2013年読了本の記録。

2013年に読んだ本・1 読書メーターまとめ の続きです。

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警視庁捜査一課特殊班 (角川文庫)警視庁捜査一課特殊班 (角川文庫)感想
誘拐、立てこもり、企業恐喝、ハイ・ジャックなどを専門とする特殊班(SIT)の仕事を実際に起こった事件例を挙げながら分かりやすくかつ興味深く論じられている。人質をとって金を奪おうと計画している人がこれを読んだら即気勢をそがれるだろうと言うくらい、特殊班の技能は素晴らしい。それでも、今まさに動いている現場でどんな予想外の事態になるか分からないし、生身の人間だから失敗もある。そういう瞬間の判断や人がとる行動の分析もされておりなかなかの秀作。読んでよかった。
読了日:10月11日 著者:毛利文彦
トーキョー・プリズン (角川文庫)トーキョー・プリズン (角川文庫)感想
終戦後、戦犯たちが収容されている巣鴨拘置所で起こる連続毒殺事件。密室殺人の謎を解くという推理小説の体裁をとってはいるが、これはやはりあの戦争があってそれに巻き込まれ苦しんだ人々が出てくるからこそミステリだけに留まらないある種の感動を与えてくれる小説なのだと思う。キジマとフェアフィールド、キジマとイツオ、他たくさんの相棒、パートナー、親友関係が出てくるがみんな男同士というのが個人的には楽しかったです。プリズンもの、面白いですね。「戦メリ」へのオマージュもよかったです。
読了日:10月8日 著者:柳広司
海の稜線 (創元推理文庫)海の稜線 (創元推理文庫)感想
黒川氏の安定した面白さはデビューの頃から変わらないのですね。海運業界を舞台にした本格的なミステリ要素は言うまでもなく、大阪府警捜査一課刑事「総長とブン」(ノン・キャリア)と東京から新人研修できているキャリアの萩原警部補との大阪vs東京な掛け合いの面白さは秀逸。ブンと萩原の最後の5行くらいのやりとり、よかったよ~。
読了日:10月4日 著者:黒川博行
オレたち花のバブル組 (文春文庫)オレたち花のバブル組 (文春文庫)感想
正直一作目ほどのインパクトはなかった。二冊読んで映像のほうが面白みを出せるかもと初めて思ったが、もちろんそれは原作あってのこと。金融庁検査など本当に「茶番」としか思えないお仕事のことも知れて、面白かった。半沢の優しさが終盤の近藤への言葉で感じることができた。
読了日:9月30日 著者:池井戸潤
花丸漫画セレクション 夜明けのブルース 番外編花丸漫画セレクション 夜明けのブルース 番外編感想
切り売りしてくれてありがとう!この二人のその後が読めるなんて夢のよう。年の差のそれぞれの葛藤がよく出ていたと思う。でも最後はやっぱりマスターの色気で丸く収まる、と。じょりんす!
読了日:9月15日 著者:羽生山へび子
オレたちバブル入行組 (文春文庫)オレたちバブル入行組 (文春文庫)感想
読み出したら一気読み!銀行の話でも堅くなく適度に解説も入っているので深い知識がなくてもすんなり読める。悪者をただやり込めるだけの話だったら痛快さだけしか残らないが、同期の友と力を合わせたり、誰にでもいる家族のことを思いやったりと人間的な部分があるから半沢は面白いのだと思う。半沢と父のことが描かれた終章がよかったな。
読了日:9月15日 著者:池井戸潤
左近の桜 (角川文庫)左近の桜 (角川文庫)感想
さまよう魂を意図せず拾ってしまう桜蔵の周りに起こる幻想的なお話の数々。魅了されました。特に徳利のお話が好き。柾や浜尾、「左近」の女将など脇もいい。最後の方になるとだいたいパターンが見えてしまって新鮮味はないけどこのテンプレでいつまでも読んでいたくなる。
読了日:9月13日 著者:長野まゆみ
このささやかな眠り (創元推理文庫)このささやかな眠り (創元推理文庫)感想
海外ゲイ・ミステリ、やっぱり面白いな。主人公がゲイの弁護士である、というのは確かにひとつのインパクトになるけれど、根本的なところで人が人を愛したり正義の為に戦ったりする姿は純粋にいいなと思う。ミステリとしてももちろんクオリティが高く、日本でどうしてこういうジャンルが生まれないのかと不思議。アメリカとはまた別の差別があるからだろうか?少なくとも翻訳物がもっと出版されてもいいと思うのは少数派の意見なのだろうか。この際洋書で読んでみようか(読破できるか?)
