スペシャル・ウーマン
昨日、コストコで購入したディナーロールとミニクロワッサン をコーヒーで胃の中に流し込み、慌てて出発。
先週は10:40のフェリーに間に合わず、11:20のフェリーに乗った。今週こそは10:40のフェリーに乗り、午前中のうちに房総半島に降り立ちたい。
久里浜港に到着したのは10:40ジャスト。間に合う間に合わない以前の問題として、オートバイで長蛇の列ができていた。一度に乗れるのは18台。並んでいるのは2、30台のオートバイ。間違いなく乗れない。先週、No.1に停めて乗り込み待ちをしていたのが嘘のよう。
オートバイの列の最後尾にエルシノアを停める。
次のフェリーに乗込むために、フェリー乗り口近くに先頭のオートバイから次々に位置を変更していく。僕らも前方につめようとするが、つめることができない。なぜなら無人の90ccカブが僕らの前に鎮座しているから。ハンドルとミラーに一つずつヘルメットが置かれている。タンデムツーリングのようだ。
僕のすぐ前に並んでいたマグナに乗るおじさんが郷を煮やして、「一台分空けておくから、つめてよいか?」と係員に尋ねる。
係員は「いいですよ」と快諾。
僕らは一台分だけ空きを設けて、前方に移動する。主人の帰りを待つ90ccカブは取り残されたまま。
しばらくして、若いカッポーが90ccカブに戻ってきた。
苛立を隠せない女性の大きな声が聞こえてくる。「信じられない、次にも乗れないって。もう行かない。」困り果てた表情の男性。
マグナのおじさんが、「一台分空けてあるから移動しな」と話かける。
何やら話していたカッポーの男性が右手を振りながら「いいです、やめんるで」と応えた。カッポーはカブに乗り、走り去って行った。
僕とマグナのおじさんはチケットを買いに行く。
「すごく混んでますね」と話しかけてみた。
「いや、春先はもっと凄いよ」とおじさん。
どうやら、東京湾エキスパートのようだ。
ベンチに腰掛けて、オートバイの列を眺めていた。
スポーツスターのハンサム・ソロ、ヤマハのRZのカッポー80年代風、ビッグスクーター2台のダブルカッポーいまどき風、カブのソロ、etc。いろいろな人とオートバイで見ているだけで飽きることがない。一番気を引かれたのは、カブのソロ。僕は小排気量で走り回っている人が大好きだ。チャンスがあれば話しかけたいくらいに。
気がつくと90ccカブの喧嘩カッポーがまた戻ってきていた。
「さっき並んでれば、次の次に乗れたのに」と呟く男性。
「人のせいにしないでよ」と声を荒げ、歩き出した女性。後を追いかける男性。とにかく気の強い女性だ。さっきから怒りっぱなし。またもや、90ccカブを置き去りにしてどこかへ消えていった。
マグナのおじさんが、「悪いことしたかな。彼らの人生変わっちゃったかも」と僕に話しかける。
「すごく気の強い女性ですね。」と僕は応えた。
どうやら僕らは11:20にも乗れず、12:05に乗ることになりそうだ。
その間、マグナのおじさんと話をする。館山にロッジと畑を持っていて、毎週フェリーを利用していること。収穫できる果物、ときには奥さんとタンデムで金谷に渡っていること、様々な話を聞かせてくれた。僕は決して人当たりのよい方ではなく、他人に話しかけることも、話しかけられることも滅多にないのだけれど、強いて言えば、女性よりはおじさん受けするらしい。
気の強いスペシャル・ウーマンがスタスタと早足で戻ってきた。独りで。彼女はカブに跨がると、慣れた調子で颯爽と走り去っていった。
僕とマグナのおじさんは顔を見合わせて笑う。
「彼女、オートバイ乗れるんですね。」と僕。
「それにしても、気の強い娘だったね。」とマグナのおじさん。
僕は、彼女の気の強さは彼女の魅力の一つだと思った。
カモメ
