皆さんは、今まで3カ月毎の更新だった契約が『1カ月毎』に短縮されたらどう感じるだろう。
世の中、不況である。
更新が打ち切られる危険性を感じるだろう。
それと同時に、「なぜ3カ月から1カ月に短縮されたのか?」考えないだろうか。
私なら。
「自分の働きが悪いのだろうか?契約打ち切られたら大変!もっと頑張って働かなくちゃ」
と・・・多分思う。そして、頑張りをアピールすると思う。
いくら表面上は「不景気で会社の経営も厳しく・・・」と説明されたとしても、自分自身にも原因はなかったか?少しくらいは顧みると思うのだ。
が。
世の中には、説明をそのまま受け取り自分には何ら問題がない(あるわけない)と思える人がいるのだ。
そう、S子さん・・・
実は、営業のボスから総務人事に相談があった。
「S子さんの契約を3カ月更新から1カ月にしたい。場合によっては契約終了も考えているので、できるだけ契約終了の際にもトラブルにならないように契約の内容をあらためたい」と。
有期雇用契約といえども、契約更新を繰り返し1年以上継続してきた人の契約を終了する場合は気をつけないといけない。特に半ば「自動更新的」に更新してきた場合、安易な契約終了は労働者側から訴えられるリスクがあるのだ。→この契約は更新されると「みなされる」場合があるから。
これを避けるポイントは
・契約の更新は「絶対」ではなく「更新される場合がある」
・更新は、その時の会社の経営状況・業務量・勤務態度・能力・社員の満足度・プロジェクトの進捗状況などあらゆる要素を考慮したうえで判断される
これを契約書にしっかり明記しておいた上で、必ず契約更新のタイミングで本人と面接し次回の更新についても「絶対ではありません」と説明をしておくことである。
今まで、S子さんに限らずわが社の雇用契約書はそういう観点でチェックすると甘かった。
そのためS子さんだけでなく、契約書全体の見直しをしようと社労士に相談していたところだったので、営業のボスには前述のアドバイスをもとに新しい契約書を作成して渡した。
新契約書締結後、S子さんは私には直接語らなかったが、経理のY子さんに話したそうだ。
「私、契約を3カ月から1カ月に短縮されたの。会社の経営が厳しいから・・・って・・・・私、そのうち契約終了されるかもしれない」
と。
Y子さんは苦笑いしながら言った。
「S子さん、契約が短縮されたのは会社の経営状態の問題だけだって・・・本気で思ってるみたいです・・・・」
・・・・・・・いやまぁ、確かに、ご多分にもれずわが社も苦戦中ですよ。この不景気の中。でもね・・・・
あなたの契約が短縮されたのはそれだけが理由じゃないのですよ?!
でも、S子さんとことん前向き
営業事務のT子さん、先日まで正社員ではなかった。
契約社員として働いていたのだが、その働きぶりが認められ晴れて正社員へと登用されたのだ。
T子さんも小さな子供を抱えて、一生懸命頑張っている。
気も利くし、テキパキと仕事をこなす。
正社員に登用されると聞いたとき、私もとっても嬉しかったし、ある意味当然だろうとも思った。
T子さんは、今まで準社員として一緒に働いてきたS子さんには事前に自分の口から話しておこうと思い、正社員登用の話をしたそうだ。
その時の、S子さんの反応
「そうなんだ!おめでとう!T子さんが社員登用なんて話を聞くと、私も夢が持てるっていうか・・・準社員でも正社員になれるんだって希望がわくからすっごく嬉しい」
・・・・・・・・・・・・ごめん、S子さんは100年経っても無理だから・・・・・・・・・・・・・・
そうして契約が短縮されたS子さん
なんだかんだいいながらも、1カ月毎の更新は「なぜか」継続している。
そして、現在彼女から出てきてる要望は
「12月には移転して勤務先が遠くなるので交通費を出して欲しい」
だそうだ。
ただ、私が思うにS子さんの契約更新も12月までだと思うので・・・
多分その要望は通らないと思うのだけど・・・でも、わからない。
個人的な思いとしては、移転後、新オフィスでは『あらたな気持ち』で2010年を社員一同迎えたい。
(短期集中連載 「伝説の女(ひと)」 ひとまず完)