今から約1年前のこと
こぢろ誕生直後の話
「母乳やめたいんですけど…」
腫れ上がった胸の痛みと下半身の痛みに加え未だに母子ともに慣れない授乳、今はまだ病院だから看護師さんに助けられながらなんとかなっているものの…3日後には退院…
とてもなんとかなるとは思えず、私はあせっていた。
母乳にこだわらなくても赤ちゃんは育つ。現に今こぢろは母乳だけでは足りずにミルクを足してもらって飲んでいる…
母乳は死闘だけどミルクは穏やかに飲んでいるじゃない…
母乳にこだわる必要なんて…ない…
腫れ上がった胸を冷やす里芋湿布(コレは効きます!!)を取り替えにきてくれた看護師の神原さん(切迫入院当初からお世話になった人)にぽつりと漏らした。
「ぢろりさん!!」
神原さんはへこむ私を力強く説得し始めた。
「ぢろりさん、母乳が出ていないならまだしも…こんなに出始めているんですよ?
身体がしんどいの、わかります。産後3~4日目って疲れのピークだし、授乳も上手くいかなくて挫折感を味わうお母さんて少なくないです。
みなさん、最初からスムーズになんていかないんですよ。赤ちゃんは一週間分のお弁当を持って生まれてくるって言われています。母乳が足りないからってそんなに簡単に死んじゃったりなんてしないです。大丈夫、赤ちゃんは強いんですよ。
ぢろりさん、今は身体も本当に辛いと思います。でも下半身の痛みは今日より明日、明日よりあさって…もっと言えば一週間後、二週間後は今より確実に楽になっていきます。後退することはないんです。母乳を今やめてしまって、その時ぢろりさんは後悔するんじゃないですか?私は一ヶ月以上ぢろりさんとお付き合いしている中でそう感じるんです。母乳を今やめちゃったら、後悔するんじゃないかなぁ…」
私はこの言葉にはっとした。今は身体がものすごくしんどい。歩くたびに下半身は激痛だし腫れ上がったおっぱいは真っ赤だし痛い…でも…確かにこれらの症状は今後改善されていくものだ…ひどくなるものじゃない。
それに…私だけじゃないのか…最初から上手に出来る人なんていないのか…
そう思ったらさっきまで挫折感敗北感たっぷりだった気持ちに、少し光が差してきたようだった。
授乳室では自分以外の誰もがとても落ち着いて授乳やおむつ替えをしているように見えた。
なんで私だけこんなにもダメ母なんだろう…授乳室に行く度に自分のダメさに嫌気が増すばかりだった。
でも…最初からなんでも出来る人はいない。
もちろん最初から上手に赤ちゃんのお世話を出来る人もいるだろう。
人には向き不向きがある。私は赤ちゃんのお世話は苦手なタイプの人間なのかもしれない。だから最初はぎこちなくても仕方ない。でも絶対慣れていくはず!!
神原さんの言葉を何度も反芻しながら…まだ薄暗い早朝、私がそおっと向かった先は…栄養指導コーナー。
そこには「たけおちゃん人形」が2体置いてあるのだ。たけおちゃん人形とは両親学級などで生まれてくる赤ちゃんを体感してもらうための人形で重さは約3000g、首がすわっていない。
私はたけおちゃん人形を使って授乳の時のように、赤ちゃんを右から左、左から右へと抱っこで向きを変える練習を始めた。
えっと…こっちの手で首を支えてるでしょ…こっちを離すとガクンてなるから…ここは押さえたままこっちの手を…
あら??
…どんだけ不器用なんだ私…
でも人形を相手に何度も練習しているうちに、少しずつ要領を飲みこんできた。こぢろだと舞い上がってしまいすぐにパニクっていたけど、たけおちゃん人形相手だと少し冷静になることが出来た。
そっか、この要領で抱っこの向きを変えたらいいんだ!と。
そして私はその次に授乳室に向かった。やるしかない。私がこぢろの母親なんだから。下手でもなんでも慣れるまでやるしかない。
こぢろには…不器用な母親に生まれたとあきらめてもらおう(笑)
途中すれ違った別の看護師さんから
「ぢろりさんおはようございます。今朝はなんだかキリッとしてますね、カッコイイ」
そんな風に言われた。
人間やはり気の持ちようか?いつでもやはり下を向いてはいけないんだ。前を向かなくては。
顔を上げていかなくては。そう最初から逃げ腰じゃあ上手くいくものも上手くいかない。
私は一体なんでこんなネガティブ思考に陥ってたんだろう…(今思えば恐らくホルモンのせい)
私は自分を取り戻しつつあった。
心の中は前向き度100%だった…下半身は痛く、歩き方はいまだへっぴり腰だったけど…
神原さんから授乳室に連絡が行ったのかどうか定かではないが退院までの2日間、授乳室にいく度に看護師さんが私の隣にピタリと座りみっちり授乳指導。完全なるロックオン状態(笑)
しかしおかげで保護器を使うとスムーズに授乳できることもわかり、退院後の不安は解消された。
あ、スムーズにと言っても…母子ともに未だ授乳時の変な緊張感は漂っていたけど…最初の死闘よりは…マシ?
