S氏の酷い思い出

被害者を悪く言う――これはS氏の特徴ですが、それを思い出させる出来事がありました。

その村づくりに関わっていた際、S氏が巻き起こした妊娠トラブルについての話です。

その日の夜、皆が集まってカフェにいると、その(S氏が妊娠させた既婚)女性の夫が思いつめた様子で訪ねてきました。「妻のこと、何か知っていますか?」と尋ねられたS氏は、慌てて周囲に耳打ちし、「絶対に俺が相手だとは言わないで!」と念を押しました。そして、メンバーのN氏(男性)と二人で夫の席に行き、話をしました。

後でその内容を聞くと、二人は「自分たちは奥さんの相手のことは知らない」と嘘ついてシラを切っていたそうです。N氏にとっては迷惑な話でしたが、温厚な性格ゆえに多少困った顔をしながらも、S氏の指示通りに振る舞っていました。やがて旦那さんは帰り、その後、カフェのオーナーやメンバーたちと共に、S氏から妊娠の経緯について話を聞くことになりました。

その女性は、子どもを連れて村づくりに参加しており、メンバーとも顔見知りでした。しかし、まさかS氏と関係を持ち、妊娠していたとは誰も知らなかったため、皆が彼の話に耳を傾けました。

S氏はこう言いました。
「子連れで参加してたし、性格も変わってる人だったから、最初はちょっとキチガイかと思った」
「しばらく夫婦関係の悩み相談に乗ってるうちに、かわいそうになって、それで付き合った」

その場にはS氏のパートナーMさんも同席していたため、パートナーの手前、S氏なりに体裁を繕ったのかもしれません。しかし、「ちょっとキチガイかと思った」「かわいそうだから付き合った」などという発言には、呆れるほかありませんでした。

一言で言えば、自分から誘ったとか、自分に非があるとは一切認めず、ただ女性を見下すような態度でした。もちろん、Mさんがいない場や、女性本人の前ではそんなことは決して言わなかったでしょう。しかし、村づくりのメンバーやオーナーの前で平然とそんな言い方をするのを聞いて、改めて「ああ、S氏らしいな(男らしくないな)」と思いました。

そんな出来事を、今ふと思い出しました。