ようやく12:05分発ののフェリーに乗込むことができた。1時間以上の待ち時間、2便待ち。
売店で「横須賀海軍カリーパン」を購入。デッキに出てベンチに腰を降ろす。
抜けるような青空。とぎれとぎれの白い雲が極々控えめにポッカリ浮かんでいる。僕は空を見上げ瞼を閉じる。瞼からも暑さが伝わってくる。
カリーパンを食べ終えた頃、マグナのおじさんが近寄ってきた。
「いや~、それにしても今日はすごくよい天気だ。」と独り言のように言うマグナのおじさん。
「ホントですね。」と僕は応える。
マグナのおじさんはガイドよろしくいろいろ教えてくれる。
「あれが大島、あれは伊豆半島、そして天城山、富士山も見える。みなとみらいのランドマークまで見える。今の季節にこれだけ見えるのは珍しいよ。」
カモメがフェリーの後についてくる。
「ちょっと前はさ、みんなここからカッパエビセンを投げてたんだ。そしてカモメがそれを空中で食べる。カモメはそれを憶えていて、今でもフェリーの後を追いかける。」
「あっ、そうだ、久しぶりにやってみるか。エビセン買ってくる」とマグナのおじさん。
その間にカモメはフェリーから遠ざかり、20mほど先に1羽が飛んでいるだけになった。
「いなくなっちゃったな」といいながら、カッパエビセンを投げるマグナのおじさん。
見えるのか、匂いがするのか、1羽のカモメがすごい勢いでフェリーに近づいてきた。
マグナのおじさんはカッパエビセンを投げ続ける。
すると、どこからかカモメが続々と飛んできた。鳴き声で「集合」の合図があったみたいに。
デッキに出ていた人達は面白がって、みんなお菓子を投げ始めた。カモメのおかげでフェリー乗船客の不思議な一体感が生まれた。若い子達は写メ撮りまくりだ。
お菓子が海を汚すかもしれない、湘南で問題になっている鳶のようにカモメがなるかもしれない、お菓子がデッキを汚すかもしれない。それでも、僕はただ、楽しい気分でそれを眺めていた。
結局、僕らはカモメと一緒に東京湾を渡った。乗船時間は短過ぎるくらいに感じた。
スティーブ・マックイーンよろしく
フェリーから降りると、そのまま127号線を北上する。富津竹岡IC入り口に向かい、右手に高速道路を見ながら並走する道を進む。そして左手に墓地、目の前に素堀りトンネル。竹岡林道に入る。
看板がないと僕のようなど素人は、「ここはホントに竹岡林道か?」という疑問を抱き続けながら走ることが多い。
所々泥濘、石が転がっている。不安を抱えたまま走る。それでも、前回の六本木林道に比べれば、ぜんぜんマシだ。なんと言ってもクモの数が段違いだし。
途中、竹が道を塞ぐように真横に生えていたが、充分手で避けることができるレベルで。猛スピードで突っ込まない限り問題ない。
不安を解消してくれるのはこういう看板。
こういう看板一つで、大丈夫、OK、OK、オーライ、オーライという気になってくる。
道なりに左手へ進んで行くと、保田駅に出るらしい。駅好きな僕はとりあえず、保田駅を見てみたくなった。金谷元名林道へは引き返せばいい。
そして辿り着いた保田駅。なんともよい風情があります。
来た道を引き返して金谷元名線に。道幅も広く安心して走れる林道だった。どうやら僕はドライでフラットな林道が好きなようだ。
ススキに飲み込まれそうな箇所が所々ある。これからの季節、更に増えるのだろうか。道すらも飲み込まれてしまいそうな勢い。
写真右手が竹岡線。左手(前輪側)が金谷元名線。
それにしても、なんて素晴らしい天気なんだろう。空を見ているだけでハッピーになれる。そんな陽気だ。
