ブログというものを書く。
私は有機化学系の学部に通い、大好きな有機化学をやっているのであるが、最近なんか勉強の意欲が全く起きなくなってしまったためである。
とりあえず最初の記事で何を書くのか迷っているが、このブログでは興味関心のある化学系の話題について書こうと思う。主に精神の分子について言及することが多いのではないかと思う。
私が化学に関心を持ったのも、ある精神の分子に出会ったからであった。そのため私はこうして化学系の学部に進み、化学を学び、故郷から遠く離れて生活している。
さて、最初の話はこの初めて出会った精神の分子の話でもしようと思う。この分子の名前は、ロフラゼプ酸エチルといった。これは私が過敏性腸症候群になった際処方された薬「メイラックス」の成分であった。
そのころ得意科目もなく勉強が全くできなかった私が強く化学に引き付けられたのはこの成分の効能を知ったからであった。
私が初めてこの成分の効能に興味を持ったのは、この薬を飲み、いつも通り予備校に通った時であった。いつもの全く変わらない一日であったが、何故だか妙に気分が良かった。私は人と関わったり話をしたりすることがものすごく苦手な少年であったが、この日は違った。やたらと人と話をし、何をするのもとても楽しかった。何を思ったのか私は気分が良かったのでポケットに入っていたこの薬たちをWikipediaで調べてみた。ロフラゼプ酸エチルは抗不安薬であると知った。この瞬間今日のこの何とも言えないすがすがしさの理由が解明されたのである。
私は高揚した。こんなちっぽけな白い塊一つで、こんなに退屈でつまらなく苦しい毎日が意味のあるものになったのであった。
この時飲んだメイラックス錠の有効成分は1㎎であった。たったそれだけの成分が、私の精神や思考をコントロールしていたのである。私はそれが面白くてたまらなかった。
私は元来得も言われぬ不安に駆られることがありやすいたちであり、人生について絶望的に考えていたのであった。私は毎日どうにかもっと楽観的になりたいと切望していたものであったが、この化合物との出会いは、まさしくその願望を満たす最も手っ取り早い手段のように思われたのであった。
