エルシノアを引っぱり出した。陽は既に西に傾き始めている。

 真冬の2月でも走り出してしまえば、なんてことはない。

 アクセルをいっぱいに開けて、片道二車線の大きな上り坂を登る。

 葉を落とした木々が道路の脇に立ち並んでいる。

 僕は目を細めて斜陽を遮る。

 冷たい空気が鼻腔から入り込み、体内に浸透していく。

 そして、余計なものと一緒に吹き抜けていく。
 


 いつもの海岸にて。

 夏よりも砂がきめ細かくなっているような気がする。

 どうしようもないことをボンヤリと思い巡らしていたら、夕暮れがそこまで近づいてきた。
 


 ため息をぐっと飲み込んでまた走り出す。