金谷元名線を出て127号に舞い戻る。南下して次は山中林道を目指す。保田駅を過ぎたところを左に折れて34号線へ。10km程走って182号線へ左折。山中林道の情報は何も持っていなかったので、スローペースで脇道を観察しながら走る。ここか?と思い、右折。橋を渡ってズンズン山を登って行く。最終的にはエルシノアの登板能力を越えているのではないかと思う程の急勾配を駆け上がる。しかし、そこで行き止まり。ここではないようだ。
天神様から182号線に戻り、ほんの少し走ったところに山中林道の入り口があった。
乾いた路面を駆け上がって行く。するとすぐに草刈り作業員達が居た。バツが悪かったので、「ここって走って行けますよね?」と尋ねてみる。
「うん、オートバイなら大丈夫だよ。」と作業員さん。
砂埃を立てながら、坂を駆け上がる。道幅が広くて乾いている。おまけにススキもない。これは、いいーねっ。とアクセルを開ける。甲高い2ストロークのエグゾーストが山に響き渡る。キャブレターからは大きな吸気音が腰に響いている。自分の後ろ姿を想像してみた。スティーブ・マックイーンよろしく走れているだろうか?きっと、自分が思っているほどはスピードも出てなくて、砂埃だってショボいにきまってる。それでも、僕はマックイーン気取りでエルシノアを操っている。
途中で路面をまっ二つに引き裂くような大きな轍が現れる。モーゼの十戒か?と呟く。ビビリながらクリアしていく。コケそうになり足をつくこと2回。88号線に飛び出したところで終わり。
88号線を南に走ると、左手に大山林道の看板を発見した。バイクが反対側を向いているのは、一度通り過ぎてUターンしてきたから。
少しウェットな林道だ。2日前に降った大雨のせいだろうか。靴とジーンズに泥水を浴びながら走る。本線を走っている気でいたが、松節林道に入る。支線らしい。
左手の坂を登るのが正解。このまま松節林道を走ったが全て鋪装されていた。引き返して左手の坂を駆け上がった。
エルシノアの場合、急な上り坂は一気に駆け上がることが大事だ。一旦停止してしまうと、車体が傾いた状態からの吹け上がり悪く、ブブブッっとくすぶってしまう。そうなるともう、停まった状態でレッドゾーンにぶち込んでからクラッチミートし、リスタートするしかない。今回はじめてわかったことではないが低回転はまったく使えない。
コーヒーブレイク
ススキにもみくちゃにされながら登り着いたところに、コーヒーブレイクに最適ば場所が現れる。今回はパーコレーター、水1ℓ、もちろんガスストーブとコーヒーも持参している。しかし、タイムアップだ。すでにPM4:30を過ぎていた。日暮れまで1時間ない。真っ暗やみの林道なんて考えただけで恐ろしい。エルシノアのライトでいったい何が照らせるっていうんだ。
この先の林道とコーヒーブレイクは次回のお楽しみにする。
34号線に入ってすぐにパーカーを着たが、どんどん体温が風に吸い取られて行く。寒さで震える。
日暮れまでに山中林道を引き返す必要がある。34号線から127号線は日が暮れていようと関係ない。とにかく日暮れ前に林道だけをクリアすればよい。
大急ぎで大山林道、88号線、山中林道を引き返す。なんとか日暮れ前に山中林道から出てくることができた。
34号線から127号線に入ったところで、海の向こう側に赤富士が見えた。夕焼けの中の富士山を眺めながら金谷フェリー乗り場へ戻る。
帰りはすぐにフェリーに乗ることができた。
フェリーの中でも体温は戻らず、寒さに震えながら300円のコーヒーを口に運んでいた。次回はもっと美味いコーヒーをと考えながらボンヤリする。
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START:AM10:00
END :PM7:40
距離 :142km
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※前回以上の距離走ってるじゃん。
