旅のあとは、いつも無気力な気怠さに包まれる。ただボンヤリと美味くもないタバコを吸い続け、遠くばかりを見てしまう。日常に引き戻される寂しさと、安堵感が交互に心の中を行ったり来たりしている。日常の中に待っているものは何もなく、何事なかったかのようにいつもの朝が迎えてくれる。


 自宅に戻った翌日はいつも、記憶をトレースするようにゆっくりと後片付けを行う。


 走っているあいだずっと気になっていた、フロントフォークの錆、雨によって流されたであろうチェーンオイルとワイヤーオイル、そしてテールランプ内に溜まった雨水。1/3程度まで溜まっていて、よく電球が切れなかったなぁとへんな感心をしてしまう。


 予期せずして新品に交換となったレギュレターと中古バッテリー。この二つのパーツを見るたびに、氷見の街で立ち尽くし、泣きたくなるような夜を過ごしたことを思い出すだろう。








 まったく活躍しなかった工具を工具箱に戻し、一度も使わなかったキャンプ道具を屋根裏にしまいこむ。次に屋根裏から降ろされるのは、来年の夏。一年間ずっと屋根裏の中。

 
 僕は少しでも変われただろうか、成長しただろうか。いや、きっと何も変わっていないし、成長もしていない。少なくとも目に見える範囲では。それでも、何かがインプットされたはずだ、躯から徐々に染み渡るように何かが染み込んだはずだ。それで充分だと思う。


+++++ + ALL AROUND ME  ++++++++

When the rain falls on my shoulder
I remember you cried for me
like the summer rain rears will never stay
like the sun I will dry it up forever
won't you stand with me
through the midnight sky
and wake with me
in the bright morning light

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●距離:1486.72Km

●給油:¥8824
●高速:¥10360
●宿:¥26350
●飲食:¥25060
●その他:α


合計¥70594+α
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