キャリー

※ネタバレです。

原題　Carrie

製作年　1976年

製作国　アメリカ

上映時間　98分

監督　ブライアン･デ･パルマ

製作　ポール･モナシュ

脚本　ローレンス･D･コーエン

原作　スティーブン・キング

撮影　マリオ･トッシ

編集　ポール･ハーシュ

美術　ウィリアム･ケニー、ジャック･フィクス

音楽　ピノ･ドナッジオ

出演　シシー･スペイセク、パイパー･ローリー、エイミー･アービング、ウィリアム･カット、ナンシー･アレン、ジョン･トラボルタ　他

あらすじ

狂信的で支配的な母親の元で育ち、学校でもいじめられてばかりの少女･キャリーは、初潮を迎えて動揺する。しかしその日を境にキャリーは念じることで物を動かせる超能力に目覚めていく。一方、いじめっ子たちは高校最後のプロムパーティーでキャリーに恥をかかせようと画策するが...。

久しぶりに本作を鑑賞しました。観るのはたぶん2回目なんですが、意外と忘れてましたね。

ざっくりとネタバレ全開で内容を書いておきますね。

高校生のキャリー(シシー･スペイセク)は、かなりの狂信的キリスト教徒であり、言動的にもちょっとどうかと思う母親に育てられたため、対人関係には萎縮気味。そんな彼女は格好のイジメのターゲット。まさに青汁みたいな青春まっしぐらなのです。

「最強伝説黒沢」より。

そんなキャリーにも転機が！クラスのイケメン男子にプロムパーティーに誘われ運気が急上昇。案の定、母親と「男とダンスパーティーなんてどういうつもり！」「もう！ママったら！」というやりとりもあり。

ルンルンでプロムを楽しんだキャリー。しかもベストカップルにまで選ばれ、彼女の人生は今まさに最高潮。しかし、全てはイジメっ子たちが仕組んだ罠だったのです。

突然、豚の血を頭からぶっかけられ、全身血まみれのキャリー。信じたもの全てに裏切られ、キャリーの真の能力が覚醒。会場内に全員を閉じ込めて焼き殺すという地獄絵図。

しょんぼり気味のキャリーは家に帰って母親に泣きつきますが、母親は「あんたにはもう愛想が尽きた。」とばかりにナイフでキャリーを殺そうとします。キャリーは能力を使って母親を殺しますが、勢い余って自宅まで破壊し、下敷きになった彼女も命を落とすのです。

数日後、イジメっ子グループの中で唯一キャリーを救おうとした女の子が墓参りに訪れます。献花をしようとした瞬間、地面の下からキャリーの腕がグバッ！

目が覚めるとそこはベッドの上。悪夢に苛まれる彼女はキャリーの幻影に怯えながら生きていかねばならないのでした...。END.

久しぶりに観ましたけど、すごくおもしろかったです。けっこうホラーなイメージがあったんですが、ある抑圧された感情を持つ少女が、他者との関係に一歩を踏み出す物語として、非常に感慨のある話だと思います。

キャリーを演じたシシー･スペイセクだって、実際は美人なひとだと思いますが、ちゃんとサエない感じが出ていて、とても実在感のある、素晴らしいキャスティングと演技でした。

勇気を出して他者に向き合ったキャリーですけど、その後がねぇ...。まあ目も当てられないような展開になるわけですよ。それに本作の場合、いわゆる「ナメてた相手が実は...」的な話ではありつつも、彼女によくしてくれた先生とか、好い人もみんな死んじゃうから、そこがやるせないし悲しい。挙げ句の果てには母親にまで殺されそうになった上に自分まで死ぬってあまりにも救いがない。

でも僕が今回おもしろいと思ったのは、本作ってラストがすごくいいなと。

いわゆる夢オチで、あんまり好きじゃないひともいそうですけど、最後に生き残ったあの女の子はいい子だったじゃないですか。でも、キャリーを救おうとした行動が結果的には彼女を深く傷つけてしまった。よかれと思ってしたことがことごとく裏目に出るって、現実にもよくありますよね...。

それに本作は夢オチだからこその残酷な幕切れだと思うんですよ。登場人物が死んで終わりっていうのは、ある意味楽な結果です。

それよりもツラいのは、罪悪感を抱えたまま生きていかねばならないということですよね。生きるほうが絶対に苦しい。

夢の中で彼女の腕をつかんだキャリーが何を伝えたかったのかはわかりません。「テメーも道連れにしてやる！」かもしれないし、もしかしたら自分が叶えられなかった未来を彼女に託したのかも...。そう思うとなんだか目頭が熱くなってきました。

後半の惨劇でのキャリーの顔力ばかり印象に残ってましたけど、今回はむしろ自らの殻を破った彼女の笑顔のほうが強く心に刺さりました。デ･パルマ作品の中でも特にオススメしたい一作です。

個人的評価

8/10

一応デパルマつながりで、先日の「アンタッチャブル」の記事を貼っておきますね。

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ameblo.jp

ではまた。

キャリー(1976)