昨日、コストコで購入したディナーロールとミニクロワッサン をコーヒーで胃の中に流し込み、慌てて出発。
先週は10:40のフェリーに間に合わず、11:20のフェリーに乗った。今週こそは10:40のフェリーに乗り、午前中のうちに房総半島に降り立ちたい。
久里浜港に到着したのは10:40ジャスト。間に合う間に合わない以前の問題として、オートバイで長蛇の列ができていた。一度に乗れるのは18台。並んでいるのは2、30台のオートバイ。間違いなく乗れない。先週、No.1に停めて乗り込み待ちをしていたのが嘘のよう。
オートバイの列の最後尾にエルシノアを停める。
次のフェリーに乗込むために、フェリー乗り口近くに先頭のオートバイから次々に位置を変更していく。僕らも前方につめようとするが、つめることができない。なぜなら無人の90ccカブが僕らの前に鎮座しているから。ハンドルとミラーに一つずつヘルメットが置かれている。タンデムツーリングのようだ。
僕のすぐ前に並んでいたマグナに乗るおじさんが郷を煮やして、「一台分空けておくから、つめてよいか?」と係員に尋ねる。
係員は「いいですよ」と快諾。
僕らは一台分だけ空きを設けて、前方に移動する。主人の帰りを待つ90ccカブは取り残されたまま。
しばらくして、若いカッポーが90ccカブに戻ってきた。
苛立を隠せない女性の大きな声が聞こえてくる。「信じられない、次にも乗れないって。もう行かない。」困り果てた表情の男性。
マグナのおじさんが、「一台分空けてあるから移動しな」と話かける。
何やら話していたカッポーの男性が右手を振りながら「いいです、やめんるで」と応えた。カッポーはカブに乗り、走り去って行った。
僕とマグナのおじさんはチケットを買いに行く。
「すごく混んでますね」と話しかけてみた。
「いや、春先はもっと凄いよ」とおじさん。
どうやら、東京湾エキスパートのようだ。
ベンチに腰掛けて、オートバイの列を眺めていた。
スポーツスターのハンサム・ソロ、ヤマハのRZのカッポー80年代風、ビッグスクーター2台のダブルカッポーいまどき風、カブのソロ、etc。いろいろな人とオートバイで見ているだけで飽きることがない。一番気を引かれたのは、カブのソロ。僕は小排気量で走り回っている人が大好きだ。チャンスがあれば話しかけたいくらいに。
気がつくと90ccカブの喧嘩カッポーがまた戻ってきていた。
「さっき並んでれば、次の次に乗れたのに」と呟く男性。
「人のせいにしないでよ」と声を荒げ、歩き出した女性。後を追いかける男性。とにかく気の強い女性だ。さっきから怒りっぱなし。またもや、90ccカブを置き去りにしてどこかへ消えていった。
マグナのおじさんが、「悪いことしたかな。彼らの人生変わっちゃったかも」と僕に話しかける。
「すごく気の強い女性ですね。」と僕は応えた。
どうやら僕らは11:20にも乗れず、12:05に乗ることになりそうだ。
その間、マグナのおじさんと話をする。館山にロッジと畑を持っていて、毎週フェリーを利用していること。収穫できる果物、ときには奥さんとタンデムで金谷に渡っていること、様々な話を聞かせてくれた。僕は決して人当たりのよい方ではなく、他人に話しかけることも、話しかけられることも滅多にないのだけれど、強いて言えば、女性よりはおじさん受けするらしい。
気の強いスペシャル・ウーマンがスタスタと早足で戻ってきた。独りで。彼女はカブに跨がると、慣れた調子で颯爽と走り去っていった。
僕とマグナのおじさんは顔を見合わせて笑う。
「彼女、オートバイ乗れるんですね。」と僕。
「それにしても、気の強い娘だったね。」とマグナのおじさん。
僕は、彼女の気の強さは彼女の魅力の一つだと思った。
