●2002/09/16(晴れのち曇りそして雨)
 ◆08:00 ライダーギリギリ合格の時間に出発。
  給油を済ませて、小牧から名神高速へ。
  何度かの給油を繰り返しながら、
  終点の西宮インターまで走る。
  
  2号線で明石海峡大橋へ向かう。
  途中、兵庫駅前のウェンディーズで昼食にする。
  右隣の席では中年の主婦らしき人達が一生懸命喋っている。
  左隣の席では若いカップルが一生懸命喋っている。
  耳に飛び込むリアルな関西弁。
  関西ワールド。

  明石海峡大橋を渡り、淡路島へ。
  神戸淡路鳴門自動車道で一気に淡路島を走り抜ける。
  高台を通るこの道路の見晴しは最高。
  ただし、この日は猛烈な風が吹きつけていた。
  バイクごと飛ばされそうな強風。

  大鳴門橋で鳴門海峡を渡る。
  風が一段と強くなったように感じる。
  渦潮なんてどうでもよくなるくらいの強風。  
  ハンドルにしがみつきながら橋を渡る。
  橋の途中、路肩でパンク修理をしている
  オフロードバイクを見かけたが、
  必死でハンドルにしがみついている僕は、
  声をかけることも出来ずに通り過ぎた。

  四国上陸後は11号線でさぬき市へ向かって走り出す。
  いくつかのキャンプ場を回ってみたけれど、
  ひとっこ一人居ない寂しいキャンプ場ばかりで、
  とてもキャンプをする気にはなれなかった。
  9月中旬だから当たり前といえば当たり前だけど。

  辺りが暗くなってきた。
  もう、贅沢を言える状況ではない。
  地図を見て一番近いキャンプ場
  「みろく自然公園キャンプ場」へ向かう。
  どうやら温泉もあるみたいだし。

  野営場使用量¥300を払って、
  いざキャンプ場へ向かう。
  受付からキャンプ場までは木々に囲まれた細い1本道。
  結構な距離がある。
  獣避けの警笛が定期的に鳴り続けている。
  またまた、とんでもない所を選んでしまったみたい。
  みろく自然公園
  すぐにテントを設営し、
  徒歩で温泉へ行ってみる。
  誰もいない温泉にのんびり浸かる。
  
  畳敷きの休憩場でビールを飲みながら、
  大の字で横になる。
  できることなら、このままここで朝を迎えたいと思う。
  でも、許してもらえないだろうな、きっと。

  閉まるギリギリの時間までねばってはみたものの、
  結局はソソクサとキャンプ場に舞い戻ることにする。
  受付で一人のライダーが¥300払っている。
  お仲間ができたみたい。
  少しホッとする。

  あれ、この人鳴門海峡でパンク修理していた人だ。

  言葉を交わさないままキャンプ場に戻る。
  それにしてもホラー映画に出てきそうな夜道だ。

  テントの中で寂しさを噛み締めていると、
  パンク修理の人が近くで焚火をはじめた。
  テントから抜け出し、
  焚火に参加させてもらうことにする。

  「焚火が好きなんですよね」と彼が呟く。
  手には、どこから持ってきたのかエロ本を持っている。
  ちぎっては、炎の中に放り込んでいる。
  「持参ですか?」聞いてみる。
  「まさか、キャンプ場には結構落ちているもんですよ」と彼。
  
  「今日は大鳴門橋でパンクしちゃって困った」と彼。
  声もかけずに通り過ぎてしまった僕は、
  なんの言葉もかけることが出来なかった。

  名古屋から来たという彼は、
  これから九州、沖縄まで行くのだと言う。
  かなりの旅エキスパートらしい。

  小雨が降り始めてきた。
  焚火終了。
  お互いにテントに戻ることにする。

  テントについた雨の滴を眺めながら、
  世の中広いようで狭いなと思いながら、

  眠りに落ちる。