駐車場から水族館までの道はビオトープがあってな、長崎の植生が再現されてるんらしねんけどなカニがその辺ウロウロしてん、ここはどこなん?ビオトープを過ぎると水族館が目の前に現れた、そんなに大きい水族館ではないねん。けど、すぐ隣に海があるねん。このまま海水浴でもできひんのかいな?そんなん思うくらい澄んだ海を見ていたら、
「ここは海水浴出来んとですよ。すぐ近くに人口のビーチはあるとですけどね。」
とすかさずかんろちゃんが教えてくれてん、かんろちゃん、君僕の心の声でも聞こえてん?僕が不思議な顔しててんやろな、
「なんとなく、考えてることわかっただけです。暑かし、ここ、泳げそうやし。うちらは泳げんですけど、ペンギンは泳ぐっとですよ。」
「ペンギンが泳ぐって、水槽やないん?」
「知りたければ、水族館に入りましょう。時間によっては、ペンギンのお散歩や、触ること出来るんですよ。」
入場券を購入しながらウキウキとした声で話しかけてきた、さっきまでのイケイケのかんろちゃんはどこに行ったん?車の運転思いのほか荒くてな、違う面見れた気がした。どっか豹変するんやな~。ちょっといけない想像してまう僕・・。それはそうと、水族館のペンギンに期待で胸がふくらむっちゅうもんやな、水族館に入場するとすぐのところにイワシの大群の水槽が置いてある、グルグルとイワシが円をかきながら泳ぐ姿をみていると、金子みすずさんの詩が頭をよぎった。
〔朝焼け、小焼けで大量だ、今日もイワシが大量だ、海の中では何万のイワシの弔いするだろう。〕
がっさりもってかれたら、そんな気するんかもしれへんな、イワシの水槽から左に目を移すと、でっかい水槽が嫌でも目に入る。長崎水族館のメイン水槽ペンギンの泳ぐ姿を観察できる水槽や!!水深が4mの水槽を下から見上げると上からペンギンが降ってくるんや、水槽の底に向かって一直線に降りてくるペンギン達、めっちゃ速い!!そうかと思えば上の方でふわふわと腹を付けて浮いているペンギンもいて不思議な感じや。ん?やっぱ水槽で泳いでんねんなぁ。
「かんろちゃん、やっぱり水槽で泳いでるやん。」
「ああ、このペンギンたちはここだけですね。ちゃんと理由があっとですよ。慌てんで展示を見て行きましょうよ。」
あっさり諭されてしまった。でもな、飽きへんねんな何度見ててもよちよち歩いてる姿と違って、水の中では自由自在に泳いでるんや、生き物はそれぞれにあった身体になってんやなぁ。おお!!でかいのが入って来てんな、王様ペンギンや!!なんやかっこええなぁ。見入っているとちょいちょいとかんろちゃんにつつかれて先を促されてしもうた。ペンギンの水槽の横には、長崎の近海の魚が泳いでる水槽がになっててん、ウツボが岩の間から顔出してたり、サメが泳いでたり、クエや、鯛なんかも泳いでいたりしてな、この近海ってでっかい魚いるんやってちょっと愕いてん。2階に上がるとな、さっき下から見上げていた水槽の上の部分と、ペンギンの陸上での行動が見れるようになってんや、そこで気が付いた、このでっかい水槽のあるスペースには、亜南極のペンギンが生活してんねん。キングペンギン、マカロニペンギン、イワトビペンギン、ジェンツーペンギンの4種類が一緒に生活してん。しかし、キングペンギンは他のペンギンよりもでかい!!燕尾服着てるみたいやし、気おつけ状態であんまり動かへんねん。かんろちゃんめっちゃ気に入ったらしくってな
「この人さっきから動かんけんね~。ずっとこうしてる。おもしろかねぇ。」
ってずっと見てんねん、かんろちゃん、ペンギン人やないで・・・。かんろちゃんのその発想おもろいねんけど、ペンギンよりもかんろちゃんの方がおもろいんとちゃう?ほら、また戻ってきてそのペンギン気になってみてるやろ・・。あんまりかんろちゃんの行動がおもろくて笑いが込み上げてきて暫く壁に手ついたまま肩震わして笑っていたらな、
「三光さん?どうかしたとですか?」
って顔を覗き込むんや、もうあかん
「かんろちゃん、おもろいあははは・・・。」
「えっ何が???」
爆笑してもうた。周りのお客さんに変な目で見られたけどな、暫くとめられへんかった。あっけに盗られたかんろちゃんの顔もまたおもろくて、腹筋がめっちゃ痛いねん。必死で笑いを抑え込んで、
「あんな、くくく、かんろちゃんがおもろかったんや、だってな、同じ所に何度も戻って真剣に一羽のペンギンを見てたしな、たまに一人でペンギンに話しかけてたんとちゃう?ガラスあるさかいペンギンに聞こえへんで。」
「あっ・・。恥ずかしか・・。」