2014年を振り返る②ー読書・歴史 | アンクルコアラのブログ

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日本酒、ラグビー、美術展、日本古代史、その他ランダムに雑感を綴って行きます。気まぐれなので更新は不定期かも?

2014年の回顧、第二回は「読書三昧」である。ただ最近は殆ど歴史関係に偏っているので、「歴史」も兼ねた回顧と行こう。

マイベストは、私が入院中に読了した
「岸信介の回想」(岸信介・八次一夫・伊藤隆著 文春学藝ライブラリー)を選んだ。安倍首相の祖父である岸は昭和の妖怪、保守反動の権化、CIAのスパイ等々、多くの悪名が轟いている。
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本書は岸自身が商工省入省から満州時代、東條内閣の商工大臣、敗戦、巣鴨プリズン、政界復帰と保守合同、首相就任、安保改定から辞職までを回想した貴重な史料である。

書評を始めると長くなるので省略するが、所謂保守主義者というイメージと違う徹底した合理主義者であり、計画経済の信奉者としての人物像がよく解った。昭和史愛好家には欠かせない一冊である。

ところで商工省時代からの側近である椎名悦三郎について、本書では岸は殆ど言及していない。自分の後継者として、椎名ではなく福田赳夫を指名したことで確執が生まれたことによると思われるが、あれほど岸に尽くした椎名を無視する岸。その非情で強い意志は国家のリーダーとして相応しいのかも知れない。

歴史関係以外では「夫婦善哉・怖るべき女」(織田作之助著 実業之日本社文庫 無頼派作家の夜シリーズ)を推す。前も書いたが、夫婦善哉を書いたのは27歳の時である。織田作之助は日本文学史上屈指の天才だと思う。
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