レインダンス・エルシノア

 連休中、3度目のライドは小雨がパラつく午後の遅い時間から。

 雨が上がったのを見計らって、走りだす。行き先はベイサイドマリーナ。ツーリングと言えるような距離ではないけれど、この時間のこんな天気の日にはちょうどよい。

 357号線は数日前とはうってかわって、空いている。途中、ポツポツとヘルメットに雨粒があたり、やがてジーンズやスウェットパーカーを湿らせた。水たまりをよけながら、空いている道路を走る。信号が少なく広いこの道路では、自動車もスピードを出しやすい。自動車にごぼう抜きされる。本格的に雨が降り出してからは、Uターンして帰ろうかとも思ったが、もはや中間地点近くまで来ている。目的地で雨宿りをして、雨が上がってから帰ることにする。

 ゴールデンウィーク最終日だからか、雨のせいか、ベイサイドマリーナも空いていた。モンベルでアウトドア用品を一通り眺め、他の店も何店舗かフラつく。

 雨が上がる気配はなくても、ときより小雨になったりはしている。小雨になったときに帰路につくことにした。

 濡れたシートをハンカチで拭き取り、キックする。クスンッ。すっかりエンジンは冷えてしまったようだ。チョークを引き、再びキック。始動完了、走り出す。走りながらチョークを戻す。水の溜まったわだちの上を走り、後ろを振り返ると、リヤタイヤが一直線の水飛沫を掻き揚げていた。小雨がシールドの上にミストのように吹きかかる。タンクの上を水滴が流れ落ちる。ブレーキは水分のせいか異様に効く。特にフロントブレーキはつんのめりそうなほど、ドン効きだ。

 初めてのヘッドライト灯火、アイドリング回転数が落ちる。薄暗いオレンジ色のヘッドライトがボンヤリと路上を照らす。ウィンカーはスローモーション。

 雨の中のエルシノアも悪くない。

 そろそろオフロードを走りたくなってきた。