金曜日の夜、晩秋の冷たい雨が降り出してきた。

東北の旅から戻った翌日に、バンソンシングルライダース
レッドウィングのアイリッシュセッターデグナーのサドルバッグ
ミンクオイルを塗り込んだまま、乾拭きさえしていない。

iPhotoのスライドを見返しながら、
今年の旅がこのまま記憶の彼方へ去らないように振り返ってみることにする。


まず、今回は2つの「はじめて」があった。

ひとつは、夏ではなくて秋に旅したこと。
寒さに震えながら、こう思った。
「旅は夏に限る」と。
寒さはライダーに留まることをさせない。
あまりの寒さに「早く宿へ」ばかりを考えてしまい、
景色の中に溶け込むゆとりがなくなってしまう。
日没を極端に恐れたことも、ゆとりを無くさせた原因かもしれない。
そもそも、夏よりも日没の時間が1時間以上早いから、
オートバイで走り回って楽しめる時間は少ないというのに。

雨に降られながら、寒さに震え、真っ暗な一車線の高速道路を
走っているときは、「旅は夏に限る」と叫びたいくらいだった。

もうひとつは、遠く離れた土地で友人と再会したこと。
旅の途中で友人と会うことができることが、
あんなに幸せな気分になれるなんて知らなかった。
孤独な一人旅とのギャップがより幸福感を増幅させるのだろうか。


今回の旅は過去2番目に長い距離を走った(北海道の次に長い距離)。
日が暮れたあとも峠道を走っていたことを思い出す。
目標地点まであと100kmの標識を見てウンザリしたことも。

旅の後半はクラッチレバーを引く量も減ってきていた。
ワイヤーが延びたことを実感した。

それでも今は充実感に包まれている。
だって、小さなタイヤが2つ付いただけの鉄の馬で秋田県まで行ったのだから。
頭の中で日本地図を思い描いて、そこにスポーツスターを走らせてみる。
気が遠くなるような距離を走り、そこに僕は行った。
そして、名前すら知らない細くて寂しい道ばたにスポーツスターを停めて、
ぼんやりその道の先に思いを巡らしていたシーンがフラッシュバックする。

こんなシーンの連続を求めているから、
僕は旅をやめない。


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●総距離:1,828Km

●総給油料金:¥9,658
●総飲食費:¥26,000+α
●総高速料金:¥19,480
●総宿泊費:¥28,600
●その他:¥8,630

合計:¥92,368+α
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