長老熊のキーコです。由愛が私を外に忘れてきた事件をお話しするわね。

あれは彼女がまだ東京の団地に住んでいた頃の話し。ある日、外に遊びに行く時に彼女は私を連れていってくれたの。あちこち遊びまわって最後に、何故だか自転車置場の壊れたバイクにまたがって、遊んでいたの。お兄ちゃんが迎えに来て由愛は帰っていったの。私をハンドルにぶら下げたまま。

夕飯を食べ終わった由愛は私か居ない事に気付き
「キーちゃんがいない」
と捜し始めました。挙げ句に
「おにーちゃん、キーちゃん隠した?」
とお兄ちゃんのせいにする始末。泣きじゃくる彼女。パパとお兄ちゃんは私を捜しに行ってくれたけど、何処にも居なかったと、お兄ちゃんまで半べそ。明日の朝、早起きしてもう一度捜しに行く約束して、由愛は寝たみたい。

翌朝、起きて直ぐにお兄ちゃんと由愛は私を捜しに出掛けました。何気に自転車置場を見た由愛
「あっ!キーちゃん!キーちゃん!居た!ごめんね」と抱きしめてくれました。お兄ちゃんも
「良かったね!キーちゃん見つかって」
と喜んでくれました。あの出来事から40数年経ちました。私はまだ彼女の側に居ます。私も彼女もすっかり歳をとりました。