カモメ
ようやく12:05分発ののフェリーに乗込むことができた。1時間以上の待ち時間、2便待ち。
売店で「横須賀海軍カリーパン」を購入。デッキに出てベンチに腰を降ろす。
抜けるような青空。とぎれとぎれの白い雲が極々控えめにポッカリ浮かんでいる。僕は空を見上げ瞼を閉じる。瞼からも暑さが伝わってくる。
カリーパンを食べ終えた頃、マグナのおじさんが近寄ってきた。
「いや~、それにしても今日はすごくよい天気だ。」と独り言のように言うマグナのおじさん。
「ホントですね。」と僕は応える。
マグナのおじさんはガイドよろしくいろいろ教えてくれる。
「あれが大島、あれは伊豆半島、そして天城山、富士山も見える。みなとみらいのランドマークまで見える。今の季節にこれだけ見えるのは珍しいよ。」
カモメがフェリーの後についてくる。
「ちょっと前はさ、みんなここからカッパエビセンを投げてたんだ。そしてカモメがそれを空中で食べる。カモメはそれを憶えていて、今でもフェリーの後を追いかける。」
「あっ、そうだ、久しぶりにやってみるか。エビセン買ってくる」とマグナのおじさん。
その間にカモメはフェリーから遠ざかり、20mほど先に1羽が飛んでいるだけになった。
「いなくなっちゃったな」といいながら、カッパエビセンを投げるマグナのおじさん。
見えるのか、匂いがするのか、1羽のカモメがすごい勢いでフェリーに近づいてきた。
マグナのおじさんはカッパエビセンを投げ続ける。
すると、どこからかカモメが続々と飛んできた。鳴き声で「集合」の合図があったみたいに。
デッキに出ていた人達は面白がって、みんなお菓子を投げ始めた。カモメのおかげでフェリー乗船客の不思議な一体感が生まれた。若い子達は写メ撮りまくりだ。
お菓子が海を汚すかもしれない、湘南で問題になっている鳶のようにカモメがなるかもしれない、お菓子がデッキを汚すかもしれない。それでも、僕はただ、楽しい気分でそれを眺めていた。
結局、僕らはカモメと一緒に東京湾を渡った。乗船時間は短過ぎるくらいに感じた。
スティーブ・マックイーンよろしく
フェリーから降りると、そのまま127号線を北上する。富津竹岡IC入り口に向かい、右手に高速道路を見ながら並走する道を進む。そして左手に墓地、目の前に素堀りトンネル。竹岡林道に入る。
看板がないと僕のようなど素人は、「ここはホントに竹岡林道か?」という疑問を抱き続けながら走ることが多い。
所々泥濘、石が転がっている。不安を抱えたまま走る。それでも、前回の六本木林道に比べれば、ぜんぜんマシだ。なんと言ってもクモの数が段違いだし。
途中、竹が道を塞ぐように真横に生えていたが、充分手で避けることができるレベルで。猛スピードで突っ込まない限り問題ない。
不安を解消してくれるのはこういう看板。
こういう看板一つで、大丈夫、OK、OK、オーライ、オーライという気になってくる。
道なりに左手へ進んで行くと、保田駅に出るらしい。駅好きな僕はとりあえず、保田駅を見てみたくなった。金谷元名林道へは引き返せばいい。
そして辿り着いた保田駅。なんともよい風情があります。
来た道を引き返して金谷元名線に。道幅も広く安心して走れる林道だった。どうやら僕はドライでフラットな林道が好きなようだ。
ススキに飲み込まれそうな箇所が所々ある。これからの季節、更に増えるのだろうか。道すらも飲み込まれてしまいそうな勢い。
写真右手が竹岡線。左手(前輪側)が金谷元名線。
それにしても、なんて素晴らしい天気なんだろう。空を見ているだけでハッピーになれる。そんな陽気だ。
