波美は仕事の調べ物、僕は研究のレポート書きをしとったら、


「なぁ、ギリシャ神話で、メデューサって、おるやろ?なんで髪の毛、

蛇、なんやろ?」


へっ?!


「突然なに言い出すんや?ギリシャ神話?そんなこと君は調べと

ったんか?」


「ううん、調べ物しとったら、たまたま見つけてぇ、思わず読んどっ

たんよ。ほら、これ、ヴェルサーチのマークでもあるでぇ。でも、

なんや、この人めっちゃ気の毒じぇ。」


なにが?


「なによそんな変なもん見る目。いやぁなっ、メデューサって、

ただいただけ、なんも悪いことしとらんでぇ、その顔見ただけで

勝手に見た人が石になっただけとちゃう?それで首切られるん

よ。そんなん考えたら気の毒で・・・・。」


「君の説明ようわからへん、なぁ、その話ちょっと読ましてや。」



「ほんまやな、王様に献上するためだけに殺されたんか。めっちゃ

理不尽やな。その後、その首使うて、アンドロメダ救って、悪政し

てた王様と家臣石にして、アンドロメダと仲よう暮らしたってなんや

ものすごい話やな。」


「でしょう!こんなんよう考えたらひどすぎるでぇ。」


「なにそんなん感情移入しとんねん。」


「だってな、顔見ただけでな、石になるんよ。そんなん誰からも

愛されることないってことなんよ。」


なんや力説やな。

愛されることか・・・・。


「そうやな、誰も近づけへんって、それって結局のところ、見た目

ばかりで判断してるってことやな」


そう考えみたら、なんやおもろい考えが浮かんできた。


「なぁ、波美。僕はこう、考えたんやけどな。このメデューサには

二人の姉がいてはる。」


めっちゃ真剣な顔で聞いてるなぁ。なんやかわいいな。


「うん」


「この二人がな、この妹に入れ知恵したんや、それもあんまり

ようない話や、ここに着た人は、お前を連れて行くとか、ここから

出て行ったら、見世物小屋に売られるとか、毎日のように話続け

たのかもしれへん、そうしたら、普通の髪やったのに、一本、一本

って蛇に変わってたのかもしれへん。だから、誰からも愛される

ことも、誰かを愛することもわからへんようになってもうたんかも

しれへん。」


「なんや、もっともらしい話にきこえるなぁ、ほなな、もしもな、

そんなん全然きにしない人がおったとしたら、どうなったと思うん」


「ほやなぁ・・・・。もしかしたら、蛇がちゃんと髪の毛に戻ったかも

しれへんなぁ。」


<つづく>