ユトランド沖海戦 WWI | まきむく通信(どうでもいいこと書いています!)

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唐突な記事なんですが、少し第1次世界大戦について書いてみることにします。第1次世界大戦は主に欧州大陸が戦場となったために日本にとって大きな影響がなかったため、あまり知識がないのです。1914-1918年11月まで。。。日露戦争が1904-05までなので、その10年後の出来事となる。

 

その中でユトランド沖海戦について、

第一次世界大戦中デンマークのユトランド半島沖で1916年5月31日から6月1日にかけて戦われた、イギリス海軍とドイツ海軍との海戦を指す。同大戦中最大の海戦であり、唯一の主力艦隊同士による決戦であった。

その少し前にドッガーバンクの海戦でイギリス海軍がドイツ海軍に敗れた。その敗因とされるのは通信。。。その当時、電信通話が開発されていたが、黎明期であったために電信の不具合。翻訳に時間が掛かるなどで本格的運用がされていなかった。

電信のかわりに使われたのが旗信号。。。あいかわらずの古い通信手段が使われた。

しかし、その通信手段が有効であった時代は各艦が視界の入るなかでの戦闘であり、戦艦に搭載された砲塔の口径も巨大となり視界外への砲撃が必要となる時代ではもはや意味をなさなくなっていたのである。その教訓は活かされず、ユトランド沖海戦でも同じことが繰り返された。それは技術の問題ではなく艦隊を運用する指揮官の意識の問題であった。

 

イギリス海軍
合計151隻:
戦艦 28
巡洋戦艦 9
装甲巡洋艦 8
軽巡洋艦 26
駆逐艦 78
機雷敷設艦 1
水上機母艦 1

 

ドイツ海軍

合計99隻:
戦艦 16
巡洋戦艦 5
前弩級戦艦 6
軽巡洋艦 11
魚雷艇 61

 

およそ倍におよぶ戦力をイギリス軍は持っていた。ドイツ海軍の殲滅するチャンスがたしかにあったのである。

 

ドイツ海軍は囮艦隊5隻をもってイギリス海軍をバルト海へ誘い込む。。。イギリス海軍は、ドイツ海軍の囮に引きずられる形でドイツ大洋艦隊の敵陣に近づいてしまったことを知る。そこで急速反転し引き返すことになる。イギリス・ビーティの艦隊は逆にドイ大洋艦隊本体の誘い込みに成功することとなる。

 

引き寄せられたドイツ大洋艦隊と、遅れながらも集結しつつあるイギリス艦隊本体との激突寸前。イギリス海軍は日本海海戦で東郷がとったT字体型でドイツ艦隊を迎え撃つ準備が整いつつあった。しかし、司令官の安全策思考などあり、イギリス艦隊はドイツ艦隊との全面衝突を避けてしまったのである。圧倒的な数の優位を持っていたにも関わらず。。。

 

そもそも水上艦同士の戦闘というものが本質的に双方が決戦を望んでいる場合(日本海海戦など)か不期遭遇戦(夜戦)を除いて、劣勢側は素早く退避して戦闘を逃れようとするので海上で決戦が起こること自体希であった。ユトランド沖海戦はそういう意味においてもお互いに殲滅戦の意志はなかったのである。

 

 

この海戦はドイツ海軍の戦術的勝利、戦略的敗北とよく言われる評価であるが、ではイギリス海軍は戦略的勝利を得たのかといえばそうとは言えなかった。

ドイツ大洋艦隊は損害を被ったものの未だ戦力を保持し続け、この後も幾度か出撃するなどしている。これに対してイギリス「大艦隊」は引き続き大洋艦隊に備えて北海に睨みをきかせ続けることを強いられ、よく見ても現状が維持されただけだった。

イギリス・ドイツ両国とも大型の戦艦を数多く揃えて、シーパワー獲得を目指したが、結局のところシーパワーを獲得するための道具として「戦艦」は強力ではあるものの完全ではなかった。大きくて高価な戦艦は、より小さくて安価な武器(機雷、魚雷、潜水艦など)からの攻撃に脆く、故に戦艦は自分と同じ戦艦相手でないと投入できない、極めて費用対効果の悪い兵器となった。

この第一次世界大戦の経験を得た欧州では、巨大戦艦からの脱却がはかられていく。そして電信機器の性能の向上が急務とされていくのである。

 

この海戦を通じて当時の用兵家や思想家たちは戦艦の能力の限界を認識し、その対策として彼らは戦艦という艦種の更なる強化を目指し、戦艦は高性能化する反面、更に大型で複雑、高価、費用対効果の悪化をもたらし、第一次世界大戦時以上に投入しづらい兵器となった。

そのような中、日本海海戦の劇的な勝利の影響をうけつづけている日本は、資源がない貧乏国であるがため一点豪華主義的に大和、武蔵の建造に走っていくのである。かくして国家の資源に占める戦艦1隻の割合は上昇し、戦艦はますます武器としての現実性を喪失していった。

 

 

 

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