アリ。アリ


今から1億年前、
ハチの1種から進化したといわれている。


昆虫の中でも最も高度な社会性をもち、
イソップ物語の「アリとキリギリス」にも
あるように、「働き者」の代名詞。
そんなアリは
今では世界のありとあらゆる地上で
で生息、1万種を越える大繁栄グループなった!


このようにどこにでもいるアリは
高度な社会性を
もっているのは知られているわけだが、
これらのアリの仕事の多様性は
あまり知られていない。


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■牧場を営むアリ■
アブラムシやカイガラムシを家畜にして
自給自足するアリがいる。


クロヤマアリ  学名(Formica japonica

クロヤマアリ

ごく普通に見られるアリ。

他にもトビイロケアリLasius niger )など。

彼らはアブラムシの排泄物である「甘露」

エサとして巣に持ち帰るため、

どんどんアブラムシに「甘露」を生産してもらおうと

家畜のように保護するのだ。


アリの牧場


植物を蝕むアブラムシの付いた植物は当然のごとく

弱るのだが、それでアリたちは家畜である

アブラムシを元気の良い植物まで運ぶのである。

これはまるで羊飼いのようだ。


アブラムシを守るアリ


アブラムシは弱い存在で天敵も多い、

他の虫からよく食べられる存在だ。

そのためアリたちはありとあらゆる敵から

大切な家畜のアブラムシを守るのだ。

それはアリとアブラムシ

もちつもたれつの「共生関係」にあるのだ!



■農業を営むアリ■

巣の中でキノコを栽培して、
それを食べるアリがいる。

ハキリアリ  学名(Atta cephalotes

ハキリアリ

中南米に熱帯雨林に生息するアリ。

ハキリアリ(葉切り蟻)の名前だけあって

大アゴをつかって実に巧妙なテクで

葉っぱを綺麗に切り取る。

そして、その葉っぱは巣に持ち帰るのだ。


ハキリアリの行列


ハキリアリは植物の葉をテイクアウトして

エサにしているのかと思わすが、

それはNО!

巣の中で植物の葉を細かく切り刻み、

そこに白いカビを生やして、

アリタケというキノコを栽培するのだ。

そしてそれを食料とする。

まさにそれは農業をやっているではないか。



■人材派遣を営むアリ■
他種のアリの幼虫、サナギを奪い、
そのアリが成虫になると奴隷のように
働かせるアリがいる。

サムライアリ  学名(Polyergus samurai

サムライアリ

アリが白いサナギや幼虫を抱えて、

巣から巣へと移動する。

一見すると、アリの引越しかなと

思ってしまうが、

NO!NO!NO!とんでもない!!

これは引越しではなく略奪だ!!

昔に引越し屋になりすまし、白昼堂々と

人の家の荷物をトラックの荷台に

運び出す泥棒なんていたが、そんな感じだ。


このサムライアリは先ほど紹介した

クロヤマアリのサナギと幼虫を

奪い、自分たちの巣に持ち帰るのだ。

持ち帰られたクロヤマアリ

サナギや幼虫は成虫になると

そのサムライアリの巣を

何の疑いもなく自分の巣と

認識してしまいサムライアリのために

働きアリとして、奴隷として生きるという。

しかし、

サムライアリの働きアリとして生きるのも

クロヤマアリの働きアリとして生きるのも

彼らにとっては同じことだと思われ、

どっちにしろ働かなアカンのは変わりがない。