5500万年前・・・・
暁新世末から始新世はじめにかけて
北大西洋の海洋底拡大にともなう火山活動によって
飛びぬけて急激な温暖化が起こる。
北極圏ではワニやカメといった爬虫類が生息していたというのだから、
ほぼ全世界で熱帯の気候になっていたらしい。
今回、このころに温度最大期であったことを裏付ける研究結果が
発表されたという。
ナショナルジオグラフィック(4月25日)
「海生哺乳類が語る5000万年前の地球」
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20110425001
なんでも、
海牛類の化石種の歯を調べることによって
大昔の地球の気候が推測できるのだという。
調べるのは歯の表面を覆うエナメル質の含まれる2種類の酸素同位体。
海生生物は海水中の水分子に大量に含むという
酸素同位体「酸素16」と「酸素18」を体内に取り込むらしい。
これら「酸素16」と「酸素18」を太古の海牛類の歯にどれぐらいの比率
で含まれるのかを調べれば、当時の地球の降雨パターンなどの気候が
ある程度、想像つくらしい!
研究結果では
5000万年前の始新世に生息した太古の海牛類に
現在のジュゴンやマナティーよりも
酸素16の比率が多く、予想よりも2倍もあること
が判明したという!
それはいったい、どういうことなのか・・・!
酸素16は酸素18に比べ、質量が軽い。
これは
海の水が蒸発して、水蒸気となって舞い上がり、
雨雲になるとき、
軽い酸素16を大量に含む水分子が圧倒的に多くなる。
これは
5000万年前の海牛類は大量の雨が降り注ぐ浅い海に生息していたことになり、
酸素16を体内に取り込む機会が多くなったという結果になるわけだ。
そして、
暖かい大気は水蒸気を多く含むため
当時は降雨量が半端なく、
この活発な水循環は高い気温であったことを示すのである。
5000万年前は
全世界がトロピカルな暑い世界であったのだ。