下の階に内階段から降りるんやけどな、そのままペンギンの飼育施設でな、ここは全然クーラーなんて効かへん外やねん。暑いやん!!ペンギンは寒いとこが好きとちゃう?って言いたいんやけどなここに居るペンギンもさっきのコガタペンギンと同じでな、南米やニュージーランドなんかに生息してる種類でな、フンボルトペンギン・ケープペンギン・マゼランペンギンがおるらしいねんって説明してたいけどな、もう、お腹減って限界や。


「かんろちゃんお昼何食べよう。」


「あっ、一度外に出ましょう。ここでハンコ押してもらったらまた中に入れますけんが。」


どこに行くとも言わずかんろちゃんが外に出たんでな、僕もついて行った。水族館前の芝生の広場に木が一本あってな、その周りのベンチに向かって歩くかんろちゃん。もしかして、ずっと気になってたこと聞いてみた、


「なぁ、めちゃ気になってんけどな、そのバッグ、でこうない?」


その質問に答えようとせんで、ちょっと躊躇いがちに、ベンチに座って傍にどうぞと手招きしてくれてな、


「あの・・。口に合わんかもしれんけど、お弁当作って来たとです。この辺食事するところがないけんが・・。」


手作りの弁当や~。めっちゃデートしてんやん。高校生並みに喜んでる僕ってほんまかなりやばいんとちゃうん?でもな、好きな子の作ってくれた料理ってめっちゃ嬉しいねん。


「ほんまに!!めっちゃ嬉しい。かんろちゃんの手作りなん?」


「一応・・。普段あんまし料理せんし、昨日家に帰ってから思いついたし、冷蔵庫の中にあるもんだけで作ったけんがたいしておかずがなかとです。」


二人分を一つにまとめて入れてきたらしくて、ピクニック用の大きな弁当箱がバックから出てきた、重かったんやろうに、なんやそれだけで感動してしまってる、弁当の中身は、おにぎりと卵焼きと、ウインナーと、枝豆と、カボチャの素揚げと人参のグラッセとブロッコリーとプチトマト、にデザートはキウイ、色も綺麗に入れてあるし、食欲そそねん。一つ気になることあんねんな、おにぎりでかい!!それにな、おにぎりだけ別個にタオルに包んであったんや、


「なぁ、かんろちゃんなんでタオルで包んでん?」


「これね、実は佐藤 初音さんの講習会で習ったとです。なんで掌サイズの丸いおにぎり。長崎じゃ縁起の悪かってお母さんに言われたとですが、この方法だと、お塩も効いていて、ノリもベタベタと周りに付かんで美味しかとです。ちょっとお気に入りで・・・。」


確かに、ノリが周りに付いてへん、しっとりとご飯についていて、食べると塩が効いているし、ご飯の一粒一粒がつぶれることなくしっかりとあって美味しい。


「旨い!!他もいただきます。」


木の下の陰で並んで食べんのってええなぁ、潮の香りもしてくるしピクニックに出かけているようや、まぁ、暑いのが唯一問題なんやけどな。それでもかんろちゃんの手作り弁当美味しいねん。そうや、やっぱりこういうシチュエーションならやるべきやろ


「かんろちゃん、はい、キウイあーん」


爪楊枝にさしてあったキウイをかんろちゃんの口元に向けてあげたらな、


「ええっ、食べなきゃだめですか?」


「ほら、早う!!落っこちるで」


せかして、かんろちゃんが周りを少し確認してパクッて食べてくれてん、めっちゃかわいい。僕もして欲しいねんけどな、多分無理やさかい、かんろちゃんが食べようとしてんのを腕引っ張ってパクッって横取りしてやってん。もう、まかっかのかんろちゃん、期待に応えてくれてありがとうな。


「三光さん、恥ずかしいことせんでください・・。」


そう言いながらパタパタと手で顔を煽いでいる、嫌やなかったんやな、かんろちゃんの反応が少しづつ恋人みたいに変化してる気がすんねんけど気のせいかな?あせらんとこ、かんろちゃんのペースまもっていかなな。


「お弁当も食べたし、また館内に戻らんですか?これから、ペンギンのお散歩と、触ることが出来る時間がきますよ。」


「そやな、暑いのも防げるし、まだ、ペンギン見てないのおるしな」


また館内に戻ってイワシの大群の水槽から始まる、思わず立ち止まってグルグル回るイワシを見ながら


「朝焼け小焼けで大漁だ、今日もイワシが大漁だ、海の中では何万もイワシの弔いするだろう」


ってつぶやたらな、


「それ、間違ってますよ。[朝焼小焼だ 大漁だ 大羽鰮(いわし)の大漁だ。浜は祭りのようだけど海のなかでは何萬(まん)の鰮のとむらいするだろう。]ですよ。」


かんろちゃんから指摘をうけてん・・・。


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