深海の使者 吉村昭著を読んで感想など | まきむく通信(どうでもいいこと書いています!)

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遣独潜水艦作戦(けんどくせんすいかんさくせん)とは、第二次世界大戦中に遠く離れたドイツと日本とを結び、戦略物資及び新兵器やその部品・図面等、さらには大使館付武官・技術士官・民間技術者等日独両国の人材の輸送を行った日本海軍艦艇による数次にわたる作戦を指す。

 

大東亜戦争と称された日米両国が海戦を繰り広げた戦争中に日本海軍の大型潜水艦5隻がつぎつぎに同盟国ドイツに派遣された。米国、英国が制海権、制空権を支配している時期となっていたため、海中をすすむ潜水艦が連絡艦に選ばれるしかなかったのである。潜水艦の使命は両国の新兵器その他の交流であり戦局の挽回を目指すためにも新技術の取得は必要であった。これらの作戦では途中で潜水艦や航空機に攻撃されるなどして5隻中4隻が沈没している。

 

その史実をもとにした吉村昭の小説「深海の使者」を読み終えこの遣独潜水艦作戦について書いてみようと思っています。

 

5回中3回は往路の終着点であるドイツ占領下のフランスまで到達できましたが、往復の最終地、日本まで無事帰還できたのは第2次の「伊8潜」による1回のみ。約往復60日掛かりの作戦でした。

 

第1回 巡潜乙型 伊30潜

第2回 巡潜3型 伊8潜

第3回 巡潜乙型 伊34潜

第4回 巡潜乙型 伊29潜

第5回 巡潜乙型 伊52潜

 

これらの長距離を航行するために選ばれたのは世界的にも珍しい大型の潜水艦で全長100メートルを超える駆逐艦並みの大型潜水艦でした。

乗員も約100名、魚雷発射管6門、水上偵察機1機を搭載し、水上航続距離は2万5000キロを超える高い性能を誇りました。このような大型の潜水艦を開発していたのは、太平洋など大きな作戦水域をもつ日本の特殊な事情がありました。ドイツのUボートは有名ですが、狭い作戦海域での作戦のために航続距離よりも、敵に見つからないように秘匿性や静穏性が重視されています。

 

 

ほとんど、往復することが難しいなかこの5回の作戦にて、ドイツから最新の兵器技術を譲ってもらっています。

テレフンケン社製「レーダー装置」(ウルツブルグD2型)

「電波探知機」

ダイムラー・ベンツ社製「魚雷艇用ディーゼルエンジン」

モーゼル社製「20ミリ機銃」

ラインメタル社製「13ミリ航空機用機銃」

「爆撃照準器」

「ジェットエンジン」とその設計図

 

「Me262」メッサーシュミットジェット機の設計思想など

陸軍「火龍(かりゅう)」

海軍「橘花(きっか)」

などのジェット戦闘機の開発へつながっていく。

 

吉村昭著「深海の使者」

こんな、事情が詳細にしれて、とてもいい本でした。

 

 

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