オルドビス紀以降、
海生の節足動物から、非常に大型化、強力な武装をもち、
太古の海の生態系で君臨したグループがいた。
ウミサソリだ!
サソリのような姿をした海に棲む節足動物であることから
つけられた俗称であるが、
サソリやクモの仲間よりもカブトガニに近縁なグループといわれている。
しかし、ウミサソリの系統的位置についてははっきりしないところが
本当のところのようだ。
ウミサソリはカブトガニに近縁であることは有力な説であることは確かな
ようだが、その共通祖先であるのがパレオメルスという節足動物らしい。
パレオメルス
学名(Palaeomerus hamiltoni)
5億5000万年前、カンブリア紀初期に生息していた
わずか4cmほどの小さな節足動物だ。
カブトガニとウミサソリの共通祖先にあたるといわれており、
カブトガニに甲羅が多数の関節に分かれたといったような姿だ。
そこから
オルドビス紀に入るとウミサソリが現れる。
ブラキオプテルス
学名(Brachyopterus stubblefieldi )
これが知られるかぎりの最古のウミサソリである。
これも4~5cmほどの小さな節足動物である。
スティロヌルス
学名(Stylonurus exelsior )
後ろ2対の脚が異様に発達し、海底を歩行していたようだ。
ウミサソリの足跡化石から尾を引きずった痕跡はなく、
このようにサソリと同様に尾を上げていたようだ。
もしかすると剣状の尾先は毒針だったかもしれない。
ウミサソリには海底を歩くタイプと、そして遊泳するタイプがいたようだ。
ユーリプテルス
学名(Eurypterus )
遊泳タイプのウミサソリ。最後部の脚がオールのような平らな形となっており、
これを使って泳いでいたようだ。
プテリゴートゥス
属名(Pterygotus )
こいつはなっといっても、体長3m近くも成長したという
史上最大の節足動物と称されるほどの巨体だろう!
かつ、
最後部の脚が遊泳用のパドルになっていることに加え、
尾も平らになっており、遊泳に関しての高いスペックも兼ね備えていた。
かつ、
最前部の脚は獲物を捕獲するためのロブスターのようなハサミに
なっていることも大きな特徴だ。
おそらく、当時の海での頂点捕食者であったことは間違いないだろう!
ちなみにウミサソリのハサミはカニと違って、
可動する指が下方に位置している。
そのため、カニよりもウミサソリの方がハサミを
大きく開くことが可能であり、力強かったといわれている。
空気呼吸器官の「書肺」をもち、地上に進出したものも
いたといわれている。
脚や尾などを様々な形に変え、バリエーション豊かなウミサソリは
浅海から淡水域、そして地上へと・・・。
当時としてこれだけ広範に生息域をカバーしたグループは
ほかにはいなかっただろう。
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