はじめに

農業に関わる仕事をしている身でありながら、中途半端なツイート↓

 

をしてしまったと思い改めて、個人的な想いを綴らせていただきます。

 

※我がバイブルであるbassyan.comを批判や否定をする内容ではありません。日本の農業問題について少しでも知って欲しいという想いです。そして今回のbassyan.comは大変意味のある問題提起をしてくれていると思います。

 

ネオニコチノイド系農薬普及と農薬の歴史

①化学合成農薬が日本に普及したのは、第二次世界大戦後です。アメリカ軍が衛生環境の悪い日本にDDT(有機塩素系殺虫剤)を持ち込みました。イメージとしては映画なので描かれている白い粉末を空から散布したり、人に振りかけているアレです。

 

②その有機塩素系殺虫剤を農業へ転用する形で普及しました。しかし、環境や人体に悪影響が及ぶということで、使用禁止され始めます。その代替えとして、有機リン系殺虫剤が普及し始めます。

 

③その有機リン系殺虫剤も人体への影響が強いとして、規制がかかります。(現在でも使用されています。)その代替え農薬として、広まったのが今話題の【ネオニコチノイド系殺虫剤】となります。

 

④有機塩素系→有機リン系→ネオニコチノイド系の特徴としては、‣適用作物の多さ。‣適用害虫の多さ。‣安価である。 ことが共通点だと思います。

 

⑤農薬は『農薬取締法』という法律で‣生産‣流通‣販売‣保管‣使用が厳しく制限されています。農家目線でいうと、適当に買って適当に撒くことはできません。例えば、ほうれん草を作っていて、ほうれん草に適用のない農薬を使うと出荷はできないです。万が一、出荷してしまうと『農薬取締法違反』になってしまいます。

 

⑥そこである程度適用範囲の広い農薬を使うと、あれにもこれにもあの害虫にも使えるというわけです。専用ロッドよりも汎用性の高いロッドを持っておくと便利ですもんね。

 

⑦ここで疑問なのは「じゃあ、いろんな農薬がいろんなものに使えるようにしたらええやん」ってことですが、筆者もウワサ程度ですが1つの適用を増やすのに、国産普通車が買えるくらいのコストがかかるようです。

 

⑧ここまで普及し、問題点があっても切り替えられない事情が農家にもあるということです。しかし、ネオニコチノイド系を使わないように取り組んでいる人も多くなっています。

 

そもそもなんで農薬を使うのか?

①‣作業の簡略化‣品質向上の2点が主な理由だと思います。

 

②人口も減少し、どの業界でも人手不足が深刻ですが、農業を取り巻く環境は極めて深刻です。2015年から2020年の5年間で、約3割の農家が廃業しています。一方で耕作面積(田んぼや畑の面積)は1割も減少していません。つまり、1軒の農家が耕作する面積が増えていることになります。さらに、農業者の平均年齢は68歳です。なので、効率化をしていく必要があります。

 

③もう一つが、見栄えの良さを求める国民性です。多くの日本国民は、見栄えを重視します。虫食いや病害が入った野菜よりも奇麗なものが売れるので、卸価格などでも大きな差ができます。そのため奇麗なものを作ろうという心理です。収入に直結するので農家としては使いたくなくても使うことになります。

 

④変化を嫌う農家がいるのも事実です。田舎のおっさんたちは、新しいものを受け入れることができない人も多いです。正直、頭の固い人が多く、ネオニコチノイド系を説明しても理解しようともしません。釣具屋のオヤジで頭の固い変化を受け入れられない重鎮がいますがあんな感じです。「バッカじゃねぇーの」って一蹴されます。

 

⑤個人的には、EUなど欧米と日本の気候の違いなど無視して一方的に同じ規制や基準で農薬の議論はしてほしくないと思っています。しかしツイートでつぶやいたように『鉛→タングステン』のように代替えはあります。

 

水辺の変化と農薬について

①先ほどから書いている通り、ネオニコチノイド系農薬は『殺虫剤』です。水草を枯らすことはありません。しかし、エビや小魚、昆虫などへの影響は少なからずあると思います。

 

②水草を減らす可能性があるのは『除草剤』です。除草剤もまた作業の効率や害虫予防の観点から、使用されることが多いです。特に稲作では田植え前後で使われることが多く、以前から筆者は水草との関係を気にしていました。

 

③もちろん水草が減れば、水生昆虫や小魚が減り、捕食する魚も減ってしまうと考えられます。

 

④でも、釣りと農業は切っても切れない関係ですよね。ため池やダム湖も飲料用以外に農業用用水としても使われています。特にため池の多くは、水利組合などが管理していることが多いです。水門の管理も農業と密接です。

 

まとめ

 一人の釣り人として、考えてほしいのが自分の食べているものが、どんなものか・どこでつくられているものか・だれが作っているのかです。

 え?なんのお話してるの?って思いますよね。だけど、食べ物や農業をそんな風に考えたことない人も多くないはずです。ルアーは、どこのメーカーの誰がデザインしてどこの国で作っているか気にする人多いですよね。それと同じで少し意識してもらえると、農業問題や農薬問題が自分のことのように思えると思います。

 ネオニコチノイドの規制は、代替え農薬普及と消費者の理解が必要です。他人ごとではなく自分事として考えていって欲しいです。個人的には規制は可能だと思います。