スーパーのレジに
並んでいる僕の
ひとつ前に並ぶ人
さわらの切り身が
2パック
僕が今まで
カゴに入れたことのない商品を
カゴに入れたその人は
知らない人
さわらは
どうやって食べるのが
おいしいのだろうか
焼き魚くらいしか
思い浮かばないけど
一人で食べるのだろうか
家族はいるのだろうか
頻繁に買っているのだろうか
答えの知り得ない
問いをぼんやりと
浮かべてるうちに
前の人の会計が終わる
今度は僕のカゴが
レジに通され始める
(今さっそくスキャンされた
岩下の新生姜を食べたことがないなら
一度食べてみたほうがいいぜ)
後ろに並ぶ人の
知らない人として
ひとつの生活を
カゴからのぞかせながら