


すっかり日が暮れ、霧が森を覆いだす。
夜の箱根も10数年ぶり。
あの頃も寒さに震えた。
ターンパイクで一気に下界へ。
下るにつれて、徐々に身体が解凍されていく。
電子レンジに放り込まれたみたいに。


前方には赤い満月が低い位置に見える。

レッド・ムーン。

今日は中秋の名月。
月見をしながら帰ることにする。

西湘バイパスで平塚・横浜方面へ。

相模湾の上に浮かぶ満月を眺めながら、
134号線を走る。

満月に向かって走っているような錯覚に覆われながら、
134号線を走る。

鎌倉を通り過ぎ、逗子の駐車場でゆっくり月を眺める。
フルムーンフィーバー

もし、あの頃の仲間と、
再び伊豆ツーリングに行くチャンスがあるのなら、
この駐車場で待ち合わせよう。

そう、あの頃みたいに。


Full Moon Fever!!



<START:11:30><END:20:20><走行距離261km>