「ウォーリーをさがせ!」をさがし始めて15分は経っていた。

ぼくはただ、子供の頃に味わったウォーリーを見つける喜びを、また味わいたくなっただけだった。

もしかしたら「ウォーリーをさがせ!」も進化しているかもしれないな、ウォーリー、見つけられるかな
そんなことを考えながら紀伊国屋新宿南店を歩いていた。

絵本のコーナーを探したけれど「ウォーリーをさがせ!」は見つからなかった。
絵本のコーナーの中にもいろいろなジャンルがある。でもどの絵本コーナーを見ても「ウォーリーをさがせ!」はなかった。

店員さんが近くを通ることもあったが、場所を聞いたらきっと
「ウォーリーをさがせ!を探せないやつにウォーリーなんかみつけられるか」
と思われるんじゃないかと思って聞けず、かといって機械でさがすのもなんとなくずるい気がした。

「ウォーリーをさがせ!」を探し始めて15分が経っていた。

ぼくはついに諦めて下りエスカレーターの近くに来た。そしてパニックになった。

下りエスカレーターの前に、ウォーリーがいたからだ。
ウォーリーは、「ウォーリーをさがせ!」がどこにあるとかそんな説明はなにもせず、ただそこにいた。

ぼくは「ウォーリーをさがせ!」は見つけられなかった。
けれどウォーリーは見つけることが出来た。

試合に負けて
勝負に勝ったのだ。
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