金谷元名線を出て127号に舞い戻る。南下して次は山中林道を目指す。保田駅を過ぎたところを左に折れて34号線へ。10km程走って182号線へ左折。山中林道の情報は何も持っていなかったので、スローペースで脇道を観察しながら走る。ここか?と思い、右折。橋を渡ってズンズン山を登って行く。最終的にはエルシノアの登板能力を越えているのではないかと思う程の急勾配を駆け上がる。しかし、そこで行き止まり。ここではないようだ。
天神様から182号線に戻り、ほんの少し走ったところに山中林道の入り口があった。
乾いた路面を駆け上がって行く。するとすぐに草刈り作業員達が居た。バツが悪かったので、「ここって走って行けますよね?」と尋ねてみる。
「うん、オートバイなら大丈夫だよ。」と作業員さん。
砂埃を立てながら、坂を駆け上がる。道幅が広くて乾いている。おまけにススキもない。これは、いいーねっ。とアクセルを開ける。甲高い2ストロークのエグゾーストが山に響き渡る。キャブレターからは大きな吸気音が腰に響いている。自分の後ろ姿を想像してみた。スティーブ・マックイーンよろしく走れているだろうか?きっと、自分が思っているほどはスピードも出てなくて、砂埃だってショボいにきまってる。それでも、僕はマックイーン気取りでエルシノアを操っている。
途中で路面をまっ二つに引き裂くような大きな轍が現れる。モーゼの十戒か?と呟く。ビビリながらクリアしていく。コケそうになり足をつくこと2回。88号線に飛び出したところで終わり。
88号線を南に走ると、左手に大山林道の看板を発見した。バイクが反対側を向いているのは、一度通り過ぎてUターンしてきたから。
少しウェットな林道だ。2日前に降った大雨のせいだろうか。靴とジーンズに泥水を浴びながら走る。本線を走っている気でいたが、松節林道に入る。支線らしい。
左手の坂を登るのが正解。このまま松節林道を走ったが全て鋪装されていた。引き返して左手の坂を駆け上がった。
エルシノアの場合、急な上り坂は一気に駆け上がることが大事だ。一旦停止してしまうと、車体が傾いた状態からの吹け上がり悪く、ブブブッっとくすぶってしまう。そうなるともう、停まった状態でレッドゾーンにぶち込んでからクラッチミートし、リスタートするしかない。今回はじめてわかったことではないが低回転はまったく使えない。
コーヒーブレイク
ススキにもみくちゃにされながら登り着いたところに、コーヒーブレイクに最適ば場所が現れる。今回はパーコレーター、水1ℓ、もちろんガスストーブとコーヒーも持参している。しかし、タイムアップだ。すでにPM4:30を過ぎていた。日暮れまで1時間ない。真っ暗やみの林道なんて考えただけで恐ろしい。エルシノアのライトでいったい何が照らせるっていうんだ。
この先の林道とコーヒーブレイクは次回のお楽しみにする。
34号線に入ってすぐにパーカーを着たが、どんどん体温が風に吸い取られて行く。寒さで震える。
日暮れまでに山中林道を引き返す必要がある。34号線から127号線は日が暮れていようと関係ない。とにかく日暮れ前に林道だけをクリアすればよい。
大急ぎで大山林道、88号線、山中林道を引き返す。なんとか日暮れ前に山中林道から出てくることができた。
34号線から127号線に入ったところで、海の向こう側に赤富士が見えた。夕焼けの中の富士山を眺めながら金谷フェリー乗り場へ戻る。
帰りはすぐにフェリーに乗ることができた。
フェリーの中でも体温は戻らず、寒さに震えながら300円のコーヒーを口に運んでいた。次回はもっと美味いコーヒーをと考えながらボンヤリする。
======================================
START:AM10:00
END :PM7:40
距離 :142km
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※前回以上の距離走ってるじゃん。