読了日:8月11日 著者:マイケルナーヴァ
最遊記RELOAD 全10巻完結セット (ZERO-SUMコミックス)最遊記RELOAD 全10巻完結セット (ZERO-SUMコミックス)感想
シリーズ2の方から読んでしまったけどだいたいの人物の過去なども分かるようになっていて楽しめた。一行が行くところに妖怪が来るのさってところにぞくっとした。個人的には三蔵様がもう少し女性っぽいけど男前みたいなキャラだったら他と差がついて際立ったかな~という印象。アクション漫画に自分が慣れてない(?)せいか一つ一つのアクションのつながりがよく把握できず消化不良気味。
読了日:8月10日 著者:峰倉かずや
囀る鳥は羽ばたかない 1 (H&C Comics  ihr HertZシリーズ 129)囀る鳥は羽ばたかない 1 (H&C Comics ihr HertZシリーズ 129)感想
ヨネダコウさん三冊目。どんどんこの作家さんの作品が好きになっていく、どうしよう。攻受両者とも深い傷を負っている設定ってわりと稀だなと。どういう風にレンアイに発展していくのか楽しみ。ゆっくりでいいからじっくり読みたい。矢代みたいな冷め切った目をした美丈夫な主人公は大好きです!
読了日:8月6日 著者:ヨネダコウ
クライマーズ・ハイ (文春文庫)クライマーズ・ハイ (文春文庫)感想
事故を知っているからこそ読むのを躊躇していたような本。でも読んでよかった。悠木の組織内での戦い、特に上司との応酬には毎回鳥肌が立った。現実でこういうことをできる男はまずいないと思うけど、だからこそ胸がすく。が、終盤の大きい命・小さい命の話には悠木とともに打ちのめされる思いがした。作者が報道の世界にいたからこそ書ける話だなと思った。事故現場が「御巣鷹山」だと聞いて美しい名前だと思ったというところの描写になぜかものすごく胸を打たれた。
読了日:8月4日 著者:横山秀夫
陰の季節 横山秀夫傑作短篇シリーズ(1): 1陰の季節 横山秀夫傑作短篇シリーズ(1): 1感想
「64(ロクヨン)」で出てきた二渡が気になったので彼が主人公の本作を読んでみた。銀行員風情の人事課警官・二渡も苦労が絶えませんね。でもエリート街道まっしぐらな感じ。横山さんは短編もすごく面白い。
読了日:7月19日 著者:横山秀夫
警視庁捜査一課刑事 (朝日文庫)警視庁捜査一課刑事 (朝日文庫)感想
元捜査一課刑事が書いたノンフィクション。警察小説ファンなら一読の価値あり。今までごちゃごちゃしていた係長だの課長だののポジションがようやくつかめたかも。どうやって一課に引き抜かれるかなどの過程がよく分かる。ひとたび事件が起こると何日も家に帰れないのは本当だったんだ・・・。捜査の手法も携帯やネットのまだない時代のことで面白い。著者の周辺で起こるドラマにも驚いた。巻末の警察50訓は本当に自分の立場に当てはめてもはっとするようなことがある。
読了日:7月11日 著者:飯田裕久
ランドマーク (講談社文庫)ランドマーク (講談社文庫)感想
吉田修一さんは真っ直ぐなビルを建てられる作家さんだと思うけど、あえてちょっとずつずらしたスパイラル構造のビル(小説)を建てたんだと思う。かなり緻密な計算で。東京都心から外れた大宮、交差しそうでしない主人公の二人、ばれそうでばれない(ばれてる?)不倫、コンクリート壁に毛皮、貞操帯男の結婚話、何もかも何もかもちょっとずつずれてて居心地悪くて、こうなるかなっていう予測が見事に裏切られる、その連続。それでもビルは螺旋を描いて伸びていく・・・崩壊の危険をはらんで。ゾゾゾ。こういう読み心地を堪能する小説なのだろうか。
読了日:7月9日 著者:吉田修一
職務質問―新宿歌舞伎町に蠢く人々 (幻冬舎アウトロー文庫)職務質問―新宿歌舞伎町に蠢く人々 (幻冬舎アウトロー文庫)感想
警察の花形「刑事」とは違った制服警官「おまわりさん」のお仕事。けど舞台が歌舞伎町なので派手です。職務質問で犯罪の芽を摘むほうが効率的というところに納得。けど内勤に「犯意があるのか?」って言われちゃうなんて・・・。組織内の問題も指摘されていて(文章のクオリティはともかく)警察好きには面白く読める読み物。
読了日:7月5日 著者:高橋和義
夜明けのブルース (花丸コミックス・プレミアム)夜明けのブルース (花丸コミックス・プレミアム)感想
マスターが自分にとって理想的なBLキャラ過ぎて大変だった作品。リーゼント???とか最初は思ったけど物語の中に入っちゃうともう全然気にならない。「おまえさん」とか博多弁とか言葉遣いもなんか温かくて◎。川崎っちも含め皆心根の優しい人たちで全編通して(昭和テイストに言えば)ズッキュンズッキュンきました!