最終的に保護器を外して授乳できるようになったのは3週間後。
ミルクを足さずに母乳オンリーになったのは一ヶ月健診の後だった。
こぢろ誕生直後の話
「母乳やめたいんですけど…」
腫れ上がった胸の痛みと下半身の痛みに加え未だに母子ともに慣れない授乳、今はまだ病院だから看護師さんに助けられながらなんとかなっているものの…3日後には退院…
とてもなんとかなるとは思えず、私はあせっていた。
母乳にこだわらなくても赤ちゃんは育つ。現に今こぢろは母乳だけでは足りずにミルクを足してもらって飲んでいる…
母乳は死闘だけどミルクは穏やかに飲んでいるじゃない…
母乳にこだわる必要なんて…ない…
腫れ上がった胸を冷やす里芋湿布(コレは効きます!!)を取り替えにきてくれた看護師の神原さん(切迫入院当初からお世話になった人)にぽつりと漏らした。
「ぢろりさん!!」
神原さんはへこむ私を力強く説得し始めた。
「ぢろりさん、母乳が出ていないならまだしも…こんなに出始めているんですよ?
身体がしんどいの、わかります。産後3~4日目って疲れのピークだし、授乳も上手くいかなくて挫折感を味わうお母さんて少なくないです。
みなさん、最初からスムーズになんていかないんですよ。赤ちゃんは一週間分のお弁当を持って生まれてくるって言われています。母乳が足りないからってそんなに簡単に死んじゃったりなんてしないです。大丈夫、赤ちゃんは強いんですよ。
ぢろりさん、今は身体も本当に辛いと思います。でも下半身の痛みは今日より明日、明日よりあさって…もっと言えば一週間後、二週間後は今より確実に楽になっていきます。後退することはないんです。母乳を今やめてしまって、その時ぢろりさんは後悔するんじゃないですか?私は一ヶ月以上ぢろりさんとお付き合いしている中でそう感じるんです。母乳を今やめちゃったら、後悔するんじゃないかなぁ…」
私はこの言葉にはっとした。今は身体がものすごくしんどい。歩くたびに下半身は激痛だし腫れ上がったおっぱいは真っ赤だし痛い…でも…確かにこれらの症状は今後改善されていくものだ…ひどくなるものじゃない。
それに…私だけじゃないのか…最初から上手に出来る人なんていないのか…
そう思ったらさっきまで挫折感敗北感たっぷりだった気持ちに、少し光が差してきたようだった。
授乳室では自分以外の誰もがとても落ち着いて授乳やおむつ替えをしているように見えた。
なんで私だけこんなにもダメ母なんだろう…授乳室に行く度に自分のダメさに嫌気が増すばかりだった。
でも…最初からなんでも出来る人はいない。
もちろん最初から上手に赤ちゃんのお世話を出来る人もいるだろう。
人には向き不向きがある。私は赤ちゃんのお世話は苦手なタイプの人間なのかもしれない。だから最初はぎこちなくても仕方ない。でも絶対慣れていくはず!!
神原さんの言葉を何度も反芻しながら…まだ薄暗い早朝、私がそおっと向かった先は…栄養指導コーナー。
そこには「たけおちゃん人形」が2体置いてあるのだ。たけおちゃん人形とは両親学級などで生まれてくる赤ちゃんを体感してもらうための人形で重さは約3000g、首がすわっていない。
私はたけおちゃん人形を使って授乳の時のように、赤ちゃんを右から左、左から右へと抱っこで向きを変える練習を始めた。
えっと…こっちの手で首を支えてるでしょ…こっちを離すとガクンてなるから…ここは押さえたままこっちの手を…
あら??
…どんだけ不器用なんだ私…
でも人形を相手に何度も練習しているうちに、少しずつ要領を飲みこんできた。こぢろだと舞い上がってしまいすぐにパニクっていたけど、たけおちゃん人形相手だと少し冷静になることが出来た。
そっか、この要領で抱っこの向きを変えたらいいんだ!と。
そして私はその次に授乳室に向かった。やるしかない。私がこぢろの母親なんだから。下手でもなんでも慣れるまでやるしかない。
こぢろには…不器用な母親に生まれたとあきらめてもらおう(笑)
途中すれ違った別の看護師さんから
「ぢろりさんおはようございます。今朝はなんだかキリッとしてますね、カッコイイ」
そんな風に言われた。
人間やはり気の持ちようか?いつでもやはり下を向いてはいけないんだ。前を向かなくては。
顔を上げていかなくては。そう最初から逃げ腰じゃあ上手くいくものも上手くいかない。
私は一体なんでこんなネガティブ思考に陥ってたんだろう…(今思えば恐らくホルモンのせい)
私は自分を取り戻しつつあった。
心の中は前向き度100%だった…下半身は痛く、歩き方はいまだへっぴり腰だったけど…
神原さんから授乳室に連絡が行ったのかどうか定かではないが退院までの2日間、授乳室にいく度に看護師さんが私の隣にピタリと座りみっちり授乳指導。完全なるロックオン状態(笑)
しかしおかげで保護器を使うとスムーズに授乳できることもわかり、退院後の不安は解消された。
あ、スムーズにと言っても…母子ともに未だ授乳時の変な緊張感は漂っていたけど…最初の死闘よりは…マシ?
最終的に保護器を外して授乳できるようになったのは3週間後。
ミルクを足さずに母乳オンリーになったのは一ヶ月健診の後だった。