岩井純さんの作品に魅了される
2016年6月29日から7月5日まで松屋銀座で
陶芸家岩井純さんの作品展が開催されました。
純さんの作品と初めて出会ってから30年以上経ちましたが、
端正な形と結晶釉と天目釉が創り出す美しい作品たちに
ずっと魅了されてきました。
今年の作品展でもその魅力をたっぷり堪能してきました。
とても見ごたえのある作品展でした。
今回はマットな肌合いの作品も初めて拝見しました。
表情は実に多彩ですが、
作品には“結晶”という核がしっかりと存在しているように感じます。
作家の想いと釜の神さまが創り出す“結晶”が
純さんの作品の大きな魅力ですが、
“作家の計算”と
人間の力の及ばない“釜の神さまのさじ加減”が創り出す
有機的で魅惑的な結晶が、
精緻な形の器に現れることで
より一層神秘的で美しい作品になっているように思います。
純さんに作品づくりのあれこれ、
たずねてみました。
どうしてこんな結晶が生まれてくるのか実に不思議です。
器の表情がひとつひとつ違うのでずっと見ていても飽きません。
満天の星空、池に映った真っ赤な紅葉、ふわふわと降ってくる雪、
風にそよぐ野に咲く草花、孔雀の羽…。
いろいろなイメージが浮かんできます。
どうしてこんな色になるのか?
どうしてこんな形の器になるのか?
私の質問に純さんがひとつひとつ丁寧に答えてくださいました。
ひとつの作品を生み出す工程は
実に緻密で丁寧で根気のいる作業であるとともに、
作家の好奇心と探究心と遊び心が必要不可欠であるのだと思いました。
釉薬をかけて一度釜で焼いてから再び別の釉薬をかけて焼いたり、
釉薬が流れるスジを入れたり、かける釉薬の厚みを調整したり、
釉薬の配合を間違えたことで新たな結晶の出方を見つけたり、
一度かけた釉薬をはがしてみたり、と実に様々なやり方をされています。
人との話の中、海外で出会ったもの、旅行先で見た景色、
あらゆるものからインスピレーションを得ていらっしゃるのでしょう。
今回の作品展で蓋に本物の貝殻をつけてある作品がありましたが、
どうして貝殻を使ったか、そのきっかけとなったお話がとても面白く、
そこにも純さんの好奇心と遊び心を感じました。
その貝殻は、
貝殻を使うことで虹の輪が浮かびあがるライト(アート作品)を
ご覧になった時に、そんな作品が作れないかと
集めた巻貝の中のひとつなのだそうです。
今回の作品展には出られなかったたくさんの器たちのことにも
思いが及びます。
どれも作家が同じように手塩にかけて作った器たちであったのだろうと。
釜の神さまのちょっとしたさじ加減で優等生と普通の子、
ちょっと問題のある子ができて、
そのたくさんの器の中から優等生が作品展にやってきたのだろうなと。
見ることのなかったその他の器たちもみんな
愛おしいような気持ちになりました。
陶芸に関して全くのシロウトの私は説明を伺っても
まだまだ不思議で仕方がないのですが、
理屈抜きにただその美しさを味わうだけでいいのでしょう。
どんな料理を盛り付けるのかを考えるのも楽しみです。
これからも大いなる好奇心と遊び心を持って、
魅力的な作品を創り出していってください。
再来年の作品展を首を長〜くして待っています。
今回の作品展で手に入れた器です。
初めて拝見したマットな肌合いのコーヒーカップとソーサー。
器の大きさの割にソーサーが小さめです。
ご自宅にあるスウェーデン製のカップ&ソーサーに
ヒントを得てこのプロポーションにされたそうです。
真っ青な星空の中に浮かぶ鮮やかな水色の結晶が
どうしても忘れがたくて購入したアンティノー杯。
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こちらで、
トイプードルをキャラクターにした












































