昨日、お話しました、メリタさんがペーパードリップを発明したのは1908年、丁度100年前の出来事です。当時、マーケティングリサーチなるものが、学問的に確立されていたとは思えませんし、緻密な販売戦略があったとも思えません。何せ、商売をした事のある人ではありませんし。
商売の基本は、買う人(購入者)が、欲しいと思う物を、欲しいと思う値段で売るという事に尽きます(これを言うと、僕の商売である企画屋という商売を否定する事になるのですが、現代の商売は、もうちょっと複雑になっているので、僕みたいな商売が成り立つのですが(笑)。)。
では、なぜメリタさんのペーパードリップが爆発的に売れたのか?
答えはおそらく偶 然でしょう(笑)。たまたま自分が発明したものが、めんどくさがりやの主婦が求める物(ニーズ)に合致していたからだと思います。
主婦のちょっとした思い付きが、下手をすれば世界を席捲してしまうことがあるということは、お分かりになられたかと思います。
ですが、メリタさんは、商売人としては失格なのです。メリタさんが成功した理由を挙げるとすれば、昨日も書きましたが、基本的に怠け者であった事。主婦であるがゆえに、御主人の収入もあり、お金の心配をしなくて良かったので、自由な発想で物が考えられた事。そして、その商品が、たまたま主婦が共有する悩みを解決するものであった事が挙げられます。
しかし、ビジネスは一発屋であってはならず、継続性を考えなくてはいけませんし、失敗も極力抑えなければなりません。その意味で、メリタさんの発明は、成功するか、失敗するか、発売した時点では、全く予想がつかないギャンブル性が高いものだと思います。そういう意味で商売人としては失格だと思うのです。そこで、先ほど書きました、マーケティングリサーチなるものが登場します。
マーケティングリサーチとは、要するに、物を売るために、世の中にどんな物がどんな値段で求められているのか?簡単に言えば、そんな事を探る行動の事を言います。宣伝だデザインだってのも、ここの分野に入っていきますが、長くなるのではしょります。このリサーチは、主にアンケートで行われる事になります。具体的な手法を考えると、自分が世の中に出したい物を、実際に使ってもらったり、デモンストレーションをするなどして見てもらい、感想をもらうという手法になります。その反応で、「このまま出す」「改良して出す」「出さない」いずれかの決定をするという流れになります。
さて、上でちょっと触れましたが、商売とは、つまるところギャンブルです。もっと言えば、人生そのものがギャンブルなのです。
「私、ギャンブル嫌い」って言われる向きもあるかと思いますが、出生も、進学も、就職も、結婚も、もっと細々とした行為も、成功したり、失敗したりとギャンブルそのものなのです。ある意味、ギャンブル嫌いは、人生そのものを否定することにもなりかねないのです。
商売ともなると、ギャンブル的要素は、さらに高くなります。そのギャンブル的要素を極力排除するために、神社に参拝するだの、信仰に走るだのは論外であるばかりか、逆効果です。(これは、機会を見てお話します。)ではどうするか?散々話していますが、マーケティングリサーチに基いた数値を元に、主観を排除した視点を持つ事です。これだけでも、随分ギャンブル的要素は少なくなるのです。
さて、次回予告。
アイデアを生み出す才能が無いと思ってるあなたへ。
お店を語っていきたいと思います。