届いた順にファイリングされた契約書。

なんという独自性に基づいたファイリング手法なのだろう。
まさに感性で仕事をするファンタジスタ。
もちろんこれは単なる序章に過ぎない。

彼女の感性でファイリングされた数々の作品をこの半年修正してきたが手がまわらない部分もあり…いまだ苦しめられている。

私が復帰したのは4月の終わり、折しも各自治体から住民税の新しい年度データが続々と届く時期。

「あっ、じゃあこの業務についても引き継ぎしちゃいましょうね」

笑顔のS子さん。

まず昨年度のファイルを見せてもらうことに。

わが社の社員は…いろんなところに住んでいる。都内の人、千葉県から通う人、神奈川県から通う人、埼玉県から通う人、茨城県から通う人…住民税はそれら自治体のすべてから通知が届く。

「このファイルに綴じてあるんですけど…」

入間市、青梅市、中野区、柏市、青葉区、和光市、世田谷区、中央区、調布市、牛久市…………

ああ~~~~

ああ~~~~

な~に~こ~れ~~~~

聞かなくてもなんとなく答はわかる。わかるけど、でも確認しよう。
私にはわからない何かしら特殊なルールが住民税には存在するのかもしれないもの。

そう、私は総務人事業務は全くのど素人。
きちんと業務を把握もしないで他人の仕事のやり方を批判するわけにはいかないわっ!!

「…あのこれって…」

「あ、届いた順に綴じてます」

やつぱり?

「あ、でも、ここに一応インデックス貼ってわかるようにしたりとか…あっでもこれは私のやり方なんでぢろりさんのやりやすいように変えていただいていいと思います」

インデックス?

インデックスって…皆さんはどうつけますか?
インデックスって見出しですよね?

確かにインデックスのシールがついてたよ。
ついてた。
でもシールが見出しの役目を

果たしてませんから!!

なぜにインデックスシールを「埋もれる位置」に貼る。
しかも適当な位置に。

インデックスが

被ってるから!!

驚きのファイリング術はまだ続く。

一度回収したらその年度はもう増えることのない書類がガバットファイルに綴じてあったり(注:ガバットファイルとは増加していく書類に対応するために最初は3cmくらいの厚さだか最初的には10cmの厚さまで背表紙部分を引き伸ばすことができる優れものファイル)ファイルの背表紙にタイトルがついてなかったり…

背表紙にタイトルがかなったらそのファイルに何が綴じてあるのかわからないぢゃん!

て、思って手に取ってみたら…

タイトル、書いてありました。

おもて表紙に。→わからないじゃん・・・ファイルを手に取るまで・・・

手書きで。

…こんなファイリングする人…みたことない…