今から約1年まえのこと・・・


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4人部屋に移った夜。




にぶーいお腹の痛みで目が覚めた。時計を見ると午前2時。




痛みがひいてウトウトしかけると、またにぶーい痛みが襲ってくる。


最初は眠気が勝っていたけど次第に




「あれ?間隔が短くなってきてる??」




まさかの陣痛?!




夜中だし、部屋には他の人もいるし・・・ナースコールを鳴らそうかどうしようか迷っていたけど、寄せては返すお腹の痛みにどんどん不安も増し、ついにナースコール!




私の話を聞くと、看護師さんはすぐにNSTの計測機械をガラガラガラガラと運んできて




「お腹の張りの間隔を測ります。それが終わったら当直の先生に診ていただきましょう」




ええ?!こんな夜中に!!!!


お腹の痛みの冷や汗と不安に加えてこんな時間に先生をたたき起し診察してもらう恐縮感・・・


もう泣いちゃう、私。




ガタガタしているから周りの人にも迷惑だし・・・同室の人が目を覚ましてしまうんじゃないかとひやひやしていた。それが本当に自分にとって必要以上のプレッシャーだった。


他人を起こしてはいけない・・・でも、お腹が痛い・・・


さらに、NICUがないこの病院では今のタイミングでもし、もしも出産なんてことになったら・・・母体搬送・・・


いやだ、もうどうしよう。助けてだれかーーーー




一晩で私は精神的に疲労困憊してしまった。


一晩で白髪になってしまったマリー・アントワネットはこんな気持ちだったのだろうか(絶対違う)

その夜は結局痛みは徐々に遠のいていき、診察した結果も特に問題なし。




先生、起こしてスマン




翌朝、ろくに眠れなかったことに加え、変な精神的疲労がどっと私を襲い・・・




ダンナにメールを打った。




『元気になったら一生懸命働きます。だから個室にいっていいですか?』




ダンナからかえってきた返事はごくシンプル




『あなたの好きにしてください』




私は看護師長さんに「個室の中で一番差額ベット代が安いお部屋は空いていますか?」と即行で相談していた。




平時の私は、自分で言うのもなんだが比較的社交性のあるタイプ。人見知りもあまりせず、大勢の中でも物おじしないで話ができる人間だ。




しかし、この時の私は今考えても精神的に少しおかしかった。大部屋にうつって周囲に気にしながら寝がえりをうったり、トイレにいったり、夜中に人を起こすんじゃないかという気を遣いながら安静になんて・・・絶対無理。知らない人とできるだけ接触したくない。個室にいって一人で自分の殻に閉じこもっていたかった。




そう、私は




貝になりたい




そんな気分だったのだ。2週間の入院として差額ベット代が1日1万円とすると・・・合計14万円。




元気になったら稼いでやるよ、14万円くらい!!(ヲイ!)


(*我が家は決してセレブではありません。人は時として冷静な判断を下せなくなる時があります。それは人によって違うでしょう。私は完全に切迫早産に負けていました)




半ばやけくそになりながら、看護師長さんの回答を待つ。運がよかったのか、悪かったのか、個室は空いていた!私はそそくさと荷物をまとめると準備ができた個室に移っていった。


まさかそこが1カ月以上私の部屋になるとは思いもよらずに・・・。




結論としては、個室・・・お金がかかったけどとても気楽だった。夜中に眠れなくても、何度寝がえりを打ってもベットがぎしぎしいってもだれに気兼ねをすることもなく過ごせた。これは私にとって替えがたい精神的安定をもたらしてくれた。(毎日差額ベット代がふくらんでいく別の不安はあったが・・・ちなみに結局生保がおりたので最終的にはトントンくらいで済んだ)




また、個室ゆえに看護師さんが気軽にいろんな話を聞かせてくれたり(時に、先生の愚痴とかね。病棟内の人間模様とか)、「ちょっと休憩させてください」と逃げてきたり。笑


家族や友人も気軽にお見舞いにきては雑談して帰っていく。おかげで私は孤独感をあまり感じずに済んだ。




でも、大部屋であれば同じように切迫早産で入院している他の妊婦さんと仲良くなる機会が山ほどあっただろうに、その機会を失った。それはちょっと残念だったかなぁ・・・と思う。きっと、そこで新たな友情が生まれたりお互いに励ましあったり、産後はよきママ友としてお付き合いできたかもしれないのに。




個室にこもって一人で過ごした入院生活。


今でもちょっと「勿体ないことをしたかな」と思う時がある。