中生代、
爬虫類という大きなグループのなかで、
水中生活を極限にまでに適応させた一族がいた・・・。
それは魚竜。
魚竜は三畳紀の2億5000万年に現れ、
最初の恐竜が現れるより前にはすでに海を生活の場としていた。
実に
最古の魚竜は日本で発見されている!
ウタツサウルス 学名(Utatsusaurus hataii )
宮城県の歌津町(2005年に志津川町と合併し、今は南三陸町になっている。)
で発見された
この初期の魚竜はトカゲにヒレがついたような姿で
すでに沿岸の海で暮らしていたようだ。
おそらく、陸生の動物である爬虫類、
その爬虫類に含まれる魚竜の祖先は4本の足で陸上を歩いていた
と想像はつくのだが、その化石種は発見されていない。
その後、
魚竜はさらなる水中適応を見せることとなる。
まず魚竜の語るうえではずせないのが
クジラとの収斂進化だろう。
水中適応の代表グループとして
中生代なら爬虫類の魚竜。
新生代なら哺乳類のクジラ。
といってもいい。
まず水中適応の第1段階として
このような姿になる
キンボスポンディルス (魚竜)とバシロサウルス (クジラ)
三畳紀中期に生息した
全長10mもある巨大海蛇のようなキンボスポンディルスは
絶滅した原始クジラのバシロサウルスとその体形は似ている。
細長くなった体をくねらせて泳ぐ格好になる。
そして魚竜にはヒゲクジラを思わす巨大なものもいた
ショニサウルス だ!
三畳紀後期に生息した最大の魚竜で当時の海でも最大の海生動物だ!
ヒレもかなり長くなっており、3m近くにもなった。
これはヒゲクジラであるザトウクジラ
と同じ特徴で
翼のようなヒレで外洋を飛行するかのごとく
優雅に回遊していたのかもしれない。
また
体の大きさ、それに対して著しい小さな歯から
ショニサウルスはヒゲクジラのような濾過食性である
可能性もあるという。
そしてジュラ紀に入り、
魚竜の適応放散がひと通り完了すると、
より高度な遊泳能力をもつものが現れる!
マグロやイルカのように
体は紡錘形にまとまり、ヒレは短く幅広く
そして尾の先は下方に曲がり、立派な尾ビレを形成する。
流体力学的に洗練された
見るからに高速遊泳を追求した体つきになっている。
また
魚竜とクジラの両方にはカジキのような姿をしていたものがいた
ユーリノサウルス
(魚竜)とユーリノデルフィス
(クジラ)だ!
上顎が長く伸びているのが特徴で
カジキのように高速で小魚の群れに突進し、
この長い上顎を剣のように振り回して気絶させ、
捕食していたかもしれない。
しかしながら、
このように魚竜とクジラのよく似た進化をたどっていたわけだが、
やはり違う点もいくつかあるようだ。
大きな違いとして
クジラは光が届きにくく見通しの悪い海中では
目に頼ることをやめ、エコーロケーション(反響定位)といった
聴覚によって周囲の状況を把握したのに対し、
魚竜は海中という悪条件下でも目による視覚に頼ったことが
あげられる。
そのため魚竜の目を発達させ、かなりデカいものとなっている。
テムノドントサウルス
という魚竜は
直径は26cmもなる巨大な目をもっていたという!
これは深海にすむ動物界最大の目をもつダイオウイカに
匹敵する大きさだ!
←オフタルモサウルス
またオフタルモサウルス
という魚竜は
目の直径は10cmだが小型の魚竜で、
体の大きさの割りに、かなり大きな目をしていた。
このような巨大な目だと集光力もかなりのもので
暗い海でもよく見えたことはいうまでもない。
しかし!
海への適応を極めた魚竜であるが
白亜紀に入ると衰退していき、
白亜紀半ば、9300万年にその姿を見せなくなった。
魚竜が絶滅したちこの頃は
世界的な規模で海洋生態系が破壊された時期だったといわれている。
その原因とは・・・!
現在、ニューギニア北方の太平洋の海底にその答えがある!
「オントン・ジャワ海台」だ!
海底に広がるこの隆起地形は
1億年前に大規模な火山活動によって形成された地形であった
ことが調査でつきとめられている!
その地形の規模は広さ200平方km 、厚さ30kmにもおよび、
ペルム紀の史上最大の大量絶滅を引き起こしたという
火山活動によってできたシベリア台地玄武岩(150平方km)
よりも規模が大きいのだ!
かなりの大量のマグマが海底に噴出したことだろう
その量は1億立方kmともいわれている!
この海底火山活動が起こった1億年前の海には
魚竜が餌にしていたであろう頭足類が大量に絶滅したことは事実であり、
世界的な温暖化と浅海域の無酸素化が進んでいたことは
地質学的物証からも明らかにされているという。
当然、魚竜にも大きな影響を与えたことは
ほぼ間違いないだろう!
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