中秋の名月に寄せて

ふと見上げた夜空に、あまりに明るく、そして清らかな光が満ちていました。
一昨日、皆様もこの見事な中秋の名月を愛でられたでしょうか。

空気が澄みわたり、月明かりがまるで木々の葉を透かしていくような、静謐なひととき。
その一方で、足元の野辺を見やれば、対照的なほどに鮮やかな「曼珠沙華(彼岸花)」が、凛とした姿で月光を浴びておりました。



天空から降り注ぐ冷やかな銀の光と、土の中から突如として現れた炎のような真紅の花。


名月という天の理と、秋の彼岸という土の記憶が重なり合うこの数日間、季節がひとつ深く、秋へと引き込まれていくのを感じずにはいられません。


このブログでは、古くから大切にされてきた二十四節気の移ろいや、古典の中に息づく季節の風情を、私自身の暮らしの彩りとして書き綴っていこうと考えています。


名月の夜、月明かりの下に佇む彼岸花を眺めながら、古の歌人のような感性でふと口ずさんだのはこの一首でした。


「秋草の はつるのままに 月見れば 命さやけき 人ぞ忘れぬ」(古人たちの風情を拝借して)




暗闇に浮かび上がる彼岸花の鮮烈な色と、静寂に満ちた月の光。
季節の区切りごとに風景が姿を変え、光が変わる。そうした自然の機微を、これからも一つひとつ大切に噛みしめていきたいと思います。


忙しい日々の中で、ふと足を止めて季節の声を聴く時間は、何にも代えがたい心の栄養です。


これからも二十四節気を道標に、四季折々の風情を思いつくままに記事にしてみたいと思っております。

日本の良き季節感を皆さまと共有できることを楽しみにしています。