あれから、一昔と言われる時間が経った。
だけど、地震が起こる度に、あの時の怖さが蘇る。
いい思い出は、一昔と言って懐かしんでいられるけど、命にかかわるような出来事は、一昔と言って懐かしんではいられない。
子どもたちは、小学生と未就園児だった10年前。
今は、成人・高校2年生・中学1年生と育った。
地震の記憶は、三人とも覚えているが、詳しく語れるほど覚えているのは、長男だけ。
それでも、大きく育ってくれたおかげで、今、あれほどの地震が起きても、子どもを守れるかという
不安からは、もう解放された。
あの不安は、心に深い深い痕跡を残した。
多かれ少なかれ、あの震災は東日本の人々の心に爪痕を刻み込んだ。
10年がこれほど消えない記憶として残るとは、その前の10年間からは想像もつかなかった。