読了日:6月29日 著者:羽生山へび子
寒椿ゆれる―猿若町捕物帳 (光文社時代小説文庫)寒椿ゆれる―猿若町捕物帳 (光文社時代小説文庫)感想
シリーズ第四弾。これまでで一番好きかも。どのキャラも生き生きとしていて。江戸時代のこと(身分差とか)を良く知っている作家さんなのだろう、そこがうまく生かされた話で切なくなる。ただ、人の思いっていうのは現代にも通ずるものがあって現代人の悩みとして読んでも違和感がない。千蔭の許婚おろくがよかった。
読了日:6月17日 著者:近藤史恵
俺物語!! 3 (マーガレットコミックス)俺物語!! 3 (マーガレットコミックス)感想
絶対ぎくしゃくしない三角関係、そこが揺るがないからこそ楽しめる作品。しばらくはこのまま笑ってほろっとさせられていたいけど、この漫画は起承転結で言ったら「転」の部分は訪れるのだろうか?
読了日:5月29日 著者:アルコ
絞首刑 (講談社文庫)絞首刑 (講談社文庫)感想
死刑囚がどれほど改悛しようと死刑は覆らない。そして被害者の命も戻ることはない。その二つの不可逆性がとても恐ろしく感じた。次は被害者側に焦点を当てたものも読んでより考えを深めたくなった。
読了日:5月25日 著者:青木理
フェア・ゲーム (モノクローム・ロマンス) (ディアプラス文庫)フェア・ゲーム (モノクローム・ロマンス) (ディアプラス文庫)感想
他の方のレビューに同感でこれはBLというよりはゲイが主人公のサスペンス小説ですね。普通に「誰が犯人なのー!!」ってことが気になって読んでました。ゲイ・ロマンスの部分は前半ちょっと未練たらしく女々しい感じがしたけど後半二人が一緒になってからはかなりよかった。アクションにもはらはらしたし結構色々と楽しめる。三浦しをんさんの解説では大爆笑。草間さんのイラストにも惹かれて買ったけど思いがけず小説自体もこれだけ豪華な顔ぶれに見合った面白さで満足しました。
読了日:5月1日 著者:ジョシュ・ラニヨン
熱帯魚 (文春文庫)熱帯魚 (文春文庫)感想
やっぱり初期の頃の吉田文学が好きだなあ。最近のエンタメ系は誰でも書けそうだけど、こういうのは吉田さんしか書き手が今いないでしょう。もっと書いてください!!「熱帯魚」「突風」「グリーンピース」の順に好きです。軽く過剰で逸脱した人々が出てきます。こっち側とあっち側では見方が全然違うということに気付かされる。読後ちょっとした不安感に襲われる。
読了日:4月26日 著者:吉田修一
NightS (ビーボーイコミックスデラックス) (ビーボーイコミックスDX)NightS (ビーボーイコミックスデラックス) (ビーボーイコミックスDX)感想
表題作「NightS」の空気感がすごい好き。マサキみたいな美人で冷めたタイプが余裕で年下を転がしはするんだけど内心かなり可愛いと思ってやってるところが面白い。どの作品も感情のひだがじっくり描かれていて特に「リプライ」はよくここまで葛藤を描いてくれたという感じ。
読了日:4月18日 著者:ヨネダコウ
やぎさん郵便 (シトロンコミックス) (CITRON COMICS)やぎさん郵便 (シトロンコミックス) (CITRON COMICS)感想
上野駅の事件後、澤に本当の犯人のことを知りつつとっさにあえて知らない男だったと言うにとどめた有原がすごく可愛げがあった。 じた ばた ってなってる有原にそっと手を添える澤も優しいと思った。なんだ、いつの間にか澤と有原に心奪われてる。
読了日:4月18日 著者:草間さかえ
銀の匙 Silver Spoon 1 (少年サンデーコミックス)銀の匙 Silver Spoon 1 (少年サンデーコミックス)感想
