駅に着くと、カモメの自由席を求めてたくさんの帰省客が券売機の前に並んでいた。僕もその中の列に並ぶと、脇っ腹を突かれた、びっくりして突つかれた方をみるとあめちゃんが切符を2人分もっていた。


「もう、買っておきましたよ。遅かもん。ゆっくりしとったら、帰省客で全部埋まりますよ。」


「え?なんで?何で2人分なん?」


「福岡に買い物に行く予定があったけんが、せっかくやから一緒に行こうかと思って・・・。」


嘘がバレバレやん、今日は来てくれへんのかとほんまはがっくりしてたんや、それなのになに!!そのサプライズ。


「ふ~ん。福岡に買い物なんや。そうなんや。ほな僕はどうでもええってことなん?」


「違います。ついでは買い物の方で・・っあ・・。」


あ~~あ真っ赤や。下手な嘘つくからや、からかいがいがあるっちゅねん。


「嬉しいねんな。わざわざそこまで送ってくれるんや。せっかくやからそのまま京都まで来たらええのに。」


「それは・・無理です・・。夏休み取ったばっかやし。」


悲しそうな顔して、僕の顔を見てるあめちゃんが愛おしくて仕方ないねん。人目も気にせんと思わず自分の方に引き寄せてそのおでこにキスしてしまった。その後は、あめちゃんがゆでダコになったんは想像通りなんやけどな。プププ

長崎から、博多まで約2時間の旅、あめちゃんの手を繋いだまま二人掛けの席に並んで座っていた。長崎での旅を2人で思い出しながら楽しく過ごしてたんやけどな、博多が近づくにつれてあめちゃんの言葉が少なくなっていく、僕もなんや胸いっぱいになって来てなんも話せへんようになってもうて、ただ、繋いだ手をぎゅっと握りしめた。

新幹線のホームでは、よく見るべたな別れ方して僕は京都に戻った。あめちゃんとの時間をしっかり心に書き留めて、僕の生活に戻った。

おかんに頼まれていた、鼈甲のブローチ、ことのほか喜んでくれてな、カステラも本店の味は一味違うって、何が違うんかわかるんかい!!って突っ込んでみたらな、本場とこっちじゃなんかちょっと違うんやと。まぁ、そう感じてしまうんが、人間の悲しい性ってとこやな・・。



長崎の旅行から、もう一か月たとうとしてる、このところの季節はおかしいんかまだまだ夏のような暑さが残ってるけどな、その中に秋の涼しい風が混じってくる。その風にあたると少し人恋しくなってくるんは誰でも同じやろうな。もう、一か月か・・。彼岸やな。あめちゃんとはメールや電話で順調に交際を続けてるってとこや、ただな、ちょっと変わったことじゃないな、、これから変わることがあんねん。それを早くあめちゃんに伝えたくて僕は昼休みの時間に携帯にかけた。


『もしもし、三光さん?どうかしたとですか?』


「あめちゃん、会いたいなぁ~。」


『ん~次の連休に何とか京都に行きたいと思うてるんですが・・。』


「ほんま!!それ嬉しいなぁ。それもめちゃ嬉しいねんけどな、毎日会いたいねん。それでな、僕、長崎の支店勤務になったんやで。」


『えっ?!それ?冗談でしょう。また、私が驚くと思ってからこうているとじゃなかですか?』


「ほんまや。多分な、おみつさんの粋な計らいや。昨日そう言いよった。」


昨夜久しぶりに僕の夢に出て来てな、初めて僕と別になっててん、それで


「あてから贈り物や、今回はあて自身にどすなぁ。あんさんにはあての一部分がはいってるさかい。ふふふ。明日、ええ知らせがあるんえ。あての誓いを守っててな。ほな、きばりよす。」


そう一言伝えて消えよった。ほんまおみつさん、あんたも飴屋の主人にいつの間にか惚れてたんやな~飴に誓うていたもんな。坊の命を繋いだその飴に。だから僕も、その想いに負けへんようにあめちゃんとの未来作ったる。あんたが羨ましく思うくらいのええ関係になるようにするな。


「みひかりさん、本当!!嬉しかぁ。」


「僕も嬉しい、だから、引っ越しの手伝いもかねて京都に来てや。」


携帯の向こうで、うれし涙を浮かべてるあめちゃんを想いながらこれからの二人の未来がべっこう飴のようにいい色に、そして甘く続いていくよに僕も僕の甘露(あめ)に誓いをたてた。


(おしまい)

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