明高は、冥高として甦り、手始めに芳継を手にかけることに決めたのだった。
芳継の方は、明高の死はあまりの気持ちよさに耐えられず、恍惚のままあの世に逝けたのだから明高にとっては幸せだったと信じて疑わず、夜陰の会に集まった男たちのもそう吹聴していたのだった、芳継にとって、明高の死など大した事ではなかった、愛しいという思いなどどこにもなく、ただ政争の道具として顔や体が美しい男が必要であり、目の上のこぶであった、実光の執着の男を一時でも己の者として嬲ることが出来たのだから、上出来だったのだった。
ある夜更け、芳継が新たに見つけた美しく若い男に舌鼓を打っていた、芳継が絶頂を迎えようとしている時にその若い男の顔が死んだはずの明高の顔になった。
己の中にある少々の恐れがそういった幻惑を見せているのではないかと芳継は思ったが、それを打ち砕くかのように男が言葉をかけたのだ。
 
「芳継よ、吾の締まりは如何かの?もっと強く締めた方がそなたは好みじゃったのう・・・・。じゃがの、吾にはもう一つ良い物をもっておっての、吾と同じくそなたの後ろの締まりも同時に攻め抜いてはどうじゃ?至極の極みを得られようぞ。」
 
その声は明高そのものだが、その顔は明高ではあるがどこか違い目が蛇のようであり冷たく笑う顔が恐ろしいほど妖しく艶やかだった、芳継の心は縮あがったが、ゾクゾクとするほどの妖艶な笑みで己の象徴いつも以上に膨れ上がり明高から抜くことが出来ない、それどころか、蛇のしっぽが目の前までうねうねと上がってきたと思いきや、首にぐるりと一巻きしながら背中を滑り降り、滅多に使うことのない芳継の締まりをこじ開けて奥へ奥へと押し入ってきては大きく太く変化したのだった。
 
「やめよ・・。そなたは・・吾に救われたではないか・・。良き気分で旅ったのであろう?・・なぜに・・吾を・・。」
 
「良き気分とな・・そうじゃな・・・。良き気分だったのう・・体はの。じゃが、そなたも、これから良き気分になるのじゃ。吾に生気を吸われる毎日を送っての・・・」
 
首を絞められ動けない芳継を、冥高は両方から攻め抜いた、絶頂の手前で蛇が現れ芳継の首筋に噛みつくと甘い香など比較にならないほどの淫猥になり幾度となく精を吐き出すのだった。
出された精は蛇がすべて舐めとった、それが冥高にまた力を注ぎこみ、この男の精根が尽き果てるまで攻め抜きとおした。
芳継は、ある朝痴態を晒したまま死んでいたのだった。
もう一人の首謀者頼政は、蛇により噛まれ締めあげられたような跡が首に残り、その首の骨が折られて死んでいた。
こちらもやはり、精根尽きるまで淫行の果てにそうされたようだった。
冥高は、己を辱めた多くの人間を淫行により生気を奪いそして命を奪っていった。
もはや闇の魔王と化し貴族達を淫行の極みに蝕む冥高を成敗するものはいないと思われたが、ある時、冥高は体に○に△が中に入っている痣を持った者の香りに引き寄せられ、その者が持ち合わせる霊力を奪おうとしたが、逆に打ち取られ、封印されたのだった。
冥高は忘れてしまっていたがその者は、明高が愛しんだ唯一の女性、朝霧との間に生まれた子の子孫だった、その証が○に△が入った痣が二人の願掛け印だった。
冥高が甦るだけの力を蓄えれば、必ずその痣を持った者がこの世に生を受け、冥高の悪事を途中で挫く手助けをすいるのだった、それはまるで朝霧が冥高を明高に戻すために現れているようだった。
闇の魔物となり、数百年間この印を持ったものと、冥高を打ち取るために作られた名刀を使う物との死闘が繰り広げられ、その終止符を神尾健一と宇佐美利光の二人によって落とされたのだった。
冥高が朝霧の存在に気が付いたのは、健一と宇佐美破れ、彼らに連れていかれた実光と出会った桜の木の下だった、あの日実光に隠れるように、奥に朝霧が願掛け印を記した懐かしい紙を持って立っていたからだった。
 
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