強いて言えば学校で成績一番になることくらいしか夢がない八軒が農業高校に入学。まだ一巻なのに夢と現実、競争社会、適性、命の尊さ、命を扱う職業の厳しさなどなど尊い(?)テーマがごろごろしている感じ。息子が受験生になる前に読んでほしいような漫画。
読了日:4月8日 著者:荒川弘
風渡る (講談社文庫)風渡る (講談社文庫)感想
来年(2014年)の大河が黒田官兵衛と知った直後、「蜩の記」でファンになった葉室さんが官兵衛を書いていると知って予習がてら(?)読んでみた。官兵衛と西洋的顔立ちの日本人青年修道士ジョアンとの交流、戦国時代のキリシタンが純粋に宣教だけの存在ではなかったこと、神になりたかった信長など、興味深いテーマが。他の方もおっしゃるように深みはないが、全体を見渡すにはいいかと。ある程度この時代のことを知っていればもう少し頭に入ってきたか。伴天連追放令が出たあたりで終わるので続編が気になる。
読了日:4月1日 著者:葉室麟
楽園のカンヴァス楽園のカンヴァス感想
ルソーが主人公でした。生前には評価されなかった貧しい画家。彼の絵の魅力にとりつかれた、ピカソ、ヤドヴィカ、ジョゼフ。彼らの物語が本当に最後は感動しました。色々とドラマチックにできすぎな所もありますが、現代美術ミステリという目新しさで楽しめます。
読了日:3月22日 著者:原田マハ
横道世之介 (文春文庫)横道世之介 (文春文庫)感想
吉田さんと同世代、20年前にさかのぼって学生時代を思い出すよりも、息子の大学入学の年齢までのほうがちょっとだけ近い自分としては、最後の母親の手紙に一番ぐっと来たかな・・・。
読了日:3月10日 著者:吉田修一
俺物語!! 2 (マーガレットコミックス)俺物語!! 2 (マーガレットコミックス)感想
ひょ、表紙!砂川を掘り下げてくれてありがとう、な一冊。猛男と大和のデートプランの手伝いをする砂川が、過去に猛男と行った所ばかり思い出し笑いしながら提案するのが可笑しい様な切ない様な。病院のシーンではただ隣に座って一緒にいるだけなのに、こういうのが男の友情なんだなーと泣いてしまいました。猛男と砂川はその質は全く別なんだけどすごく「男前」だと思う。大和は同性から見ても嫌味のないかわいさで猛男が柔道大会で「彼女はいいぞ」と言うところに妙にうなずいた。二人をいいなと思う砂川に今後どんな展開があるのかが気になる。
読了日:2月25日 著者:アルコ
俺物語!! 1 (マーガレットコミックス)俺物語!! 1 (マーガレットコミックス)感想
砂川が女の子をふる本当の理由を知ったとき、猛男との男の友情が本物なんだなと実感した。猛男と砂川と大和、今までに見たこともないトリオだけど、お互いすごーくいいポジションを保っていてナイス。今後これが崩れるようなことがあったらちょっと悲しいと思えるほど。評判が高いのも納得の少女漫画。電子版にて。試し読みの数ページですでに吹き出していた・・・。
読了日:2月25日 著者:アルコ
冷血(下)冷血(下)感想
夢中で読んだ下巻。心に響く文節が多くて付箋だらけになった。殺人の動機が「何となく」でいけない理由はない。だがしかし、犯罪を犯すにいたった人間の心理やそういう人間を作った生い立ち・環境を徹底的に解明しようとする努力を諦めてはいけない。決してすべてが言葉となって整然と書き表すことができなくても。一刑事と未決囚たちの交流が圧巻だった。
読了日:2月21日 著者:高村薫
冷血(上)冷血(上)感想
上巻は「事件」と「警察」。凄惨な一家殺害の様子や犯人たちの様態(特に戸田の歯痛)が生理的に気分が悪くなるほどの強烈さだったが、本作での合田さんが比較的冷静かつ精神的にも安定している状態だったので、何とかそれに支えられて読み進めることができた。捜査会議中同僚をキャベツに見立てた合田さんが可笑しかったが、このキャベツが下巻であんな風につながっていくとは・・・!!
