お産のデブリーフィング | ドゥーラのりこ

ドゥーラのりこ

オーストラリア在住のお産サポーター(ドゥーラ)、ヒプノバーシング™講師、マッサージセラピストです。
妊娠、お産、育児、健康、環境、ホームスクーリングに関しての色々な情報や考えをシェアしています。

デブリーフィング(Debriefing)という言葉をご存知ですか?

デブリーフィングとは、ある経験をした後に、その経験内容を誰か(経験内容に慣れている人)と詳しく話をしていって、その時の状況や自分の感情等を改めて認識することです。

お産の後にもデブリーフィングすることが重要です。
これは、お産の経験が良いものであっても、辛いものであっても、です。

私の場合は、お産の後は毎日が忙し過ぎて、感情に浸っている時間もないほどだったので、ゆっくりと落ちついて自分のお産のデブリーフィングをちゃんとする機会がなかなかありませんでした。

週1の私の助産師さんとのアポで、少しずつ、簡単なデブリーフィングはしていましが、今日は、旦那と一緒に、私達の助産師さん(ロビンさん)とデブリーフィングをしました。

特に、希望通り行かなかったお産や、辛かったお産の場合、1回のデブリーフィングだけでは足りないことがほとんど。
何回もデブリーフィングしていって、少しずつ自分の感情(過去の感情、今の感情)を認識していくことで、少しずつヒーリングされていくことが可能です。


私の旦那は、感情に関してはあまり話をしないタイプですが、今日は、色々と話を聞く事が出来ました。

そして、私達の助産師のロビンさんは、とても良い聞き手で、とても上手に私達のデブリーフィングをリードしてくれました。

旦那は、私の出血が大量になった頃、赤ちゃんが亡くなるかもしれない、という不安がとてもあったようですが、それを隠して、ポジティブに私を励ますのが、実は辛かったそうです。(でも、私は彼のポジティブさに救われましたが...)

そして、妻の私が大量出血で死んでしまったらどうしよう、という恐怖もあったそうで、私の入院中は、毎晩泣いていたそう。(これも隠していました。)

彼にとって、楽しみにしていたお産が、不安だらけのお産に変わっていき、希望していたお産経験があっという間に奪われてしまったように感じたそうです。

旦那にとって、今回のお産はあまりものショックだったようです。(出産準備クラスに出席する前に起こったので、旦那にとってはお産に関する基礎知識も全くないままの経験でした。)

一方、私のほうは、ショックというよりは、「残念」「未練」という気持ちのほうが強いです。

お腹がもっと大きくなるのを楽しみにしていましたし、赤ちゃんがお腹の中で大きくなってキックしたり、しゃっくりするのを感じたかったですし、プライバシーが尊重される自宅でリラックスした出産もしたかったです。
出血量が多くなるにつれて、病院での出産の覚悟は出来ていたので、ショックではありませんでした。

未だに、お腹の大きい妊婦さんを見ると、「いいなぁ...」と羨ましく感じますし、経験出来なかった妊娠後期に対して悲しくも感じますね。

が、先ほども言いましたように、毎日が忙し過ぎて、感情に浸っている時間があまりないのです。

でも、時々、いきなり感情が溢れてきたりします。(特に疲れている時)

そのような時には大泣きすると、すっきりしますね。(私は泣くとすっきりするタイプです。)


特に感情的になる時は、真夜中に搾乳をしている時。

本当なら、我が子を胸に抱いて授乳しているべきはずが、搾乳機を使って孤独にソファーで搾乳...

静かな夜に、搾乳機の音が寂しくシュカーシュカーと鳴る。

そんな雑音にも慣れたのか、猫達は完全に無視してソファーで寝ています。

穴の空いた搾乳ブラジャー姿は、ちょっと情けない感じ。(でもこれをつかうと手が空いてラク)

そして、母乳を冷蔵庫へ保管した後は、瓶を洗って、消毒して、後片付けしてから、寝室へ戻って再び寝るのですが、約2時間後にはまた起きて同じ作業を繰り返す...

本当に地味で孤独な行為ですが、今の私に出来る事はこれくらいですし、これが我が子にとっては最高の愛情表現だと感じています。

我が子に直ぐ会いたくても会えない。
抱っこしたくても出来ない。
今、どうしているのかも直には分からない。(夜中でも新生児集中治療室に頻繁に電話して状態を聞いていますが...)

私が経験したお産よりも、産後の赤ちゃんなし生活のほうが辛いかなぁ~と時々思いますね。

新生児集中治療室にいお母さん達は、皆さん色々なバースストーリがあるのですが、ほとんどの方がちゃんとデブリーフィングをしていません。
デブリーフィングをちゃんとしておかないと、後々辛くなる事がありますので、記憶がまだある内にすることが重要なんです。
パートナーさんも同じです。

デブリーフィングはお産に詳しいドゥーラさんや助産師さんと行うのがベストです。

ドゥーラさんや自分の助産師さんがいない場合は、プロのバースストーリーリスナーとデブリーフィングセッションを受ける事も可能です。

シドニーではリンダさんエリカさんがバースストーリリスニングのセッションを行っています。彼女達のセッションはアート(絵で感情を表現するテクニック)を使ったりもます。


赤ちゃんが生きて生まれれさえすれば、あとは何でも良い!とよく言われますが、私はそうは思いません。

お母さんの感情はとても大切です。

自分の感情を認識してあげること、パートナー同士が感情に関して認識し合う事、これは本当に大切なんですよ。


良いお産であっても、辛かったお産であっても、お産の後はデブリーフィングすることを強くお勧めします!