力動精神医学は患者の無意識世界に立ち入るのが特徴である。

現在はお世辞にも主流とは言えないが、歴史的に重要な役割を果たしている。

専門医試験では特に防衛機制を中心に最低限抑えるべき所をまとめてみた。


基本的な理論


自我:自分の意識
エス:本能に当たる部分
超自我:理性に当たる部分
エスと超自我がバランスを取りながら、自我が形成される。

心のバランスを保つための様々な働きが「防衛機制」である。

色々なものがあり、意外と混同しやすい。

防衛機制
否認:容認したくないことを実際に存在しなかったものと考え、そのようにふるまうこと。
退行:幼い発達段階に戻ること。「赤ちゃん返り」
置き換え:怒りの対象を別のものに移して解消すること。「八つ当たり」
投影(投射):自分が敵意を持っているのではなく、相手が自分に敵意を持っているのだと考えること。
反動形成:本心と正反対の行動をとること。「あまのじゃく」小心者が虚勢を張る場合も使われる。「負け犬の遠吠え」
合理化:欲求が満たされないときに、それらしい理由を付けて自分を納得させること。「酸っぱいぶどう」「やせがまん」
補償:劣等感を他の分野で補うこと。例:勉強が苦手だからスポーツを頑張る。
取り入れ・同一視:あこがれる人の行動をまねること。
昇華:性的欲求や社会的に認められない欲求をスポーツや芸術などに転化させること。

投影に関連して起こるのが、「転移」「逆転移」である。
過去の重要人物を治療者に投影すること、逆転移は治療者が患者に投影することであるが、
逆転移は「治療者が患者に負の感情を向けること」という理解が一般的である。

逆転移は悪いことではなく、治療に活用される。

 

臨床への応用

精神分析療法は、フロイトの理論をもとに患者の無意識世界で起こっていることについて理解すること。自由連想法夢分析がある。患者の中で起こっている葛藤を掘り起こす作業になる。
治療者ー患者の間に生じる情緒的な結びつき(転移・退行・抵抗)を治療に活用する。

患者の内面に入り込んでいくので、強烈な精神的負荷がかかる。
患者側は直面化に耐えられること、精神病理について真剣に理解しようとしていることが求められる。

よって精神分析療法の禁忌は、未熟な超自我・欲求不満に耐えられない・人生の激動期などである。

具体的なやり方
・患者はソファに座って、思いついたことを自由に述べてもらう
・1回50分程度・週5回程度
期間は特に定めない

 

洞察指向的精神療法」も同じ系統であるが、より現代的にアレンジしたものと考えてよい。
精神分析は現在一般的に行われる「支持的精神療法」とは対極にある。

また、精神分析はビンスワンガーなどに代表される「現存在分析」と一部類似しているが、アプローチが異なる。精神分析は過去に目を向け、現存在分析は未来に目を向けるのが大きな違いである。

 

参考文献:

現代臨床精神医学 第12版, 大熊輝雄 著, 金原出版

日本精神科学会専門医認定試験 解答と解説 第2集, 日本精神神経学会 編著, 新興医学出版社