読了日:2月17日 著者:高村薫
まほろ駅前番外地 (文春文庫)まほろ駅前番外地 (文春文庫)感想
星くんの日常と曾根田のばあちゃんの青春が読めて幸せだった。便利屋という設定だからといって安易に「奇妙な事件に巻き込まれる」系の小話におちいらず、きちんと「人」が描かれているのがよかったと思う。最後は多田の恋の予感?!かと思ったら「多田と行天」にまた戻ったので、一作目で描かれた二人の心の闇の部分を思い出しちょっと身震い。どうなるのかなあ、と気になる二人。電子版にて。
読了日:2月4日 著者:三浦しをん
木曜日の子供 (文春文庫)木曜日の子供 (文春文庫)感想
先に読んだ「真夜中の相棒」と似た人物の設定と話の流れでだいたい結末も予想がついてしまったけど、ロバートとボーのくすぐったいような関係のほうが「相棒」よりも読んでいて好きだった。自分たちでも説明がつかないけど好きなんだ、一緒にいたいんだっていう気持ちが痛いくらい伝わってきた。お互いの孤独感を埋めるものだったのかな。ボーにはまっすぐに生きていってもらいたい。
読了日:1月28日 著者:テリーホワイト
64(ロクヨン)64(ロクヨン)感想
警察の広報とは、報道とは(特に匿名報道とは)というちょっと珍しいテーマを持ちながら、昭和64年におきた身代金目的誘拐事件と警察内部の魑魅魍魎を執念で描いた、警察小説としてトップクラスなのは間違いない作品。読了後は、現実に事件や事故が起こったときにメディアを通して表に出てくる情報を見て、裏で起こったであろう警察VSメディアの攻防を想像できるようになる。誘拐事件のオチも全く予想外の展開で最後までうーんとうなりながら読んだ。電子版にて。(紙版と同時発売で高かったけど対価に見合ったボリュームとクオリティ!)
読了日:1月23日 著者:横山秀夫
BANANA FISH 全19巻 (フラワーコミックス)BANANA FISH 全19巻 (フラワーコミックス)感想
ドンッドンッ、ダダダダっていう音がまだ耳から離れない。なぜか今はとても悲しい音に聞こえる。アッシュと英二は明らかに生きる世界が違う。なのにまるでお互いが片割れのような、いわゆるソウル・メイトなのかなと。後半はもしかして英二ってアッシュの理想が作り出した幻想なんでは?って思うくらい、アッシュのイノセントな部分を象徴し際立たせてくれた存在。最後のあの手紙は・・・!!アッシュが失ったものの何倍もの愛を受けとった瞬間だったと思う。電子版にて。
読了日:1月16日 著者:吉田秋生
地を這う虫 (文春文庫)地を這う虫 (文春文庫)感想
短編集だが主人公がみな元警官という設定が面白く、それぞれの男たちの人生を味わいながら読んだ。「父が来た道」がお気に入り。大物政治家のお抱え運転手の話でここまで書ける高村さん、すばらしいです!政治家の恐ろしさは「新リア王」よりこっちのほうがコンパクトながらぞっとするほど感じたし、おでん屋の女将にキスするところとか主のパジャマの着替えを手伝うとかそういうちょっと人間臭いエピソードが良かった。第一秘書、第二秘書っていうのも意味もなくかっこいいと思った。
読了日:1月5日 著者:高村薫

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